
最近の写真から。
最近といってもこれはまだ毛布の残る季節。どこがどこやらわからないことになっている一枚は、おそらく、頭を抱えて丸まったポシュテの、その頭と腕のあたりではないだろうか。接写であることに加えて、なによりそのむちむちぶりが全体像の把握をむずかしくしている。
肉感あふれるポシュテの明日はどちらか。

というわけで、きょうもまた猫の写真ばかりである。撮影と写真のチョイスはすべて妻だ。ひさかたぶりの更新にさいしてあらためて説明しておくと、妻が撮り、夫が書くというのがこの「Pink」であり、だから、それぞれの写真が撮られたときの状況について、書いているわたしはすべてを把握しているわけではない。あるいはここに写っているのは、うちの猫によく似たべつの猫なのかもしれず、するとそこには、うちの猫によく似たべつの猫と妻との、わたしの知らない生活があることになる。なんてこったい。

拡大するとさらにあきらかだが、ほかとはっきり画質のことなるこの一枚は iPad 2 で撮られたものだ。どうだ、がっかりな画質だろう。
iPhone よりもずいぶん粗い(きょうのほかの写真はすべて iPhone 3GS で撮影)。そう、じつにきっぱり、FaceTime(テレビ電話機能)が成立するのに必要なだけの画素数しか持たされていないのが iPad 2 である。
いや、もとより大きさや形状からして街でスナップを撮るような装置ではないのが iPad だが、しかし、であるからこそ、ここにあらたなる存在、つまり「iPad 写真家」なるものが出現してもいいのではないかとわたしは期待する。iPad 写真家は、むろん何を撮るにも iPad だ。街で事件に出くわす。それまで iPad をいじり、メールチェックなどしていた iPad 写真家は、とっさにその手をやめ、千載一遇のチャンスを逃すまいと脇に置いたかばんから素早くあるものを取り出す。iPad 2 だ。

どうせなら、せめてそれでムービーを撮ったらどうかと、かれの撮る写真の画質に眉をひそめた何人かの者らがアドバイスする。けれど iPad 写真家はかたくなだ。「ぼくは写真家だからね」とかれは言う。
だったらデジカメを買えよと、親身になってくれる二、三の友人たちはさらに言うかもしれない。「知らないかもしれないけど、いま安いんだよ、デジカメ」とまで言ってくれる者もあって、やはり、もつべきものは友達だと iPad 写真家は胸に刻む。
そんな iPad 写真家の明日はどちらか。

