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Sep.
2016
Yellow

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/ 13 Sep. 2016 (Tue.) 「『マンガをはみだした男 赤塚不二夫』を観る」

DVDは 9月30日発売。タモリがボーカルをつとめる主題曲「ラーガ・バカヴァット」はサントラ盤に収録されていないため、それが(家で)楽しめるのはこの DVDだけとのこと。

夜、ポレポレ東中野で冨永昌敬監督のドキュメンタリー『マンガをはみだした男 赤塚不二夫』を観る。今年の 5月ごろロードショーされていた作品で、今回はその DVD発売を記念してのアンコール上映( 16日まで)だが、わたしは初見。幅広い関係者への撮り下ろしインタビューのほか、赤塚本人の生前の肉声、プライベートやテレビ出演時の映像、映画、写真等々(もちろんマンガも)によってあらためて照らし出されるその生涯を、赤塚キャラクターを用いたポップな 2Dアニメーション(室井オレンジ演出)がナビゲートする 96分。アニメーションパートでナレーションをつとめる青葉市子がとてもよかった。
キーワードのひとつは「没法子(メイファーズ)」。満州生まれの引き揚げ者である赤塚の心に後年まで残ったというこの言葉は、「もうできることはない(やるだけのことはやった)、しょうがない」といった意味の中国語で、あきらめと楽観、ひいてはある種の──まずは現状を受け入れ、さあ、そこからやっていこうという──力強さまでもがないまぜとなって響くこの言葉の、赤塚による超訳(?)が「これでいいのだ」だったとされる。

お世話になっている 92歳のご老人とお茶をしながら話をしていたら、昔は日本最高峰の山は富士山ではなく台湾の新高山だったんだと聞いて驚いてしまいました。(略)1年かけてさまざまな話をした中で一番印象に残っている話は、世界で一番美しい言葉は中国語の没法子(メイファーズ)なんだと力説していたこと。この言葉は、「すべてを尽くしてもうやることはない。後は天に任せるだけだ。」というような「しょうがない」に近いニュアンスを持った言葉。御仁は戦場でよく聞いた言葉だと言って、「あれが本当に美しい言葉だ」と呟いていたのが非常に印象的でした。
没法子(メイファーズ) - The Sun also Rises.

 諦念の表明が、いやおうなくある種の〈美しさ〉に結びついてしまうその大地から、あくまでもどこまでもポジティブな「これでいいのだ」までの距離。時に応じ〈伸び縮み〉するようにも見えるその距離を、映画は丹念に見つめているように思えた。やがてラストに到来するのは、その距離がついに消え、両者の地平が完全に合致したかのようなニルヴァーナだ。その理想郷では、タモリの歌うハナモゲラ版インド宗教歌謡に乗って、如来となった赤塚のまわりを全赤塚キャラが踊るのであり、篤実に積み上げられたドキュメントの果てのそれは、ほんとうに感動的なのだった。
終映後には、音楽を担当した U-zhaanと冨永監督によるトークショーがあり、それを聞いていて「そうだよなあ」と思ったわけだが、冨永監督は、どう考えたってインタビュー(すること)が得手なひとではない。その彼が、「巧みに言葉や絵を引き出す」のではなく、「ただそこに居合わせる」ことによって作った、そんなドキュメンタリー(いや、もちろん、そこに監督としての〈たくらみ〉は充分にあるとしても)
ポレポレ東中野でのアンコール上映は 16日(金)まで。その他、全国での上映状況はこちらを参照ください。
 ──って、お前 DVDでももらったかというような書きっぷりだけれども、何ももらってませんですよ、はい。

本日( 13日)の電力自給率:10.5%(発電量:1.8kWh/消費量:17.0kWh)

Walking: 5km • 6,500 steps • 1hr 11mins 28secs • 235 calories
Transport: 48.7km • 1hr 21mins 57secs
本日の参照画像
(2016年9月14日 20:07)

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