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Feb.
2012
Yellow

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/ 19 Feb. 2012 (Sun.) 「黒門亭で。トモヨチャンと。」

午後、湯島。落語協会事務所の二階和室がすなわち「黒門亭」で、土日に定期興行がおこなわれている。ほぼ「初対面」と言ってもいい篠原(礼)さんを誘ったのはまったく強引もいいところだが、昨年 5月の「ヒッピー部」公演(篠原さんが出演していた)で見知って、しかしその場ではべつだん挨拶もせず、以降ツイッターで何度かやりとりしただけのまま今日にまで至っていたところを、まあその、いきなり声をかけてみたのだった。
本日のトリ=桃月庵白酒の人気を慮ってだいぶ早くに集合をかけ、寒いなか、たっぷり一時間ぐらい協会事務所前の路地に並んだものの、気合い充分で臨んだ甲斐はさほどなく、何の加減か、たいした列にはならなかった(会場の和室は定員40人ほどで、むろん最終的に満杯になったものの、客の出足は遅かった)。並んでいるあいだにあらためて「ご趣味は?」レベルの質問をし、ようよう篠原さんのことを知るわたしである。
それで笑ったのは、「左右対称の名前にあこがれる」という篠原さんの〈趣味〉だ。「すごいと思いません? 『小山田圭吾』」と篠原さんは目を輝かせる。みなさんはいま、文字でこれを読んでいるからあれだろうが、会話のなか、音でだけ「おやまだけいご」と言われれば、追って字面を浮かべながら、これがなかなか「おおー」となるのだ。ややあってから、「あれ? 『吾』はいいの?」となるが、「いや、そこはちょっと大目に見てやってください、五文字もあるんですし」と答える篠原さんはつまり、前提としてまず小山田圭吾が好きらしい。
この春に早稲田を卒業する篠原さんの卒業制作(と呼べばいいのか?)は小説で、短編を 5篇書いたといい、読みたいというとすぐさまかばんのなかから取り出したそのコピーをくれる。
さて、黒門亭(の、この日の 2部)

小町 柳家フラワー
時そば 古今亭志ん公
楽屋噺〜池田屋をちょっと 春風亭勢朝
干物箱 桃月庵白酒

 過日の約束どおり──ってことなのかどうか知らないけど──、志ん公さんは「時そば」。これ、後半のひと(前半のひとを真似して失敗するひと)は元来ただの「間抜けな男」であってべつに「与太郎」じゃあないのだが、若き日の志ん五はこの人物を与太郎として演った(それが以前にも紹介した映像。で、きょうの志ん公さん、後半の人物のその登場時だけ、(さすがにあそこまでじゃないものの)表情がきっちり〈志ん五系統の与太郎〉だったのはうれしいプレゼントだ。その点をのぞけばわりあいオーソドックスな、手堅い出来の「時そば」で、完成度は今後にもっと期待したいところ。「時そば」はねえ、志ん五のを見てそう思うけど、やっぱり前半の人物ですよ、肝は。ウキウキするもんなあ、志ん五の演る前半の男。
勢朝は噂にたがわぬ「楽屋噺」。落語協会の名簿を手に、香盤の上から順にどんどんと落語家の悪口を言っていくというネタで、むろんまあひとつの〈芸〉の域にも達した悪口=エピソード集なのだが、さすがにちょっと長かったかなという印象。しかも「え? いまから?」という時間になって噺(「池田屋」)に入ろうともし、けっきょく途中でまた脱線してそのまま降りたが、とにかく気が気でないというのは、俎上に載せられるその落語家にふだん親しんでいてナンボという〈悪口〉が連発されるなか、隣に座って高座を見つめている篠原さんは何しろ落語を聞くのがはじめてなばかりか、だいじょぶかな、退屈してないかなと覗いたその横顔が原田知世に似ているとあっては、いったいどうしたらいいのか。
というわたしの心配をよそに、篠原さんは楽しんでいたようで、本人が弁解するとおり「リアクションが表に出ないたち」だから傍目にはわかりにくいものの、つづく白酒の熱演まで、心底堪能したらしい。終演後、ちかくのベローチェでもう少ししゃべってからトモヨチャンと別れる。

@soma1104: しかしみんなはあれか、篠原さん( @snhr_moya )さんが、すぐ隣で見てるとかなり知世ちゃん(近年の)だってことを知っていて私に黙っていたのか。ずるいじゃないかよ。
2012年2月19日 20:22

 括弧をまたいで「さん」を二重に付けていることにわたしの興奮が見てとれようというものだが、やはり、きょうの収穫は黒門亭より何よりこれに尽きるのではないか。
なお、ツイートでは省略したが、わたしの脳裏には〈原田知世説〉のほか、〈大貫妙子説〉、〈IMALU説〉も併せて浮かんでいたことをここに記しておきたい。
本日(19日)の電力自給率:36.0%(発電量:15.5kWh/消費量:43.0kWh)

(2012年3月10日 22:12)

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