足熱図鑑

エッセイ

痛風のこと

 父が痛風になったらしい。痛風、雷風の痛風である。
 雷風は今作った言葉だから何のことだか分からないが、痛風というのももうひとつピンと来ない。
 年寄りがなるものといったイメージではあるものの、それにしては語感が颯爽としすぎだ。痛風。肩で風切る感じである。同じ年をとるのでも目が悪くなったり、総入れ歯になったりというのは、なんだか人間がぼやけていく感じがするが、痛風というと、こう、キリリとした痛みが走って身も締まる思いである。あ、だから駄目なのか。
 と、感覚だけで物を言ってしまったが、ならばもうちょっと漢字の意味に目を向けてはどうか。
 単語の成り立ちという点に注目すれば一目瞭然、「痛風」は「和風」や「手作り風」の仲間であることが分かる。「手作り風」と言えば「手作りっぽい」ということであり、「和風」というのは「日本らしい」という意味だ。つまりこういう事ではないだろうか。
 痛風はどうも、痛いらしい。

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