足熱図鑑

エッセイ

ストンピング

 前回も少し触れたが、最近朝早く起きて、長いこと電車に乗る生活が続いている。それで全然オッケーな日もあるが、全くねむい日もある。ねむいとすげえねむい(コピーライトすぎもて)。
 たとえば、すげえねむい(あるいはねていた)状態で乗り換え駅などについて、もおなんかすげーはんしゃてきにぐわばっとおきて、まるでグルーチョのようにスタスタ電車から出ていくはいいが、ホームに出たとたん脇を歩いている人に申し訳ないほどにねむくて、歩く、眠い、歩く、眠い、歩く、眠い、眠い、歩く、といった感じになる。この場合厄介なのは、片一方が形容詞であるという事である。

 さて、そのような場合、どうやって正気を保ち、最悪の事態を避けるかという事だが、私がもっぱら利用しているのが「頭の中でストンピング」という方法である。「猪木になる」と言い替えることもできるかと思う。「鬼になる」でもいい。
 とにかく、ハンセンなり、ストロング小林なりのアタマが、なんかそこらへんに「ある」と仮定し、ちょっと間があって足が出る今の自分の歩行を、「そこ」に集中させて気持ちの昂揚をねらう。もちろん「心の両腕」は、後方ななめ下に広げて。
 そうすることで、私の歩行は、歩く、眠い、なんだこのやろー、歩く、眠い、なんだこのやろー、歩く、という感じになるのである。

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