それは猫草ではない

ポシュテは草に目がない。スーパーで売られている猫草(育った状態のもの)をたまに買い与えているのだが、すぐに囓り散らかして何日ともたない。長毛種であるピー(動画手前)もまた草好きとしてこれまで知られてきた男だが、ポシュテはそれに増すいきおいである(ピーにかんしては、ほかの食べ物同様、草も、誰かがとなりに来ればすぐにゆずってしまって争わないもんだから、陰でどれだけ好きかはちょっと測れないところがあるけれど)。

ポシュテの草好きは植物一般にまでおよんで、それで〈ポシュテ以降〉、わが家では洗面所などの、ふだん閉めきっていて、ポシュテが自力で開けられない場所(ピーとポシュテは、レバーハンドルの付いた開き戸ならじぶんで開けられる)でないと花を置けなくなってしまった。動画は、買ってきた水仙をひとまずダイニングテーブルに置いてみてポシュテの反応をうかがい、あわよくば──食べようとしなればそのままリビングに──とほのかな期待を寄せたときのものである。

ところでロビン(動画奥)は、まったく草に興味がない。生まれてこのかた、いちども口にしていないんじゃないかと妻は言うが、そのロビンまでもがテーブルの上にいるのは、ひとえに「あとのふたりにつられた」からにほかならない。動画のもうひとつの見どころはつまり、何かあるらしいという情報だけでそこへとやってきた、腹っぺらしのロビンである。