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Oct.
2016
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/ 22 Oct. 2016 (Sat.) 「その魅力の影に」

小林健治・著、辛淑玉・企画『最新 差別語・不快語』(にんげん出版)

朝、流れてきたのは「都道府県魅力度ランキング」なるもので(掲出画像はその調査結果をもとに記事化した産経新聞のもの)、茨城が 4年連続最下位なんてことはどーでもいいのだけれど──わたしは茨城県筑西市というところの出身です。どうもはじめまして──、むしろ上位の構図、沖縄が 4位に、北海道が 1位に( 2位・京都、3位・東京を挟んで)あることのほうが、見ていて苦しい。
きのう池袋のジュンク堂で買った本のひとつは、小林健治『最新 差別語・不快語』(にんげん出版)だ。ひと月くらい前にツイッターで流れてきていたもの。店の検索端末で探すと「社会」コーナーの「総務」の棚にあると案内され、行ってみるとつまり企業の「コンプライアンス」とか、「リスクマネジメント」とか、そういった関係の本が並んでいるところなのだった。同書もまた同様の企図のもと(マスコミ、企業・公共団体の広報担当者向け)に編集されたものだが、ただ、帯にもあるように、

抗議されたあらゆる事例を検証、「いい換えマニュアル」「禁句集」ではなく、「なぜそれが差別表現なのか」を解説

するもので、たいへんにためになる。また、同書には『差別語・不快語』というタイトルの 2011年版があるのだが、2011年版ではまったく触れていなかった「ヘイトスピーチ」(同書ではこれを差別表現と明確に区別し、「差別的憎悪煽動」という訳を与えている)についての記述・解説を加えたというのが改訂版出版の大きな目的とのこと。

 本書でもくり返し強調していますが、「差別語」は確かにあります。しかし、使ってはいけない「差別語」なるものは存在しない、ということです。
 言葉は文化です。その意味で、「差別語」もいわば “負” の文化であり、文化的遺産です。差別語はたんなる「記号」ではありません。差別語の背後には、被差別者の人格と尊厳を踏みにじり侮辱した歴史と現実が刻み込まれています。そこには、生身の人間が生きてきた哀しみと怒りが反映しています。
 差別語を考えることは、伝統的な社会的価値観や人間的価値観を、現代の基準にみあった価値観に転換することをも意味しています。
小林健治「『最新 差別語・不快語』刊行にあたって」、『最新 差別語・不快語』p.4

さて、同書の「アイヌ民族差別」の項にある文章、「『土人』はなぜ差別語になったか」によれば、こうだ。

 大和民族の社会において、「土人」は古い時代から、「土地の人々」「現地の人々」という意味で、異民族・外国人に対する蔑称は「夷人」でした。アイヌ民族が「夷人」と呼ばれたのも、また幕府の外国人打ちはらいが「攘夷運動」と呼ばれたのも、そのためです。ところが、1855年の日露和親条約で、日本政府は、アイヌ民族をほんらいの日本国民とし、アイヌ民族の居住地域を日本の領土だと主張するようになります。この論理からいえば、アイヌ民族を「夷人」と呼称しつづけることは、領土権をみずから放棄することになります。そこで、日本政府は、アイヌ民族の呼称を「土人」に切り替えたのです。これが、その後アイヌ民族が、「土人」「旧土人」と呼ばれる原因にもなります。
 そして、この切り替えによって、「土人」という言葉の実体的な意味が「土地の人々」から「未開で野蛮な異民族」にすり替えられることになります。日本の植民地主義や侵略戦争が展開するなか、とくに、アイヌ民族に使われたことから、先住民族への蔑称として使われるようになりました。明治時代の初期には、琉球人に対して「土人」という呼称が使われ、また日本が委任統治領とした南洋群島などでも「土人」という呼称が使われました。1997年に「北海道旧土人保護法」が廃止されるまで、「土人」という差別語は、行政用語としても定着していたといえます。〔後略〕
小林健治『最新 差別語・不快語』、p.198

 ここに解説される大和の歴史が示すとおりで、「土人」という言葉を差別語たらしめている植民地主義的まなざし、アイヌや琉球をとりまく構造的差別こそが是正すべき問題の根本である。
だからわれわれは、松井一郎・大阪府知事のツイートが届けてくれたメッセージを、たがわずにしっかり受け取る必要がある。「ご苦労様」と府知事がねぎらったその「出張」の「職務」とは、つまり沖縄にたいする「植民地支配」という仕事なのだという、そのメッセージを。
本日( 22日)の電力自給率:8.5%(発電量:1.5kWh/消費量:17.5kWh)

Walking: 118 meters • 240 steps • 2mins 40secs • 6 calories
本日の参照画像
(2016年10月24日 01:25)

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