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Feb.
2008
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/ 3 Feb. 2008 (Sun.) 「『不思議の国とアリス』試写」

イモムシ。『不思議の国とアリス』より。なお、このデータはだいぶ前のもので完成映像とは異なります。

松村達雄(1914.12.18 - 2005.6.18)。

ダスティ・ローデス(1945.10.12 - )。

雪の一日。
池ノ上駅前の「シネマボカン」にて、『不思議の国とアリス』の初号試写があった。試写後に更新された公式ブログに、

初号を名乗るのはちょっとどうかと思う完成度で
すいませんでしたが、このタイミングで初号を名乗ったおかげで
やっと落としどころが見えました
で、目標では、あと1週間程度で
本編完成まで持って行きたいと考えております
(略)
というわけで、いよいよ、本当に終わりますよ
0 1/2計画『不思議の国とアリス』 | 制作日記ブログ | 初号試写終わりました

とあるように、いよいよ、終わろうとしているのだった(完成していないという意味で「まだ始まっちゃいねえよ」とも言えるけど)。この作品は、まったく絵のない状態でセリフの収録が先に行われて、つづいてアニメーションの制作・編集が行われたのだが、そのセリフ録りから数えてもう10年が経っている。収録には私も参加した。「イモムシ」の声をやっているのが私だ。あと、物語の縦糸の一本というか、サイドストーリー的に展開・挿入されるところの、「サクランボ」という言葉をどうしても思い出せない二人組の会話は私が書いた。
イモムシのシーンは単純にはずかしい。(今後の編集でどうなるかわからないが、試写で観たものでは)しっかりたっぷり使われてもいるから、「もっとうまくできなかったものかねえ」とわれながら。と思っていたら、観にきていた上山君からは「イモムシ、やっぱりうまいね」と褒められてしまう。「やっぱり」というのは、このイモムシのシーン、早い時期から作りかけのムービーがネットで公開されていたもので、それを見ていた者にはおなじみの声とセリフであり、ちょっと聞き飽きてすらいたらしいのだが、今回、試写の環境であらためて聞いたら「やっぱり」うまいのだという。いやー、うまかないと思いますけどね。だいたい収録のとき、イモムシの声として私の頭にあったのは『まあだだよ』(および『どですかでん』)の松村達雄だったのだから、そりゃ、土台無理のある話だよ。
でもまあ、こまかい点はさておいて、総体としては面白かったんじゃないか。CGアニメーションなのだからこういう言い方もちょっとヘンなのだけれど(そしてこれもまた、ひょっとすると制作に費やされただらだらとした年月のことを知っているせいなのかもしれないけれど)、いくつかのシーンは、どこか「長回し」的な空間のなかでキャラクターたちが演じているような印象がたしかにあり、その「時間の太さ」のなかに引き込まれていく感覚がある。「原作(=『不思議の国のアリス』)を知らないと、ストーリーがなんのこっちゃわからない」というのはたしかにそうだが、ま、それはこの期に及んでしかたないというか、「古典に材をとる」という第一歩の選択のなかである程度は自覚的に志向されていたものでもあるだろう。たいへん大雑把に言えば「忠臣蔵でコントをやる」ってのに近いだろうか。いよいよ指摘はこまかくなって、それ、観てない人にはわかんないしメールか電話で伝えろよって話だけれど、もっとも気になったのは「平成ガメラ」へのオマージュたちだ。ちょっと冗長じゃないかと思える。もう少し畳み込みたい。夕陽をバックにした東京タワーのところは「アリスの移動にともなう」まで聞き取れればそれで充分なように思うのだが、どうだろう。
「シネマボカン」のトイレにはB級パニック映画のポスターとプロレスラーのピンナップとがべたべたと貼られていた。たとえば小便をするとその正面には「“アメリカン・ドリーム”ダスティ・ローデス」がいて、それがひどく郷愁を誘うのだった。

本日の参照画像
(2008年2月 7日 21:16)

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