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(1969年9月7日収録、同年10月5日放映)
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(1969年8月30日収録、同年10月12日放映)
第1シリーズ/第2回(5/9)
結婚指導カウンセラー
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- カット変わって男、「結婚カウンセラー」と書かれたカードを持っている。カウンセラー(その男)、机の向こうに座っている。彼、カードを下げて、言う。
- カウンセラー(ERIC)
- お次の方!
- 小さな男が入ってくる、連れてきたのは均斉がとれ胸の豊かな金髪の美女(Carol Cleveland)で、露出の多い服を着ている。
- 男(MICHAEL)
- 結婚指導カウンセラーの方ですか?
- カウンセラー
- そうです。おはよう。
- 男
- おはようございます。
- カウンセラー
- (女性を見つめ、魅せられて)おはよう、奥様。(間、身震いしてじっと見つめるのをやめ、男に向かって)名前は?
- 男
- アーサー・ピューティです。
- カウンセラー
- (下を見ずに書きとめ、ただただ男の妻を見つめて)で、あなたの魅惑的な奥様のお名前は?(彼女の手を押さえ)待った。言わないで。そう、月光に関係あるね、その瞳にぴったりなものだ、柔らかで優しく、暖かで感化をうけやすい、深遠なほどに詩的で、それでいて敏感で、おびえた白い小ウサギのようだ。
- 男
- デアドリーです。
- カウンセラー
- デアドリー。お美しい名前だ。なんて美しい、美しい名前。(上体を乗り出し、デアドリーの頬をそっと手で撫でる)ピューティさん、結婚に何か問題でも?
- 男
- その、全ては5年ほど前、休日に一緒にブライトンに行くようになってからなんですが。デアドリーは、妻のことですが、私にとってずっととても良い相手だったので、結婚生活での争いなんて特に予期したことは一度もありませんでしたし、実際、プロの結婚アドバイザーに相談するなんていう考えには、ずっと強い反感を持っていました、勿論あなたのお仕事や職業といったものの本質に異議を唱えるわけではありませんが。
- カウンセラーと男の妻は聞いてない。彼ら、互いに魅せられ、うっとりしている。
- カウンセラー
- (ピューティがしゃべりを止めたのに気づき)続けて。
- 男
- その、今申しましたように、私たちはずっと良い友達同士だったんです、趣味を共有してましたし、ガーデニングとかいろいろ、模型飛行機とか、休日用のお金を6ペンス・ボトルに貯めてね、実際月に2回、それを勘定しながら晩に計画を練るんです、何かその、デアドリーの、デアドリーです、私の妻の、行きたいところとか、そういう希望に添うような計画をね。(カウンセラーは顔をデアドリーの顔へと非常に接近させ、二人はキスをしかねない様子)どうも最初に申し上げておくべきだったようですが、私はその、ユーモアを解する心のようなものを持ち合わせておりまして、まあここ2年間は人付き合いをとても避けていたんですが、でもそうなんです、で、比較的最近になってから気づきはじめたんですが、その、いや、気づいたというのは適切じゃないかも知れません、その、想像したんです、彼女には私以外に男がいるんじゃないかと。
- カウンセラー
- (デアドリーとほぼ抱擁状態にある)奥さんを疑ったんですか?
- 男
- ああはい最初は、率直に言ってそうです。(カウンセラー、デアドリーについたてを指さす。デアドリー、ついたての向こうに消える)彼女の行動が、その時の私には、この私ですが、少し変に見えたものですから。
- カウンセラー
- 変?
- 男
- そうです、いやつまり、ある程度はそうなんです。私は生来、疑い深い人間ではないんです、それとは程遠い人間で、その、実際私テーブルスピーチの名手として評判があるんですが、もしあなたが私の言葉の意味を…
- デアドリーの服がついたてのてっぺんから現れ、そこに掛けられる。
- カウンセラー
- ええ、分かってます。
- デアドリーのブラとパンティー、ついたてに掛けられる。
- 男
- とにかく、私を知る人たちは皆、私のことを良く…
- カウンセラー
- (上着を脱ぎながら)ごもっとも。これ持ってて。
- 男
- ああはい(カウンセラーの上着を持っててやる。カウンセラー、脱ぎ続ける)とにかく申しましたように、決心したんです、事実を直視して、物を遠回しに言うのはやめよう、二度と自分をごまかすのはやめようって。
- カウンセラー
- (パンツ一丁になる)あー、ちょっと10分ぐらい出ててもらえるかな?あ、じゃ30分ね。
- 男
- ええ、ええ、構いません、はい。外で待ってますんでその…(カウンセラー、すでについたての向こうに消えている)よし、これでいいんだな、たぶん。うん。確かにちょっと気が楽になりました。
- ドアから出ていく。男、南部アメリカ人の太い声に呼び止められる。
- 南部人(JOHN)
- おいそこの、ちょっと待った。男は何年も走り続けて、やっとそれが自分から逃げていることだと気づく。
- 男
- 図星だ。
- 南部人
- 男は自分の為すべきことを為すべきだ、逃げることにゃ何の意味もねえ。さあ引き返すんだ、戦ってこい、堂々と胸を張って。
- 男
- はい!
- 南部人
- さあゆけ、若いの、男になるんだ。
- 男
- やるぞ。やってやる! 逃げるのはもうたくさんだ。今だぞ。おまえの出番だ、アーサー・ピューティ、今がその時だ、アーサー・ピューティ。ついにおまえは男になるんだ!(決然とドアを開ける)オーライ、デアドリー、こっちへ出てこい。
- カウンセラー
- あっちへ行け!
- 男
- はい。はい。
- 男、鎧を着た男にチキンで頭を殴られる。
- ナレーターの声(JOHN)とキャプション
- 「ペーソスはこれまで!」
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