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Aug.
2007
Yellow

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/ 23 Aug. 2007 (Thu.) 「仕事と逃避と薬師丸ひろ子」

『Wの悲劇』(澤井信一郞監督、薬師丸ひろ子主演、角川春樹事務所、1984年)。

『レイクサイド マーダーケース』(青山真治監督、フジテレビジョン、2004年)。「私が殺したのよ」という台詞で20年という時間がつながる娯楽作。

だいぶ間があいてしまったことについては、きっと忙しかったのだろうと想像してもらえればさいわいだ。じっさい忙しかった。いまも忙しい。
お盆は一泊だけ実家にもどった。15日の夜に帰省し、16日の送り盆を手伝って帰ってきた(実家は寺であり、私はその三男坊だ)
そしていくつかの仕事。むろん逃避もしていた。前回の日記のあとで結局私もまた妻の読み終えた『花より男子』(完全版コミックス、全20巻)を、丸一日にちかい時間をかけて読んでしまったというのがまごうかたなき逃避なら、WOWOWでやっていた映画『Wの悲劇』(澤井信一郎監督、1984年)を見てしまったというのも逃避だ。よもやレンタルビデオ屋で『人間の証明』(佐藤純彌監督、1977年)を借りて見ようなど、予想だにしなかったことだが、それもしてしまった三十一歳の夏である。『人間の証明』はなるほど、そういう話だったのか。
『Wの悲劇』が放つ魅力は寸分たがわず、ひとえに、薬師丸ひろ子のそれである。原作としてクレジットされている夏樹静子の同名推理小説は〈劇中劇〉としてあって、その舞台を公演する、とある劇団が物語の前景に据えられる。薬師丸ひろ子はその若手劇団員で、いわゆる大文字の〈女優〉にあこがれる存在である。薬師丸に思いをよせる世良公則もまた以前役者をしていた者であることが途中で判明し、つまるところこれは〈演劇〉をめぐる映画なのだけれど、まあ、そうした〈演劇〉のことは私はよく知らない。

「女流作家とか女優とか、そんな幸福な身分になれるものなら、わたしは周囲のものに憎まれても、貧乏しても、幻滅しても、りっぱに耐えてみせますわ。屋根裏住まいをしても、黒パンばかりかじって、自分への不満だの、未熟さの意識だのに悩んだって構わない。その代わり、わたしは要求するのよ、名声を……、本当の割れ返るような名声を。……(両手で顔をおおう)頭がくらくらする、ああ!」

 映画の冒頭ちかく、薬師丸が無人の公園(じつはベンチに寝ていた世良公則が居合わせていて、このあと起きあがって拍手を送るのだが)でひとりしゃべるのは『かもめ』のニーナの台詞であり、そのことが象徴するようにやはりここでの〈女優〉はチェーホフが造形したニーナからつづくある系譜のなかにあって、「で、じっさい女優ってそうなの?」という問いとは別の、無形無名の〈ひとびとの欲望〉を吸いあげて膨らんだ愚かしい何者かである。そしてここにもうひとつ、同じ女性によって吸いあげられていく無形無名の〈ひとびとの欲望〉が並置されるのであり、その欲望とはいうまでもなく、「等身大で成長する、生身の薬師丸ひろ子をスクリーンで観たい」というそれだ。大文字の〈女優〉も小文字の〈薬師丸ひろ子〉も同様に〈根のある非現実〉であり、その意味において、つまり薬師丸ひろ子はかわいい。
いくつかある仕事のひとつは戸田昌宏さんの主宰する劇団「プリセタ」のサイト制作で、そのリニューアルのようなものをしていた。だいたいかたちはできたが、まだまだ作り足していく部分が残っている。ほかのさまざまな仕事と同時並行の、合間を見ての作業なのでちょっと待たせてしまったところもあるが、まあ、そんなことを言ったらさらに待たせているのが笠木(泉)さんだ。じつに待たせている。でも、結果的にこの順番がよかったというのは笠木さんのサイトで使っている「WordPress」というブログソフトウェアのことで、同じものを「プリセタ」のブログでも使い、それを今回バージョンアップ(2.0.3→2.2.1)+メンテナンスしたのだが、だいぶ忘れてしまっていたこともあり、さらに最近の動向はすっかり見失ってたのであらためて学ぶことは多く、つまりこう言っちゃなんだが、「プリセタ」でかなり練習することができたのだ。これでかなり、笠木さんのサイトのほうはすんなりいくだろう。
あと、またべつの仕事として、とある翻訳原稿の校正のようなものをしているのだが、夜中、ふらふらになりながらチェックしていて、しかしそんな状況だというのに、その翻訳原稿を読みつつ単純に声をあげて笑ってしまうことがあり、まあその、ぼやかした説明のせいで何のことだかよくわからないかと思うが、やっぱり面白いなあこれはと思っているのだった。
土曜日(25日)には国立劇場へ行き、栃木県立栃木高等学校・演劇部の公演を観る予定。高校同級の荒川と田村が栃木から出てくるので、おちあっていっしょに観る。それから日曜日(26日)には同じく高校同級の上山君が大阪から来る。月曜が東京出張なのだそうで、日曜の夕方、ラフォーレ原宿でやっているという「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展」をいっしょに観たあと、夜、うちに泊まる予定だ。上山君に寝てもらう部屋をそれまでにきちんと片付けなければならないと、妻にきつく言われている私だ。やることは山積みである。

本日の参照画像
(2007年8月24日 15:01)

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