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Apr.
2012
Yellow

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/ 29 Apr. 2012 (Sun.) 「母と上野へ」

ま、ふと思い立って、わたしが誘ったのだった。「お山」と呼ばれるらしい上野のあの界隈を「庭だった」と言ってはばからない母は日暮里の生まれで、だからわたしは子どもの時分、母の帰省の折りなど、連れられて国立科学博物館によく行った。「母と出かける」というと、わたしのなかではまず国立科学博物館のイメージがあるのであって、あの界隈にはほかに動物園もあれば科学博物館以外のさまざまな文化施設も揃っているそのなかで(むろんそれらにも行っているはずだが)、国立科学博物館の印象ばかりがやけに突出しているというのは、まあ、好きだったのだろうし、さらに言えば、どうやら母もまた〈科学博物館的なるもの〉が好きらしいということがあって、それでおのずと行く回数が増えたものかもしれない。なにしろ、国立科学博物館ではいま特別展として「インカ帝国展」──なんと心躍る響きだろうか──をやっているのだが、ふたりでそれ見に行こうかとはじめに提案してみたところ、「こないだ見てきた」と母は言うのだった。
というわけで、じつにひさびさ、母子で国立科学博物館に行ってみるのはどうかというところからはじまった企画である。インカ帝国展は行ったばかりだというし、じゃあ何にするか、ともあれ母はふたりで出かけること自体に乗り気だから、まあこっちだってべつにどこでもいいわけで、たとえば国立科学博物館の常設展のほうはどうか、あそこ、常設展だけでもけっこう満腹になる感じじゃないのか、あるいは動物園でもいいし、とにかくあの界隈の何かしらに行こうということになったのち、日を置いて母から電話があり、「行ったことがないので鈴本(演芸場)に行きたい」と思いがけぬ方向に急旋回したのだった。ことによるとこれは、親孝行ってやつなのではないか。

7:59
起床。
9:55
日記を更新。22日付「あしながは活躍している。てながはどうか」
10:35
日記を更新。23日付「なるほどねえー」
10:47
出かける。上野へ。
12:29
母と落ち合って食事を終えたところ。
13:01
国立博物館の常設展へ。
15:23
不忍池でソフトクリームを食べてる。
17:04
鈴木演芸場に入る。
20:48
鈴本ハネました。母さん、こっくりすることもなくトリまで堪能した様子。
22:13
4/29 鈴本演芸場・夜の部。金明竹/花どん、元犬/志ん吉、太神楽曲芸/翁家和楽社中、手紙無筆/文左衛門、たけのこ/喜多八、漫才/ロケット団、マキシム・ド・呑兵衛/白鳥、粗忽の釘/雲助〈仲入り〉ギター漫談/ペペ桜井、奇術/アサダ二世、双蝶々(小雀長吉)/馬石。

日記をふたつ更新したのち家を出て、昼に上野駅待ち合わせ。そこは「上野は庭だ」というひとに店選びをまかせて、京成上野駅ちかくの中華料理屋「蓬莱閣」でランチを食べる。満腹。鈴本のほうはわたしの判断で「夜の部」(17:30開演、開演15分前ぐらいから前座が上がる)を見ることにし、それまでのあいだを「何かしら」でつなぐことに。というか、母の生態をよく知る者として何より心配なのは、「母、鈴本で寝やしないか」ということであって(「絶対寝るでしょ」と妻はきっぱり言った)、とにかく前半であまり飛ばさないよう、疲れてしまわないよう、ゆったり時間をつぶすことに専心する。
で、まずは国立科学博物館へ。インカ帝国展は入場待ちに一時間といった列がすでにできており、それを横目にわれわれは常設展のほうへ。「日本館」というのと「地球館」というのがあって、日本館のほうから順に見る。話題の特別展にはちょこちょこ来ているらしい母だが、常設展を見るのはそれこそわたしを連れてきていたあのころ以来のようで、ふたりとも、その二十年以上前の記憶──いま日本館となっているのがあのころからある古い建物で、何よりその階段の手摺に見覚えがあった──をダイレクトに参照しつつ、そして母は、常設展でかつて見たというミイラにやけにこだわる。「あ、このへんじゃない? ミイラがあったの」「そうかも」「もうないのかね」「アレはあのとき特別に来てて、お帰りになったんじゃないの?」「そうか」。
博物館は「見て回る」ので意外に疲れる。休み休み地球館まで見て退出、公園を歩いて不忍池のほうへ。池を望みながらソフトクリームを食べ、そののち松坂屋のなかの喫茶店に入った。で、だいぶのんびりしてから、いざ、鈴本。

金明竹 柳家花どん
元犬 古今亭志ん吉
太神楽曲芸 翁家和楽社中
手紙無筆 橘家文左衛門(白酒代演)
たけのこ 柳家喜多八
漫才 ロケット団
マキシム・ド・呑兵衛 三遊亭白鳥(彦いち代演)
粗忽の釘 五街道雲助
(仲入り)
ギター漫談 ペペ桜井
奇術 アサダ二世
双蝶々(小雀長吉) 隅田川馬石

ね? けっこういい番組でしょ?
今席はヒザ前を削って(仲入り後の出演人数をひとり減らして)トリの馬石が長講たっぷりという趣向で、その馬石の「双蝶々」(ふたつちょうちょう)(の、上中下で言うとだいたい中にあたる部分。ちなみに翌日の高座でつづきを演ったらしい)もむろんよかったけれど、でも、きょうはなんといっても喜多八の「たけのこ」かなあ。
母はよく笑っていた。けっきょく一度もうとうとすることなく、トリまでたっぷり堪能したご様子である。仲入りのときに「二ツ目といってもみんなうまいのね」と言うので「ん?」となるが、どうやら「トリをつとめるのが真打ちで、トリ以外はだいたい二ツ目が出てくる」と思っていたらしい。文左衛門も喜多八も雲助もみな二ツ目だと思って聞いていたようだ。
ハネたあと、ふたりで寿司を食べてから解散。最終の新幹線に乗る母と上野駅で別れた。そんな一日である。

以下、おまけ。不忍池でのわたしのつぶやきに端を発した、児玉(悟之)君とのきょうのやりとり。

@soma1104: 不忍池でソフトクリームを食べてる。
2012年4月29日 15:23

@sk_losco: @soma1104 何味ですか?
2012年4月29日 15:25

@soma1104: @sk_losco ランラン味。
2012年4月29日 15:27

@sk_losco: @soma1104 知らないやつですね。何色なんですか?
2012年4月29日 15:47

@soma1104: @sk_losco バニラ味色。
2012年4月29日 17:05

@sk_losco: @soma1104 さてはバニラ味でしたね。
2012年4月29日 17:36

本日(29日)の電力自給率:83.6%(発電量:17.9kWh/消費量:21.4kWh)

(2012年5月30日 16:44)

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