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Dec.
2005
Yellow

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/ 19 Dec. 2005 (Mon.) 「薬用ジープ」

13日は妻の誕生日だった。プレゼントは毎回本人の希望を聞いて買うことにしているが、今年は一緒に買い物に出る機会を逸していてまだ買っていない。会社をいくぶん早めに出て、手頃な値段のワインだけ買って帰る。私のほう(11月18日)は今年はセーターを2枚買ってもらった。私へのプレゼントがえてして服飾系のものであるのは、ほうっておくと私がちっとも服を買わないからだ。去年はちょうど『トーキョー/不在/ハムレット』の本公演の稽古前で、連日の稽古に着回すだけの適当な服装がないからと、ユニクロのトレーナーを数着買ってもらったのだった。
14日は「ラジオ・ラストソングス」のドラマ配信予定日で、前回の予告篇は1分ほどの短いものだったから元データのサイズもたかがしれていたが、今回は元音源となるAIFFのデータ(CDクオリティのデータ)が圧縮して70MBほどあり、それを鈴木謙一さんとやりとりするのにひと苦労する。「どうもメール添付ではうまく送れない」と謙一さんから連絡があり、それでうちのサーバにCGIによるファイルアップローダーの仕組みを設置してみたり、最近よくある無料のファイル転送サービスを試したりするがどれもうまくいかない。それらの方法も何回か試せばいずれうまくいったかもしれないもののだんだんと時間がなくなってくるので双方あせり、結局今回は私の会社からほど近い四ツ谷駅まで謙一さんに来てもらうことになった。CDに焼いたデータを手渡し。その直前になって、うちのレンタルサーバはFTP用のサブアカウントを作成可能だったということに気づく。遅かった。次回からはそれを使うことにし、メールでFTPの手順など謙一さんに教える。第1話は無事配信スタート。
15日、「0 1/2計画」のほうでみえさんからたのまれているページを作り始める。『不思議の国とアリス』を予約購入された方には特典として手作りの段ボールパッケージにDVDを詰めて発送するが、そのひとつひとつちがう手作りパッケージを紹介し、予約購入者にそのなかから好きなものを選んでもらうためのページである。基本的に Movable Type を使い、それ用に別のブログを作ってカスタマイズすることを考えているが、「0 1/2計画」で使っている Movable Type はバージョンが2.661なのが若干不便だ。ただ、このバージョンまでは商用利用の場合でも無料で、それで導入の際にこっちと決めたのは私である。そのころはバージョン3.0が出て間もない時期で、「バージョン2.661で充分だよなあ」という気分に充ちていた。いま最新はバージョン3.2で、いつしかだいぶそれに慣れてしまっていることに気づく。なにより、「これが使えると便利だなあ」というプラグインがいまやみな「バージョン3.0以上対応」なのがつらい。がまあ、なんとか2.661でもそれらしいものが実現できるのではないかと頭の中でめどが立ち、デザインに取りかかったのだった。
16日は仕事で大阪に出張。朝6時に東京駅を出る新幹線に乗らなければいけない。逆算していくと家を出るのが4時半すぎである。3時半と4時にセットした携帯電話の目覚ましは5分おきに5回ずつ鳴るから、最後のアラームが鳴るのが4時25分で、それが鳴り終わるのを私は3時半にセットした分の5回が鳴り終わったかのように聞いていたが、「もう4時半だよ」と妻に起こされた。あぶないところだった。
出張の話はそれだけかよと思う向きもあるだろうが次は17日である。「0 1/2計画」の面々による鍋パーティーが明日(18日)荻窪のわが家で行われる都合上、いくつかのスペースを抜本的にきれいにしなければならず、その大掃除日に割り当てられたのが今日だ。昼すぎから動き出し、夜8時までかかってあらかたの人目に触れる場所をきれいにする。なったよきれいに。その掃除の合間に「ラジオ・ラストソングス」の第2話を更新。ラストソングスの上村君はいま「吾妻橋ダンスクロッシング」に「alt. (a.k.a AKIO MIYAZAWA)」チームとして出演するための稽古を重ねる日々だが、その稽古場が荻窪にあり、この日、せっかく近くにいるのだから稽古後にごはんでも食べようかという話になっていたところ、無事に掃除を終えてぼんやりしていた9時半すぎに「今稽古が終わりましたが」とメールが入る。じゃあぼちぼち家を出て稽古場のある方面へ向かおうかと準備していると、さらにメールがあり、「どこか車も止められるお店ないですかね?」。車といったら宮沢さんの車しかないだろうから、するとつまり宮沢さんの車でみんな揃って食事に来るということで、思いもよらないうれしい展開だけれども、駅前のほうでそうしたお店をひとつも思い浮かべられない。断っておくが荻窪のことはあまりよく知らないのだというのも、平日はたいてい、たいがいのお店が閉店したあとに駅に着くような具合だからだ。唯一考えが及んだのがうちの近所にあるジョナサンで、そこを伝える。宮沢さんと南波さん、上村君、田中夢ちゃん、私の5人で食事。
そして18日は鍋パーティー。そのなかで、

