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その夜

  • Posted by: SOMA Hitoshi
  • July 14, 2005 12:53 PM
  • kinkakuji

承前

いつからいたのだろうか、友人が枕元に立っていた。

「私は『金閣寺』の最後の一文にないたのだ」

「私は」とは随分他人行儀なことを言うものだと、いきなり枕元に立たれておいてわれながらへんなことを思うものだ。「泣いた」と言ったのだろうが、「鳴いた」と聞こえた。それにしても、わざわざ友人を枕元に立たせるほどに、私はことに拘っていたのだろうかといまさら訝る心があった。

「鳴いた、というのはどういうことだ」と今度はそこに拘った。

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