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Jan.
2005
Yellow

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/ 26 Jan. 2005 (Wed.) 「京都に来ております」

春秋座。25日に撮影。写っている提灯は『トーキョー/不在/ハムレット』の公演時には取り外される。

楽日から中1日おいて、25日に前乗りで京都入りし、今日が仕込み初日。朝9時から劇場に入って作業を開始する。京都用に新規に借りたプロジェクターも届いたのだが、まさかこれではあるまいなというやけにでかいハードケースがそれだった。でかいよ。トラムで使っていたやつの4倍はある。
春秋座には2階席があるが、今回2階にはお客さんをまったく入れず、その最前列に映像ブースを作ってわれわれはそこで操作をすることになる。で、そこに陣取っていると自然に舞台上で進行する仕込みも一望するかたちになるが、はじめ、平面の床にリノリウムを敷いただけの状態では「はたしてこれ、埋まるのでしょうか」と感じられた空間が、しかしスリットが立ち、幕が吊られするうちに埋まってくるのは不思議といえば不思議で、また、平面にその領域が区切られただけのときには「こんなに狭いところで全部やっていたのか」と驚かされもした演技空間が、立体的にセットが立つことによりぐっと広く感じられる。春秋座の広さに合わせて間口を拡げるといったこともことさらせず、基本的には東京で使ったセットがそのまま、広い舞台の真ん中にぽつんと存在するという具合なのだが、これはこれで面白く、何というか「成立している」と感じ、途中経過を見ているとなおさら「成立してしまう」ことの不思議さを感じもし、逆に言えば「成立させてしまう」舞台監督さんらの〈想像力〉といったものに驚かされる。

そういえば楽日の翌朝家に戻り──あるいは一度寝て、起きたあとだったか──、メールをチェックすると長兄夫婦から感想が送られてきていた。茨城の実家に住む長兄夫婦は21日に観に来てくれた。プレ公演も映画も一切観ておらず、今回はじめて物語に接することになるふたりだったが、「いたく感動しました」「おもしろかった」とそれぞれのメールのタイトルにはあって、うれしい内容。うれしいのでごっそり引用してしまうと、まず兄はこのように書いてくれたのだった。

いやあ、おもしろかったです。火事を見つめる夏郎治のアップが「鬼の龍造」とぴったり重なって、新宮の路地がいま、ここ(北関東、私)にあることに思いが至ったとき、涙が止まらなくなり、いつしか中上健次の「不在」を考えていました。我が家でも「加藤」は大評判です。ではまた。

 そして、兄嫁からはこのようなメール(改行ママ)。

とてもおもしろかったよ。
はじめから全てがスーッと入ってきて、
頭をひねる所はひとつもありませんでした。
すべての場面の意図が心地よく受け取れました。

芝居が始まる前にパンフをざっと見たとき、
相関図の「上司」だけがなぜか目に止まり、
(ああ、そういう人も出てくるのか)
と思っていたので、
あの人がうちわをパタパタさせながら来たときに、
「これかー。」
てな感じで、大笑いでした。

一つ個人的には、
最後のろうそくの場面で菜都美が帰ろうとしたとき、
「帰るんですか?」と聞かれて、
「だって」って云ったとき。
あそこで終わるのもいいかな。と思いました。
もう前の詩人の場面で涙は流れていますから

あ、そうだ、楽日に客席で京都の観光パンフレットをひろげていたと書いた吉沼からは昼間にメールがあり、「(京都公演に)かなり心が傾いており、パック旅行の価格など調べていた」が、やっぱり予算の関係でやめにしたとの説明で、なるほどそうだったかと思うまもなく、さらに夜になって届いたメールではあっさりとその前言が撤回された。奥さんが「やっぱり行きたい」と言い出したそうだ。結局、来るという。
というわけで、京都公演をお楽しみに。

本日の参照画像
(2005年1月27日 12:11)

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