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Jan.
2014
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/ 14 Jan. 2014 (Tue.) 「Culture is Ordinary」

レイモンド・ウィリアムズ『共通文化にむけて──文化研究 Ⅰ 』(みすず書房)。

高山智樹『レイモンド・ウィリアムズ──希望への手がかり』(彩流社)。

レイモンド・ウィリアムズ『共通文化にむけて──文化研究 Ⅰ 』(みすず書房)を買う。いつものごとく「ウラゲツブログ」(月曜社の小林浩さんのブログ)記事で知った新刊で、新宿のブックファーストにて購入。ネットで知り、アマゾンで当日着が適わないとなった場合には──うちでは朝の 11時半ぐらいに最後の切り替わりポイントがあって、距離の近い保管倉庫に在庫があるのだろう書籍はそこまでの注文がその日のうちに届く(!)のだが、そこを跨いでしまったときには──、会社帰りに、その時間までやっている新宿のブックファーストに寄る、というのが最近のだいたいのパターンだ。プレゼント用に購入した『軽いお姫さま』(青土社)を除けば、これが今年最初に買った本。

「『オリエンタリズム』以後のわたしの仕事は,レイモンドの仕事をほんとうに大きな支えにしてきました」(E・W・サイード)
「イギリスの知の世界はそのもっとも個性的で独創的な人物を失い,左翼陣営はそのもっとも傑出した社会主義知識人を失った」(スチュアート・ホール)
カルチュラル・スタディーズの祖と目される批評家にして,1950年代末から新自由主義台頭のサッチャー政権時代まで新たなオルタナティヴを提示しつづけたニューレフト運動の論客.テリー・イーグルトンいわく「戦後イギリスが生んだもっとも優れた文化思想家」の全貌を示す日本独自編集版(全2巻).第 Ⅰ 巻の本書は「文化とはふつうのもの」「共通文化の理念」「社会ダーウィニズム」「マルクス主義文化理論における土台と上部構造」「社会主義とエコロジー」「ウェールズとイングランド」「距離」「映画史」ほか,すべて本邦初訳の論考 16篇とリチャード・ホガートとの対話 1篇,初期から晩年にいたる文化論を集成.
『共通文化にむけて──文化研究 Ⅰ 』カバー裏の紹介文

長い革命への
遺された道標
同じく帯の背のコピー

 「文化とはふつうのもの( Culture is Ordinary)」はその冒頭に収められたエッセイ。平易さと晦渋さが隣り合わせにいるような文章で、要は「むずかしい」んだけど、このむずかしさに、いまはちょっと付き合ってみたい。うーん、副読本がいるかなあ。高山智樹『レイモンド・ウィリアムズ──希望への手がかり』(彩流社)とか。

 だが、最後の問いはこうだ──わたしたちのうちのどれだけ多くがほんとうに民主主義を信じているのだろうか。資本家は信じていない。政権が変わっても生きのびる力を彼らは強めている。労働党の立案者の多くは信じていない。彼らはそれを公共の利益という名の抽象のために専門家が運営する社会と解釈する。ティーショップの人びとは信じていない。愉快なものにはなりそうもないと決めつけているからだ。それでは他の人びとは、新しい反対者たちはどうか。民主主義を本来的に支持する人びとのなかで、民主主義の理念に幻滅させるのに、また怒れる亡命へと追いやるのにもっとも貢献したものといえば、単純で抗しがたい文化の諸問題においてほかにない。一方でよそよそしく自己満足的な洗練、他方で愚かな大衆という文化のあからさまな分断がそれだ。そうなると、だれが民主主義を信じているのだろう。その答えは単純明瞭、自分が働き、感じている場所で民主主義をいまだに得ていない英国の何百万人もの人びとである。そこでは、つねにそうであるように変化をもたらすエネルギーがある。社会主義の知識人のなすべき使命はこれまでと変わらない。まずは企業の労使関係、公共行政、教育の場でそのエネルギーの抑圧装置を叩くことだ。そしてそのエネルギーが解き放たれたときに、集中力を高めて実りある成果を結ぶように、それぞれの分野で働きかけることだ。技術的な手立てはかなりむずかしいが、なによりむずかしいのは、わたしたちの頭の奥で自分たちが拠って立つ諸価値を受け入れることだ。つまりふつうの人びとが統治をおこなうべきだということ。文化と教育はふつうのことだということ。救ったり、捕らえたり、導いたりする大衆などというものはいなくて、むしろくらしが混乱を伴いつつ度外れに急速に拡張してきたなかで、そこに巻きこまれて群れをなして生きている人びとがいるということ、これである。物書きの仕事はひとりひとりの個人の意味にとりくみ、その意味をともに分かちあえるものにしてゆくことだ。これらの意味が広がりつつあるのがわたしには見える。その道程において、もたらされるべき変化は土地のなかに書きこまれている。そこでは、言葉は変わっても、声はおなじままでいる。
レイモンド・ウィリアムズ「文化とはふつうのもの」『共通文化にむけて──文化研究 Ⅰ 』p.31-32

Walked 4.1km • 5,362 steps • 49min • 197kcal.
Cycled 2.2km • 9min • 47kcal.
本日の参照画像
(2014年1月20日 20:54)

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