はじめにお読みくだサイの河原、鬼のいけずったらもう。
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多くの、しかも小さな事柄が絡み合って、広川太一郎のデータベースを作るという今回の私の行動につながったわけだが、話はそれほど複雑ではない。事の発端と言えるものはいくつかあって、なかにはもう忘れてしまった事柄もあるが、イヤサなんにも覚えていないわけじゃないサ、ホイサ。どっこいさ。なに書くんだっけかコノって、おぼえてるくせにコノ。メールお待ちしてるんですってわっ、わっ、わっ。
そうじゃなくて。
私の作ったこの「広川太一郎データベース」は、データベースとしてはそんなにたいしたものではない。そのことをまずお断りした上で、データベース作成にまで至った動機のようなものをお話ししたいと思う。まずはえーと、事の発端である。事の発端バッタン、ギッタンお肩を叩きましょ、なーんて言っちゃったりなんかしてからにして。そりゃ「カアサン」なんだってばっ、てばーーっ。
そうじゃなくて。
007シリーズのファンになった。
なんか「いきなりな話」で恐縮だが、時間的な順序としてはまずこれがはじめに来る。アラタまって「ファン」だなんてちょっとハズラカシイが、そうなってしまった。それもごく最近、である。ここ1カ月で廉価版のセルビデオをもう6本も買っている自分を見るに、ファンとしか言いようがない。
さて広川との関わりだが、もちろん三代目ボンドのロジャー・ムーアで、ムーア・ボンドの吹替といえば広川が定番なのだが、そのことにすぐ思い当たったわけではない。だいたいレンタルビデオやセルビデオは字幕だし、最近では深夜映画も字幕が多い。「ムーア=広川」の図式がいきいきと浮かび上がるにはもうちょっと待ってほしい。
『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』と『ルパン三世 風魔一族の陰謀』。
いっしょに借りてきて見た。『DEAD OR ALIVE』は栗田貫一が、『風魔』は古川登志夫が、それぞれルパンの声をやっている。
さてここで、皆さんと、共通の世界認識を分かち合いたいと思う。「似てねーよ、クリカン」ということである。
しかも、だんだん似てなくなってきている。『DEAD OR ALIVE』では、クリカンが山田康雄を意識して声を張り上げたり、タメてしゃべったりする度に、思わず「誰?」とつっこんだこと数回、つっこみそうになったこと数十回である。まったく、石田太郎の爪の垢でも煎じてなさい、ずっと。
一方、古川ルパンはなかなかよかった。「問題ない」という言い方は失礼かもしれないが、あのモノマネ野郎に比べたらまったく「あり得る選択肢」である。
われわれの合い言葉はひとつだ。「栗田貫一を降ろせ」である。
しかし、クリカンを降ろすだけで現状に横たわる「どうもこうも腐り切ったルパンシリーズ」がどうなるものでもないのは事実だし、「次のルパン」に期待することにとっくに疲れていたわれわれは、クリカンを降ろせなんて、言う気にもならなかった。
広川ルパン。
きっとアニメファンにはポピュラーなアイテムなんだと思うが、『ルパン三世シークレットファイル』というビデオがある。私の場合、田舎のレンタル屋にあったので、中学生の頃に見つけて知っていた。目指す広川ルパンはここにいる。
『ルパン三世シークレットファイル』は、旧シリーズの制作がはじまる前に作られたパイロットフィルムが2パターン(スタンダード版とシネスコ版)、それと劇場用映画4作品の予告編を収録したもので、スタンダード版の方のパイロットフィルムでルパンの声を担当しているのが広川太一郎である(シネスコ版は野沢那智)。
この広川ルパンが実にヨイ。広川だから軽妙で洒脱なのはもちろんだが、愛想のよくないところも感じられ、ルパンがもっと原作に近いルパンだったら、一番似合っていたんではないかと思う。