自分が今までに購入して読んだ本で
他の人に是非是非薦めたい!と思う本を
お家の本棚から選んで他の人と交換しましょう!
(できるだけ「新しく購入しない」のがいいと思います。)

という、みえさん発案のプレゼント交換企画があって、いよいよ当日になってようやくそのための本を書庫から選ぶ。くじ引きによる交換でその本はなんともうまいことサッカー好きの荒川の手に渡ったが、少しもサッカー好きでない私が読んで身を震わす名著、今福龍太『フットボールの新世紀—美と快楽の身体』(廣済堂ライブラリー)が私の選んだ本。というか今福龍太が面白いということなのだが、

国内スポーツ選手の多民族化や、エスニック・スポーツが世界的に認知されてゆく動きがあるなか、近代スポーツは常に国家主義的な側面を強化していく。だが、そこから逸脱していくフィールドとしてサッカーに可能性を見出す。

という内容。読み直してみないとこまかい部分は思い出せないのだけれど、とにかくそこで展開され鍛えられるのは「サッカー的なるモノ」というわくわくさせられる概念であり、批評というフィールドで自身がフットボールをしようとする(サッカー的であろうとする)かのような美しい文体の連なりがそこを走っていた。これよりも先に読んだのが同じ著者による『スポーツの汀(なぎさ)』(紀伊国屋書店)で、とにかくこれにしびれました私は。たしか「第1部 クリケット群島」のなかに「ネットサーフィン」という比喩表現をめぐる考察があって、それがとにかく刺激的なものであり、私のなかで「ネットサーフィン」という言い方が「恥ずかしい言葉」から「かっこいい言葉」へと見事に価値転換した。[後日註:「『第1部 クリケット群島』のなかに」は間違い。本書冒頭の「序」のなかにその考察はある。21日付の日記に関連の記載あり]
19日。会社帰りに荻窪のブックオフへ寄ったのは30分ほど後れて駅に着く妻と待ち合わせるための時間つぶしだったが、そこで岩明均の漫画『七夕の国』(完全版、上下)を買う。きのうの鍋パーティーで新刊の『ヒストリエ』第3巻が一部の話題になっていた岩明均は、だいぶ以前に『寄生獣』を読んだきりでほかの作品をまったく読んでいない。面白いらしい。『寄生獣』はなぜか高校の演劇部の部室に揃っていて、それを読んだ。徐々に巻が増えていった記憶があるけれども、ちょうど当時連載中だったのだろうか。あれはなぜあそこにあったのか。部室の戸棚のなかに、学級文庫のようにしてそれはあって、田村君などが黙々と読むのを端で見ながら、たしか私はほとんど巻が出揃った時期にまとめて読んだ。あと、『七夕の国』とあわせて、いしいひさいち『鏡の国の戦争2』をついつい買ってしまった。あ、これ、あったかもしれないなあうちに。

これだけのことを書くのにひどく時間がかかる。書く行為が持続せず、どうもいけない。来年は箇条書きから再出発するか。最後になるが「薬用ジープ」なるものについて私は何も知らない。たぶんそんなものは無いのではないか。

(2005年12月21日 12:40)

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