掃除機が怖くてしかたがない

ポシュテは臆病者である。音に弱い。大きな音はむろんのこと、小さな音にさえときにはびくついているほどで、それゆえ、天敵として知られるのが掃除機のダイソンだ。ダイソンの音はでかい。見るからにおそろしい姿で、大きな音をたてながらこちらに向かってくるあいつと、もう何度渡り合ってきたろうか。ダイソンをしまっておくのは廊下の押し入れだが、そこにはまたクイックルワイパーもしまわれている。クイックルワイパーはあそび友達として大好きなので、妻がその押し入れを開けに行けばダイソンのことなど忘れてポシュテはやってくる。まあ言ってもそこそこの割合で、妻が取り出すのはダイソンだ。

はやく逃げればいいのにと思うが、その前に身体が固まってしまうようだ。いちど固まってしまえば、進退はもう窮まるところまで窮まるしかないのである。