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Dec.
2008
Yellow

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/ 2 Dec. 2008 (Tue.) 「句会の報告っす」

しかし11月はよく書いた。11月のページがタテに長いったらありゃしないことになっている。高校の同級でかつ誕生日(1975年11月18日)がまったく同じであるところの上山君にかつて指摘されたことは今年もまた恥ずかしいくらいに当てはまり、つまり「バイオリズム」ってやつか、毎年この11月前後、誕生日付近でサイトの更新が頻繁になるのはまったく意識してのことではないが、でもなぜかきまってそうなのは──そろそろ句点を打ってはどうかと思うわけだが──それこそがバイオリズムってやつのおそろしさか。
さて、先月30日に開催された「句会」の話。すでに書いたように江東区芭蕉記念館の研修室を借りて会場とした。広く心地のいい和室で、七人の参加者ではその半分も使い切らない。床の間には掛け軸と大ぶりの花瓶、そして小さな銅製の芭蕉坐像が置かれているが、句会のあいだはその芭蕉像をテーブルの上に移動させ、つまりわれわれが合評をしているその正面脇、投句の紙が一句ずつ貼り出されるその隣に〈居て〉もらった。主宰のひとりである吉沼が、「これ、いつもだいたい(ここで句会を催す人たちに)こういう使われ方してるんじゃないか」と言うので笑った。

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(年末)
マッチ売る心を胸に暮の街 吉沼
まだ年明けてないのに着信 赤羽
越えられず三十二日(やのおおみそか)の口があく 相馬
ろうそくは持ちたくないと泣き叫ぶ主は、主は来ませり 南波
歳重ね 速さ重なる 師走時 細江
別々に帰るくらいなら東京 竹村

(旅)
白鳥よ必ず冬も会いに来るよ 南波
新築の押入にある三度笠 吉沼
いつの間に旅は道連れ百十人 赤羽
意味を問う意味のないふたり喫茶店 竹村
出不精で 一駅向こうは 旅気分 細江

(自由)
今日の飯 決めることすら めんどくせえ 細江
大波乱 芭蕉と一茶ここにあり 吉沼
人なしにはじまり終わらむ大地かな 相馬
生きづらいですチャーハンが食べたい 赤羽
一部張り替えた白いタイルと目地と湯気 南波

(歴史)
大昔浅野内匠頭が松 相馬
祖母の知る私はいまだ帰らぬと 竹村
目安箱徳川吉宗耳でかい 赤羽
柵の向こう 残像の街も日曜日 吉沼

(エキシビション)
古池や蛙飛込む水のをと 芭蕉
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 以上が今回の投句一覧。最後にエキシビションとあるのは、前述の芭蕉像を前にして「古池や」の句を貼り出し、みんなでそれを褒めそやすということをしたものである。
印象深かった句をいくつか取り上げてもう少し書こうかと思うが、その前にまずは自作解説をしておこう。

「越えられず三十二日(やのおおみそか)の口があく」

 「やのおおみそか」と読んでもらうよう「三十二日」にそうルビを振ったのだが、むろん「三十二日(やのおおみそか)」などという言葉はない。「やのあさって」これ東京ローカルな呼び方らしいが)からの連想で勝手に作ったものだが、「やのあさって」が「彌の明後日」(「さらに」あさって。つまりこの場合では「あさってのあさって」)の謂いだとして、「さらに大晦日」ならまあそれほどおかしくもないか。その「口があ」いて詠み手を呑み込むのだからこれはちょっと〈アンバランスゾーン〉的な何かということだが、はたしてそれ、空虚な12月32日が延々とくりかえされて年が明けないという恐怖なのか、はたまた、古来かぎられた人間(ある村?)のみが享受してきた12月32日という祝祭空間にまぎれ込み、その時間を愉しんだのち、一夜明けると何事もなく元旦であるというような不思議であるのか、そこはいろいろと想像が可能だろう。

「人なしにはじまり終わらむ大地かな」

 これはレヴィ=ストロース100歳おめでとうの意も込めたオマージュ。『悲しき熱帯』の最終章にある「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう」という感動的な言葉を五七五にしたもの。「世界」のかわりに「大地」を用いたのは、これもレヴィ=ストロースの言葉である「神話の輪舞の描く大地は円い」からのコラージュ。

「大昔浅野内匠頭が松」

 果敢にも「忠臣蔵」を俳句で説明するということに挑んだ男の物語である。まあ、モンティ・パイソンの「プルースト要約コンテスト」を思い浮かべてもらえればいいでしょうか。「松の廊下で」とつづけようとしたものの「松」で十七文字をむかえてしまい、アウト。ちなみにこの句はその男の二作目で、はじめに作った句では「江戸時代元禄十四年二月四日」で十七文字を使ってしまった。そこで「大昔」と省略したのだが、そういう問題ではなかったようだ。その試みは、俳句じゃなくて俳諧連歌でやればいいのではないかと思う。

しまった。自作解説だけでもうこんな長さになってしまった。ほかの方々の秀作奇作にはまた明日触れよう。ではまた。

(2008年12月 3日 15:05)

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