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Sep.
2008
Yellow

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/ 30 Sep. 2008 (Tue.) 「出したら出しっぱなしにしない」

『ルー・リード/ベルリン LOU REED'S BERLIN』渋谷シネクイントにてレイトショー中。

出したら出しっぱなしにしない、と妻に注意を受けつつ、九月が終わる。
長いブランクのあとで更新を再開すると、きまってサイトの技術的な、こまかな改善欲が先に立ち、更新そのものをさておいてまずそちらを片付けなければならぬという気分になる。Movable Type のバージョンを4.1から4.21にアップグレードしたのがきのう。それと、サイト内検索の検索結果ページにいくつかおかしなところがあったのを直す。
みんな、「上」の8枚組でもってすっかりおなかいっぱいになり、ことによると忘れてさえいるんじゃないかと思うが、『落語研究会 古今亭志ん朝 全集』の「下」は10月1日発売。予約しておいたアマゾンから商品を発送したと知らせるメールが届き、思い出す。
もつべきものは兄だが、次兄(そうまあきら)のサイトのブログで、映画『ルー・リード/ベルリン LOU REED'S BERLIN』を知る(渋谷シネクイントにてレイトショー中)。ルー・リードについてははなはだ不勉強だし、CDはそれこそ『Berlin』しかもっていないが──公式サイトのトレイラーにある字幕で、「ベルリンの壁のそばで 君の身長は5フィート10インチ 素敵な夜だった」と流れるのを読み、ああ、そういう歌詞だったんだといまさら知るのだが──、いったいいつ聴いていたのだかまったく記憶のあやふやになっている『Berlin』の、「And I said no, no, no. Oh, Lady Day」というフレーズは耳の底からよみがえってきて、ちょっと、これは観といたほうがいいんじゃないかという気になる。金曜あたり、行けるだろうか。
その兄が、作品とともにテレビに出るらしいので告知。BSジャパン(テレビ東京系列のデジタルBS放送、7チャンネル)の、「天下統一CG将軍2」という番組。このなかで、とり・みきさんと兄とのコラボ作品(CGアニメーション)が流れる模様。兄も出てるらしい。10月4日(土)、21:00〜22:55。
ところで、うちのサイトの(ほとんど利用されていない)掲示板には先日、「ごろんぴー」なる方の「差し上げます」という書き込みがあった。

主に本ですが、捨てるのはもったいないので、
欲しい方は無料で差し上げます。

として、処分したい本やビデオをリストにまとめた自身のページへのリンクが添えられている。おそらくほうぼうの掲示板に書き込んでいるんだと思うが、まったくのスパムでもなく(ま、スパムって呼ぶのかふつう、こういうのは)、で、じっさいにそのリストを見に行ったのだが、見事なくらいに欲しい本がない。まったくない。逆に言えば、自身がふだんまったく興味をもたない分野の本ばかりであるゆえに(つまり自分では買わないだろう、本屋でそれらの棚にも行かないだろう本であるゆえに)、このさい全部もらっておくのも楽しいんじゃないかと考えなくもないが、まあ、どこに置くんだという話であり、そんなことをすれば、妻はもうかんかんだろう。

本日の参照画像
(2008年10月 1日 13:58)

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/ 28 Sep. 2008 (Sun.) 「句会だった」

「句会」だった。と、ついつい括弧にくくりたくなるのは、それがたいしてまっとうな性格のものではないからだが、開催するのはこれが四回目となる。前回が去年の秋。今回、七月のはじめに話が持ち上がったときにはまだ夏も本格的には到来しておらず、かぁーっと照りつける底抜けの太陽はおもに想像のなかにあって、先の夏を想い、いっそ句会を海でやるのはどうか、その場合には、ただ、句会の最中は泳ぎとか禁止にしないと駄目なんじゃないか、禁止しないときっとみな泳いでしまって句会どころではないだろうし、泳ぐことにべつに反対はしないものの、あるいは寝そべり、肌だけ焼いて帰る者など出ればそれはどこか腹立たしい。そこはまあ各自節度をもって、たとえばビーチボール類の持ち込みもひとり2個までと決めようといった具合に、「なにより、気持ちのいい場所はいいよ」ということの前に私も、共同主宰の吉沼もどこかウキウキと浮かれていたものだったが、結局日々は目の前を過ぎていって、「夏の終わり」さえ過ぎ、「秋」へと大きく踏み込んでもう戻らないと印象づけるような気候の、本日を迎える。
直前に都合が悪くなった人や、体調を崩した人などもあって、結局参加者はこぢんまりと6人。主催側から私と吉沼夫妻、あとはみな初参加で、細江(祐子)さん、田中夢、と、荒川。そこに、当日来られず「句のみ」の参加として南波(典子)さん、大竹君、上山君が加わる。
お題は、「夏休み」、「昭和」、「家電」、それと自由詠で、下記の18句が集まった。

【夏休み】
スコールに掻き消されてく蝉と君(田中)
ピノキオの肩にふるふる蝉時雨(南波)
かき氷プールに咲かせる舌の花(荒川)
大玉の西瓜の重さ赤子の丸み(田中)
雷鳴の連れたる涼と父網戸越し(相馬)

【昭和】
夕暮の台所にある戦後かな(吉沼)
シャボン玉ルルルルルルル熱帯夜(相馬)
はやりの眼鏡 かけて際立つ 昭和顔(細江)
8時だよ オレたちひょうきん おかげです(荒川)

【自由】
新発売岩にしみ入蝉の声(吉沼)

