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May.
2007
Yellow

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/ 10 May. 2007 (Thu.) 「『水俣患者さんとその世界』を観る」

イベントのチラシ。

「エチオピア」ではまず茹でたじゃがいもがサービスされる。

ほんの二、三日前にイベントと上映のことを知り、何年ぶりかの御茶ノ水に足を運んだ。アテネ・フランセ文化センターで行われた「君は土本典昭を知っているか?」は、六月の公開を目前に控えた映画『映画は生きものの記録である 土本昭典の仕事』の公開記念と、これも今夏刊行予定の書籍『土本典昭の仕事ある記録映画作家の軌跡』(現代書館)の出版記念を兼ねる。『映画は生きものの記録である』の藤原敏史監督と、いくつかの主要な土本作品においてカメラマンを務めた大津幸四郎さんをゲストに迎えてのトークイベントのあと、土本典昭監督作品『水俣患者さんとその世界』の35ミリによる上映が行われた。会場には土本監督自身も姿を見せ、自作の上映の前に軽く挨拶をする。水俣病の患者にカメラを向けることの困難を主体的に引き受けるための覚悟について、土本が「狂わんければ撮れんぞ」とカメラマンの大津に言ったというエピソードが直前のトークイベントのなかで語られたばかりだったが、その悲壮なまでの言葉のイメージを裏切って、土本監督はじつに快活に、明るくほがらかにしゃべる。
その監督自身による解説を聞きながら知ったが、今日上映される作品は「完全版」と呼ばれる2時間47分のもので、これとは別に、各方面からの要請に応えざるを得なくなり尺を詰めた「2時間版」というものがあるらしい。開口一番に近く、「長いんですよ、これ」と監督は紹介した。「2時間版のほうも、あれはあれでわりとよく切ってあると思うんだけど、やっぱりぼくはこっち(完全版)のほうが好きなんですね。2時間版と比較しながら、なぜこれはこの長さが必要だったか、考えながら観てもらうと面白いんじゃないかと思います」と土本監督。

会場では監督の著書『映画は生きものの仕事である』と『逆境のなかの記録』の新装版(未來社、2004年)が売られていてついつい買ってしまった。そのほか、アンケート用紙などとともに配られた未來社のPR誌『未来』の最新号には「小特集《土本典昭の仕事》」が組まれ、そこに寄稿するひとりが、あ、鈴木一誌だ(「対岸を見る人 土本典昭の「巡海映画」」)と思ったら、前記二冊の新装版を装幀しているのが鈴木一誌なのだった。鈴木一誌には、ほかに『医学としての水俣病』を扱った評論「運命の小片」(『画面の誕生』所収、みすず書房)がある。そこから少し引用(というか孫引きというか)

土本は、「毒魚も一見、鮮魚と同じ様態であることがすでに研究の中で明らかである」としたうえで、結論そのものを苦々しく感じながらもこう言わなければならない。

「不知火海」においては、一見、普通にみえる人もまた、中毒者=水俣病患者である」と。(『水俣映画遍歴』)

(鈴木一誌「運命の小片」『画面の誕生』)

 つまり、だからこそ、水俣の海はあくまで美しいし、人々はどこまでも魅力的だ。

冒頭近く、水俣病に関する年表を示す字幕ロールに読経の声がかぶさるところで、いやまあ、その読経というのが正信偈(しょうしんげ)であるという要素が個人的体験に訴える力は大きいのだけれども、その、早くも泣いてしまったのだった。さらに後半、物語的なうねりをもってカットとカットを編み上げていくのは「追弔和讃」と呼ばれるものらしい和讃(御詠歌)の斉唱である。とくにそれがはじめて登場するシーン、シナリオ採録によれば、

168 御詠歌の写しを手にしているが、皆、はずまない。老人ひとり手本を示して唱える。朗々として、哀切きわまりない。

とある箇所のそのたどたどしい和讃の歌声──はじまったばかりの練習で、うまく歌えぬことの愚痴を口にするうちいつしか雑談に花が咲くさまに、なぜだか涙が止まらなかった。

観終わって外に出ると肌寒い。予報にあったとおりに一雨あったようだがその雨には出会わなかった。明大通りを南下し、数年ぶりに入ったカレー屋の「エチオピア」では辛さを指定するさいの数字についてすっかり要領を忘れていた。「0倍が一般的な中辛になります。1倍、2倍、3倍、4倍、5倍・・・・70倍まで可能です」と案内にはあり、しかし、以前注文していたあの辛さは何倍にあたるのだったかそれが思い出せないというのは「中辛」とか「辛口」とかいう言葉で注文していたからだ。じゅうぶんに辛いのでもっぱら「中辛」、たまに「辛口」を注文していた。「0倍が一般的な中辛になります」というところからの当て推量で「2倍」を選択してみたのだったが、これがまったく辛くない。うーん、たぶん4倍で問題なかったなこれは。

本日の参照画像
(2007年5月11日 12:34)

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