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Oct.
2014
Yellow

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/ 11 Oct. 2014 (Sat.) 「行楽っていいですね、と石原君はしみじみ言う」

「これわかりやすいじゃないですか」と興奮しながら蒸留釜の模型を写真におさめる石原君。

「これもすごいなー」と石原君。

樽たち。

そしてテイスティングの時間。このようなセットが各人にたいし用意される。

駅前の「入船食堂」。その「名物とろろそば」に石原君はいたく感銘を受ける。

石原(裕也)君とふたり、山梨県は小淵沢へ。目指すは「白州(はくしゅう)蒸留所」というサントリーのウイスキー工場。
今年に入ってにわかにウイスキーにはまったと言っていた石原君から、「ところで全然別の話ですけど、相馬さんってウイスキー飲みます?」というメッセージが飛んできたのが先月の 25日。さてはもうブームが去って、手元に余ったウイスキーの処理の相談かと早合点したが、そうではなく、工場見学の誘いだった。山梨の工場で早朝から見学イベントをやっているらしいので、それに行こうかと思っているという話。「行こう行こう」と応え、そのときに 10月11日という日取りを仮決めしたものの、以来、お互いに何の詳細を詰めることもないまま前日(きのう)をむかえる。ま、なかば忘れていたのだが、明日決行予定だという再度のメッセージが来て、行くことにした。事前予約の電話を石原君が入れ、その情報をもとにわたしが行きのスケジュールをまとめる。
予約した見学コースが 10時30分スタートなのでそこから逆算すると、まず石原君が 7時ぐらいに東京駅を出る計算だ。新宿駅・7時30分発の「あずさ 3号」に石原君が乗車、そのあずさに、わたしが立川駅から 7時53分に乗り込んで合流すると、目指す小淵沢駅に 9時36分に着く。とはいうものの、石原君──朝に弱い──の乗っていないあずさにひとりで乗り込む悲劇だけは避けねばならず、「無事に起きて東京駅を出発した」という一報をもらってからわたしは駅に向かうことにして、「乗り過ごさずに新宿で乗り換え、あずさに乗った」ことを報せるメッセージが 7時40分までに来なければ、そのまま家にUターンして寝る、と前夜に手筈はきまったのだった。
でまあ、石原君もみごと起きて──というか寝なかったっぽいが──、無事同じあずさに乗ったのだったけれど、あずさをなめていたというのは自由席が超満員だったことで、通路にもまったく立錐の余地がない。どこに行くんだみんな。通路に余裕ができ、やっと合流できたのは甲府を過ぎたあたりで、その後もけっきょくデッキに立ったまま小淵沢まで。石原君は新宿駅で買ったまま手を付けられずにいる弁当の袋を提げている。あるいは新宿駅で弁当を買っている──座って食べる気満々の──自分を見て、「坊主、いったいどこで食べる気だい?」と熟練のアズサーたちは陰で笑っていたのではないかと想像し、石原君は恥ずかしがる。そして言う。「さっきようやく地図とか確認してたんですけど、これ、ちょっとした旅行じゃないですか」。
降りると小淵沢は清冽な空気。山梨すげえ。明日来るはずの台風などはみじんも感じさせずに晴れ渡っている。駅前のちょっとした公園のようなスペースで石原君は弁当を食べ、わたしは駅の立ち食いそば屋でかけそば。駅からはタクシー。10分ほどで白州蒸留所に着く。受付。
もともと予約してあった 10時30分スタートの見学コースはいわばウイスキー初心者向けの内容のもので、なにせ前日に予約したのでそれしか空きがなかったということらしいのだが、その予約のさい、「もし『ウイスキー匠の技講座』にキャンセルが出ましたらそちらに振り替えるようにいたしましょうか」と案内された石原君は両コースのちがいもあまり把握しないまま、ただただ「匠」というその言葉の響きに惹かれて「はい」と答えていて、受付で「キャンセルが出たのですが匠コースに変更しますか?」と訊かれる。で、11時からの「匠の技講座」に変更。所要時間も初心者向けより 50分多い 1時間50分だ。