【家電】
ぽこぽこと 加湿器の音 たゆたう夜(細江)
コンパクトシュレッダーのごと夏割いて(相馬)
自走式母型ミシン回収へ(吉沼)
無線IPひかり炊飯オブレフォン(上山)
配線は完璧なのに返事来ぬ(田中)
ハイビジョン? フルハイビジョン? 綺麗だねぇ(荒川)
生きてみて首縦に振る扇風機(大竹)
ピアノ、ミシン、ピアノ、ピアノだピアノが先だ(南波)

 これらの句をひとつずつ前にして、参加者でああだこうだと合評するのが会の趣旨である。夜、投句一覧を見た(合評には不参加の)上山君からは、南波さんの「ピアノ、ミシン、」がいいねというメールがあった。また吉沼は、「句としては『スコールに』が一番よかったかな」と田中さんの句を挙げつつ、「やっぱり、普通にいい句というか、まじめに作った(風な)句の方が盛り上がるんじゃないでしょうか」とメールに書く。まあね、そこのさじ加減はむずかしいというか、逆にそこをねらい、合評段階での〈読みの幅〉みたいなものに資するような句を、と意識してみては毎度失敗し、たんに「ふつうの句」になっているのが私だ。そんな計算は要らないのかもしれないなといまさら反省する。そこへいくと、吉沼の「新発売」や、大竹君の「生きてみて」は、その実直さにおいて私にはとても好ましいものに映る。
終わって、会場(森下にある江東区の公共施設を借りた)のちかくにあった焼鳥屋に移動、しばし歓談。ホストとしては毎度、初参加者の顔色が気になるが、細江さんも田中さんもそれぞれに楽しんでくれたようではあり、まあ、ほっとする(というか毎度、俳句というジャンルそのものの娯楽性に助けられている)。荒川は荒川で楽しんでいたようだし。
さて、次回、どうしようかと考える。あまり間を置かず、冬にでも声を掛けてみようか。あるいは大晦日、カウントダウン句会はどうか。紅白に分かれて詠もうじゃないか。はたまた新年と言っているうちにまた時間は過ぎていくだろうか。
参加者のみんなと別れてから、私は初台へ。宮沢(章夫)さんのお宅に寄り、貸すことになっていた赤塚不二夫の本を届ける。結局二時間近くも居たか。ときおり、強く笑ったときなどに胸に手を添える仕種が見られ、そうしたところで「術後」であることを思い出しはするものの、まあ、傍から見ているぶんにはお元気そうで、というか、いっとき、「そうはいっても気が気でない思い」にふと襲われ、不安を味わわざるを得なかった身のひとりとしては、まさに「生還」されてそこにいるということがまず僥倖であり、よろこばしいかぎりである。といったことは、面とむかってちっとも口にしてはいないものの。

(2008年9月30日 23:01)

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/ 27 Sep. 2008 (Sat.) 「多忙のさなかの本と映画」

ロベール・ブレッソン『罪の天使たち』(1943年)

九月になったらまた書こうと思っていて、ずるずると、さらに十日ばかりも過ぎた。

 いちど日記を更新しようとして下書きをしたさいにはこう書き出していたものだったが、それからさらに二週間が過ぎてしまった。
長らく書けなかったのはつまり、書かなかったということはおそらく、いそがしかったのだろう。いそがしさは少しも減じていないどころか、いったいいままでのどこがいそがしかったというのか、ここから先、いよいよではないかと気色ばむ、そのさなかにかえっていよいよ「元気」が兆すのは、いまもっぱらドゥルーズのおかげと言っていい。(日にちを付すことにまったく意味はないものの)3日に、またどかんと本を買った。夜、新宿東口の紀伊國屋書店に行った。レジではしきりに「無料で配送も可能です」と勧められたが、持って帰らずになんのための本屋か。

 『対話』が、どうしたことだろうかというほどにすいすい読め、だからといって「わからない」ことに事態はさほど変わりないし、「わかる」などと大層なことを言うつもりもないが、しかしたしかに言葉が「入ってくる」という体験はドゥルーズでははじめてだから、いったいこれは何事かということになり、ひょっとして、このまま『アンチ・オイディプス』も読めてしまうのではないかという静かな興奮さえ起こる束の間の読書である。
さらにいきなりなことを言わせてもらえれば、映画は面白いね。もう終わってしまったが、有楽町朝日ホールでは日本未公開の13作品を集めた映画祭「フランス映画の秘宝」が先日まで開かれていた。また、東京日仏学院ではジャック・ドワイヨン特集が組まれ、ユーロスペースではまもなく上映権の切れるらしいエリック・ロメール作品群の日本最終上映が行われていた(いずれも終了)。まさに多忙を極めていたさなかの13日、朝から出かけて有楽町でロベール・ブレッソン『罪の天使たち』(1943年)と、ジャック・ドワイヨンの新作『誰でもかまわない』(2007年)、渋谷に移動して、妻とふたりでエリック・ロメール『パリのランデブー』(1995年)と、その日一日だけはただスクリーンをみつめてすごした。『罪の天使たち』で号泣。やられた。「今日がその百年の一日目だからよ」というセリフでだいぶまいっていたところ、ラストの移動撮影、そしてまさにラストの画面とで堰を切って涙があふれた。
「フランス映画の秘宝」で上映された作品のうち、

  • 『罪の天使たち』(ロベール・ブレッソン、1943年)
  • 『あなたの目になりたい』 (サッシャ・ギトリ、1943年)
  • 『三重スパイ』(エリック・ロメール、2003年)
  • 『最後の切り札』(ジャック・ベッケル、1942年)

の四本(予定)は、シネマテーク・プロジェクト第一弾としてこの秋から全国を巡回するらしい。東京近郊では来年一月に川崎で上映されるほか、アテネ・フランセ文化センターでも上映があるとのこと。

本日の参照画像
(2008年9月29日 22:24)

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