10
Oct.
2011
Yellow

最近のコメント

リンク

/ 19 Oct. 2011 (Wed.) 「六日目/きょうも行ってません」

ハロー。
朝、寝室。事前に何の相談もなく、ポシュテ(猫)がベッドから26V型の液晶テレビめがけて跳んだ。突然のことだし、一瞬のことだった。そんなことはいままで一度もなかったのだが、網膜を過ぎていったそのあいまいな図像をたどるなら、何事か思い違って液晶テレビの「上」に乗ろうとしたようでもあるし、「テレビなどない」と判断してテレビ台に飛び移ろうとしたようでもあった。ともあれ、ポシュテはテレビを道連れに高さ80cmのテレビ台からその後方へと落ち、すぐに寝室から走り去る。ちなみにテレビはいっさいの転倒防止策を施しておらず、付属のスタンドを使ってただ置いてあるだけだ(が、三月の地震のときはさいわい倒れなかった)。わたしもわりと大きな声を出したはずだが何と言ったのだったか、忘れてしまったのいうのは、それにつづく妻の「ちょっとなにしてんのぉー!?」というさも不機嫌そうな叱責がわたしにむけられたもののように聞こえてひるんだためかもしれない。
これだけ力を入れて描写しているのだからテレビ壊れたって話だろうと思われているとすれば申し訳ないが、無事だった。ベッドを抜けておそるおそるテレビ台と壁のあいだからテレビを取り上げ、まず液晶の無事を確認する。いっしょに落ちたスピーカー類をもとに戻し、電源を入れるとチャンネルも点く。なんともなかった。すっかりあきらめていたらしい妻が「テレビすげー」と賛嘆の声をあげた朝だった。
夜、いったん会社を抜けて永田町は国立演芸場へ。「立川談笑月例独演会 其の119回」。茂木(成美)さんと観る。「幇間腹」、「抜け雀」、「芝浜」。記憶に間違いがなければわたし、談笑を聴くのははじめてだ。というか、生の落語じたいが相当ひさしぶりである。「Yellow」の記述だけを頼りにさかのぼると、2009年の11月に(林家)正蔵を聴きに行ったのが最後らしい。
「幇間腹」をオーソドックスに(というかあっさり)演ったほかは、「抜け雀」にも「芝浜」にもはっきり手が入れられている。「抜け雀」の絵師は鳥かごを描き加えられてなお父親に反発する。うがって聴けば〈父=古典落語〉と見定めているかのようでもある。絵の雀が抜け出すことのファンタジーと同様、「息子の改心」もまたファンタジーであると見、そこに合理的な説明や展開をあてがうことでまたべつの噺を仕立てる。
といって、この場合の「ファンタジー」は(おそらく談笑においても)否定されるべき何かを指すのではなく、むしろ演者が噺の核と見るもの、真に向かい合うべきテーマのことであって、向かい合うからこそ手を入れなければならず、噺の細部をそこに向けて奉仕させねばならない──最終的にはファンタジーを機能させなければならない──ということなのだろう。では、ひるがえって(古今亭)志ん朝の「抜け雀」においては何がファンタジーだったのかという話だけれど、おそらくそれは「名人という存在」だったのではないか。──てなことを考えていたら、以前に長兄からもらったメールのことを思い出したのだ。『落語研究会 古今亭志ん朝 全集』発売決定の報に接して「なんだか浮かれ」た兄が、TBS 落語研究会をテレビ録画した(『全集』に収録されているのと同じ)志ん朝の「抜け雀」を見てメールしてきたものである。

なんだか浮かれて「抜け雀(絶品!)」を再鑑賞してしまいましたよ。
メタレベルの名人がさらにその上を行く名人(父)に頭を下げる、
その理由が「かごかきにした」からだという(凡人にとっての)訳のわからなさ、
すんごいレベルで父(志ん生)と向き合う名人と改めて向き合えば、
もうなんだか、泣けて泣けて泣けて・・・
2008年1月31日木曜日

 いい兄をもったな、おれ。
 あ、ところで関係ないですが、志ん朝のこの「抜け雀」の録画テープを〈完コピ〉して、わたし高校三年の学園祭で演ったのでしたよ。そこそこウケました。お恥ずかしい話です。
談笑版「芝浜」の魚勝は、最終的に酒を飲んでしまう。これもよく考えられた改作だ。むろん磨きあげたうえで高座にかけているのだろうが、あたかも高座上でいままさに登場人物の行動が決定され、物語が紡がれていくようにも感じるこの緊張感は、(立川)談志の「芝浜」を観たときの空気にとてもちかく、当然ながらその高座のことを思い出す。これが最終形ではなく、きっとまだ変化をつづけるのだろうことはむろんながら、「いまはこれがせいいっぱい」とばかりに吐き出されたきょうの高座はすがすがしかった。
てな感じで、長くなったのでこのへんで。下はこの12月、日活100周年のあれでデジタル修復版が全国ロードショーされる『幕末太陽傳』(川島雄三監督)の予告篇。では。バイバイ。

本日(19日)の電力自給率:10.6%(発電量:2.4kWh/消費量:22.6kWh)

(2011年10月21日 20:20)

関連記事

トラックバック(0)

このエントリーのトラックバックURL:
http://web-conte.com/blue/mt-tb.cgi/782