足熱図鑑

エッセイ

あれから

 話にあたっては、まず、ブラウザのデフォルトの背景色という問題からはじめなければならない。
 通常、ページの背景色を指定する場合、HTML内に <body bgcolor="#******"> というタグを記述する。#****** の部分には指定したい色を意味する16進数が入り、例えば白であれば、<body bgcolor="#FFFFFF"> となる。察しがつくように、このタグの言わんとするところは、「ここからが本文(body)であり、その背景色(bgcolor=BackGround COLOR)は白である」ということだ。で、こういった指定がHTML内にない場合、Mac版IE、Win版IE、Win版NNでは背景色は白になり、Mac版NNだと灰色(正確には "#C0C0C0")になるのである。
 何の話かと言えば、ゴリラネットである。ゴリラネットについては、以前「がんばってもらいたいものだ」に書いたが、今回はその後日譚になる。プロバイダであるゴリラネットがどうやら復活を果たし、「This is a test page. これはテストページです。Hello!!!」とだけ書かれたホームページが置いてあるようになった、というところまでが前回の話だったわけだが、その後、ゴリラネットのホームページは見事な一進一退を見せることになる。その話である。
 さて、私が何やら慎重な語り口を採っているのには単純な理由がある。その「一進一退」が、ひどく微細な「一進一退」なのだ。実際行ってみれば分かるが、ゴリラネットのホームページ(http://www.gorilla.ne.jp/)は、見るかぎり、「がんばってもらいたいものだ」がアップされた時点でのそれと何ら変わりがないように思われる(そこに「一進一退」があったなどとは微塵も感じさせない)。まったく、私自身、もしMac版NNを使っていなければ、この「一進一退」に気づかなかっただろう。
 お待たせしたが、いよいよ本題である。まず、「がんばってもらいたいものだ」をアップするにあたり確認のため見に行ったときには、ゴリラネットのホームページの背景色は灰色だった。灰色(#C0C0C0)を背景色に「指定」するセンス、をゴリラネットが持っているとも思えないので、前述したようにHTML内に背景色を指定するタグがなかった、と考えるのが妥当だろう。それが、ほどなくしてふたたび訪ねてみると、背景色が白になっているではないか。私は、この、「ゴリラ、タグをひとつ覚える」という事態に感動したものだ。「遅い」と言ってしまった方が早いくらい「着実な」歩みである。
 ところが、だ。それからまたしばらくすると、背景色が灰色に戻っていた。これは何事か。タグは一個ずつ試す気かゴリラ、大丈夫だぞ、安心しろ、などと考えてみたが分からない。ここに至ってはじめて、私はソースを覗いてみた。

 <html><head><title> test </title></head>
 <body bgcolro=#ffffff text=#00000>
 <center>
 This is a test page.
 <BR>
 これはテストページです。<BR>
 Hello!!!
 </center>
 </body>
 </html>

 そりゃ、駄目だ。
 付け足しておけば、おそらく(というか勿論というか)、ゴリラはこの間違いに気づいていない。冒頭に説明したとおり、Mac版NN以外の主流なブラウザでは、デフォルトの背景色が白だからである(言うまでもなくブラウザは「bgcolro」を無視するので「背景色の指定がない」ということになり、背景色は自動的に白になる)。
 ビージーコルロ。口に出してみても言いたいことは分かるだけに、惜しい。惜しいぞ、ゴリラ。

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