その死後、モノマネ野郎をルパンの声に起用せざるを得なかったほどにアノ声を定着させた、山田康雄の力量にはあらためて賞賛の辞を述べたいと思うが、しかしながら、ちゃんと作品のことを考えるのなら、ルパンの声をやるべきはモノマネ野郎ではなく広川太一郎である。
長寿シリーズというのはたくさんあるが、例えばそのひとつ「男はつらいよ」が、渥美清の死によって打ち切りのやむなきに至ったのは仕方のないことである。「寅次郎=渥美清」でずっとやってきたからだが、これには、寅次郎が年々歳をとる(あるいはとって構わない)キャラクターであるということがあると思う。
一方、「007シリーズ」では、ジェームス・ボンドというある程度の若さが必要となるキャラクターのため、ショーン・コネリー、ジョージ・レイゼンビー、ロジャー・ムーア、ティモシー・ダルトン、ピアース・ブロスナンと、現在までで5人のボンドが登場している。
もちろん「やっぱ、ボンドはコネリーでしょう」という空気はあるが、その空気がシリーズを作り続けるに当たって致命的なほど大きくならずにすんだ理由として、私は『女王陛下の007』を挙げたいと思う。
シリーズ第6弾にあたる『女王陛下の007』は、2代目ボンド=ジョージ・レイゼンビーが登場した唯一の作品で、なぜ唯一かというと不評だったためである。この作品はボンド役が代わっただけでなく、ボンドが本気で結婚したり、ハッピーエンドでなかったりと、コネリー=ボンドから脱却し、ボンドの新境地を開拓しようとした意欲作で、私は好きなのだが、少し「新境地すぎた」のと、レイゼンビーのムードがやや甘ったるかったせいで世間では不評を買い、次回作ではコネリー=ボンドが復活した。
しかし、このレイゼンビー=ボンドが、その失敗も含めて「007シリーズ」を仕切り直させたと、私は考える。『女王陛下の007』がなければ、「やっぱ、ボンドはコネリーでしょう」的な空気は逆にもっと大きくなっていたと思うのだ。
さてルパンである。
このままクリカンを使ってまで山田康雄にしがみつくのであれば、ルパンシリーズは「やっぱ、ルパンは山田康雄でしょう」という致命的な空気を引きずったまま、だらだらと尻すぼんでいくしかない。「男はつらいよ」よりも悪いパターンだ。
でも大丈夫。あわてることはない。こっちには、2代目ルパン=古川登志夫というジョージ・レイゼンビーがいるのだ。お次(3代目)はロジャー・ムーアに登場してもらえばいい。そう、広川太一郎である。
以上が、私が最近「そうだよ、広川ルパンだよ」と思ったわけをなるべく筋道立てて説明したものである。いかんせん「広川、聞きてー!」という結論が先にあるため、いささか論理に怪しいところがあるかもしれないが、まあ気にしない。
とにかくこのようにして、私の中で「あらためて広川作品をチェックしよう月間」がはじまった。手始めとしてインターネット上の広川情報というものを見てみようと思ったところで不思議はない。なにせ「広川太一郎」である。ネット上にはきっと「広川太一郎データベース」が存在し、ひょっとするとファンの手になる公式ページもあったりして、日夜ファンによる情報交換がチャットで行われているかもしれない。そんなことになってたら僕はちょっとパスだな。そう思っていた。
ところがだ。
ないのである。いろんなサーチエンジンで「ひろかわ」だの「たいちろう」だの検索してみるが、なかなか目指すものは見つからない。Yahoo! で「声優」のカテゴリーを見れば問題ないと思っていた私としては早くも誤算である。なんたること、である。
結局、私は人名辞書サイトと声優リストサイトひとつずつに広川の名前を見つけたところであきらめた。いずれも、広川が声の出演をしたアニメのタイトルとキャラクターが5つほど載っている程度だ。広川太一郎のみを取り上げたサイトや、データベースは、どうやらないらしいのだ。
じゃ、俺が作る。
これが、今回のデータベース作成の動機である。
最後に、私の思いついた面白いアニメの企画を書いて、広川太一郎への賛辞に代えたい。
大塚康生作画、おおすみ正秋監督で、ルブラン原作の『ルパン対ホームズ』。声はどっちも広川。
(1997.03.01)