シングルモルトウイスキー「白州」を構成している原酒のうち、4種類の原酒(非売品)を、チーフブレンダー・福與伸二の映像に合わせてテイスティング。ウイスキーの味わいの変化や、つくり手の技など、ウイスキーの奥深さにもっと触れたいという方におすすめの講座です。
ウイスキー匠の技講座 工場見学(セミナー/ガイドツアー) 白州蒸溜所 工場見学へ行こう サントリー

もろもろ見学。石原君のテンションは静かに高い。製造過程に沿ってひととおり工場内を見て回ったあと、最後にテイスティングコーナー。われわれの組と入れ違いでテイスティングの部屋から出てきた一団のなかにひとりだけ、完全に出来上がった様子のおじさんがいて笑った。都合よく記憶を再構築しているのでないとすれば、おじさんは連れの女性にたいし、「だから全部飲んだほうがいいんだって」と諭す調子で言っていた。
非売品の 4種類の原酒に加え、なにより「ニューポート」と呼ばれる〈樽で寝かせる前〉の原酒を飲めたことに石原君はいたくよろこぶ。曰く「いろんな本に『樽が重要だ』って書いてあるのをちょっと信用してなかったんですけど、きょうわかりました。樽、重要」。まずニューポートを飲み、寝かせる樽のちがいなどによって微妙に異なる風味・香味をもたせた 4種類の原酒を飲んでから、最後にそれら原酒をブレンドさせて作る製品の「白州」を飲むという流れなのだが、しばらく飲み進んだのちにふたたびニューポートを口にした石原君は興奮気味に言う。「ちょっといまもう一回ニューポート飲んでみてくださいよ。(その味気なさに)びっくりしますから」。「もうニューポートには戻れないね」「戻れませんよ」「若かったね、あのころ」「ほんと恥ずかしいっていうか、よくあれで人前に出てたなって話ですよ」と、ひとしきりニューポート談義を交わすわれわれ。
「匠の技講座」が終わり、お土産にテイスティング用のグラスまでもらってほくほくのわれわれはショップに移動し、買い物。「お土産よろしく」と言っていた妻のため、「白州」「山崎」「響(12年)」の 3銘柄の小さなボトルがセットになった飲み比べセットと、同じ小さなサイズの「白州(12年)」を単品で買う。

帰りは無料のシャトルバスで駅まで。サントリーの施設内にもレストランがあったのだがそこはやめて、小淵沢の駅前で何か店を見つけて食べようということに。店を探して歩いているはずが陽気と路の風情とにつられ、「この坂くだるかー」などと言ってはいつしかただの散策になっている。駅前の一角をぐるっとひと回りする程度に歩いたのち、けっきょくほかにめぼしい店もなかったので(「井筒屋」という鰻屋も見つけたがランチタイムを終えて準備中だった)駅前すぐの「入船食堂」に入る。石原君がとろろそばを、わたしが中華そばを注文。中華そばはチャーシューがうまかった。そして石原君はとろろそばにいたく感銘を受ける。ほんとうにうまかったらしい。
中央本線で甲府まで出て、甲府から「スーパーあずさ」に乗って帰京。中央本線では窓の遮光幕ごしにかるく西日を浴びつつ、ボックス席に向かい合わせに座る。「行楽っていいもんですね」と石原君はしみじみ言うのだった。
帰宅後、さっそく飲み比べセットを開け、妻と(もしくは妻が)飲む。コンビニで買った氷でオン・ザ・ロックというやつだ。「水割りはきらいだが、ロックとハイボールは好きだ」と妻。でもって飲み比べた結果、断然「響(12年)」だという。ついで「山崎」。白州蒸留所に行ってきたというのに、「響」と「山崎」ばかりがどんどんと減るのだった。
本日( 11日)の電力自給率:46.7%(発電量:10.8kWh/消費量:23.1kWh)

Walked 4.9km • 5,806 steps • 1hr 9min • 237kcal.
Cycled 1.7km • 9min • 37kcal.
本日の参照画像
(2014年10月15日 14:21)

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