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Feb.
2014
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/ 27 Feb. 2014 (Thu.) 「大乱闘」

『大乱闘──テーオ・エーレット撮影によるプロレスとエロチックレスリング』(タッシェン・フォトシリーズ)

ロラン・バルト著作集 3『現代社会の神話』(みすず書房)

朝、でかい本が届く。思っていた以上にでかかった。なにせ、立つし。
18日付の「謎ですよ、と大場さんはいう」を書くにあたってフレッド・ブラッシーのことを確認しようと、まずはウィキペディアにあたったのだけれど、そこにはこういう記述があった。

前歯は差し歯だったと言われているが、この前歯をヤスリで研ぐパフォーマンスを見せたうえで、序盤から終盤まで噛みつき口撃で対戦相手を「血まみれ」にする悪役に徹した。ヤスリは、実のところ、爪を研ぐための目の細かいヤスリで、歯を削る真似をしただけだった(しかもこのパフォーマンスは力道山の指示による日本限定の物だったらしい)。〔太字強調は引用者〕
フレッド・ブラッシー - Wikipedia、2014年1月31日 (金) 09:45 UTCの版

で、こないだの日記にひっぱってきたブラッシーの写真はこちらのファンページ(?)にあったものだが、そのクレジットにはこうあるのだ。

Photo credit: Exquisite Mayhem: The Spectacular and Erotic World of Wrestling by Theo Ehret (Tashchen Publishing)

 この『 Exquisite Mayhem』(の日本語版である『大乱闘』)というのが今朝届いた写真集なのだが、撮影者であるテーオ・エーレットは 60年代なかばから 80年代初期にかけてロサンゼルスのオリンピック・オーディトリアムに雇われ、ボクシングやプロレスの写真を多く撮った人物らしい( 2012年に亡くなった彼の追悼記事「 Theo Ehret, 1920-2012」がここにある)
わたしがネットで拾った「前歯をヤスリで研ぐ」ブラッシーの一枚も彼の仕事のひとつであり、ということは、少なくともテーオ・エーレットのカメラを通じてそのパフォーマンスはあちらのファンにも多少は流通したし、リング上のパフォーマンスを撮ったものではないものの、ブロマイド的な写真撮影にあたってはあちらでもそのイメージを用いたことがあったということになって、「日本限定の物」とまで呼ぶのはちょっと事情がことなるのではないか──という、「で?」というようなことを考えたわたしは、『 Exquisite Mayhem』への興味も次第にそそられるうちに、ついアマゾンでその古本を注文してしまっていた。
本棚に収まりきっていない本の処理がちっとも済まないまま、またぞろでかい本が届いたことに呆れている妻は「あ、誰かへのプレゼント?」としきりにいい、それが家にとどまりつづけずに誰かの手へそっくり渡ることを願ってやまないが、これなあ、誰にあげるとよろこんでくれるかなあ。いや、いい写真集なんですけどね。でかいしなあ、重いからなあ。
ところで『 Exquisite Mayhem』のことを事前に調べていてびっくりしたのは、「著者 ロラン・バルト」としている情報があるからで( Google ブックスの書誌情報とか)、何だ? と思ったら、「プロレスの世界」と題されたバルトのエッセイがなかに収録されているのだった。むろん 2001年刊行の『 Exquisite Mayhem』にバルトが寄稿するわけもなく、これは、日本語版では独自に訳出したようで訳文はことなるものの、ロラン・バルト著作集 3『現代社会の神話』に「プロレスする世界」として収められているところのそれである(初出は『エスプリ』誌 1952年10月号の記事)
で、さらにつなげるなら、このバルトのエッセイに〈過激なプロレス〉の立場から批判的に応答したのが、村松友視『私、プロレスの味方です』( 1980年)の「ロラン・バルトよ、さようなら」という文章だ。──と、そうして挙げていく本がいちいち本棚にあって、すぐさま原典を確認できるのはありがたいかぎりだけれど、そんなだから本は本棚に収まりきらないのだった。

 プロレスの醍醐味は、それが誇張されたショーであることだ。ここには、古代演劇にあったにちがいないのと同じ大げささがある。そして、実際、プロレスは屋外のショーである。というのは、円形競技場やアリーナに、その本来の意味を与えているのは(むしろしゃれた場面に相応しいロマンチックな意味を持つ)空ではなく、真下に向けて降り注ぐ、あふれんばかりの光の洪水という特質だからである。最もむさくるしいパリのホールで闘ったとしても、プロレスには、ギリシア劇や闘牛のような太陽のもとでの大スペクタクルに通ずるものがある。つまり、どちらも影のない光は、ありあまる感情を生み出しているのだ。
ロラン・バルト「プロレスの世界」、訳文は『大乱闘』のもの

Walked 3.2km • 4,656 steps • 46min • 155kcal.
Cycled 1.5km • 7min • 33kcal.
本日の参照画像
(2014年3月 7日 12:51)

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