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『不思議の国とアリス』DVD発売

『不思議の国とアリス』DVDパッケージ表紙

 ついにDVDの発売です。というか、発売は一週間ほど前にしてたわけですがやっとウェブ上から注文いただけるようになりました。自主制作による3DCG中編アニメーションです。足かけ十年近い制作期間を経てのリリース。私も本編の声の出演と一部脚本協力、ウェブ制作協力で参加していて、監督(企画・脚本・編集も)は次兄、そうまあきら(相馬彰)です。

 原作はルイス・キャロル『不思議の国のアリス』、舞台はデパート(そこには何でもあるのに、自分のものは何ひとつない!)

 キャロルとヴィトゲンシュタインの、デパートでの出会い──といったそれらしい(わけもなくワクワクしてしまうような)謳い文句を付けることも可能ですが、けれど中身はバカ話、態度において原作に忠実な、ただのバカ話。あるいはでたらめ、ノンセンス。たわむれに生起した〈オハナシ〉ではあるけれど、あらかじめ〈物語〉が用意されているわけではなく、現にそこに起きていること、起きつつあることや、登場者たち相互の雑多な関係性というもののほうにより力点が置かれています。

 ある意味、そこで目指されているのは「リアル」なるもの──神話的で、ゆえに現実的であるような「リアル」です。リアルな、あるいは実写的な3DCGといったときに想起される一方のベクトルに、たとえば「ファイナルファンタジー的なるもの」があるんだと思いますが、それとはまったく異なる志向/嗜好/試行のもとに、『不思議の国とアリス』はリアルを目指します。デジタルゆえにつきまとう「画面(世界)の完全静止」にあらがうためのキャラクターの「呼吸」、CGアニメーションに似つかわしくない長回し、安易なピント技術の拒否(パンフォーカス効果)等、試されていることはさまざまです。

 といった能書きを、これもやっぱり省くとして、つまるところここには、監督にとっての快楽原則につらぬかれた純粋な58分25秒があります。ここには「そうまあきら」がいます。そう書くことには、無名作家であるこの場合何の説得力もないわけですが、私はしかし、「そうまあきら」を推しますね。観客として、弟として。

 作品詳細やご購入、あるいは予告編(高画質なそれ)等こちらから。予告編を含めたいくつかのムービーはYouTubeでもご覧いただけます。その一覧はこちら

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