スーパーマンレッセブン

第9話「逆転!俺がエースだ」

再生巨大改造ヤプール登場
防衛軍基地内・資料閲覧室(夜)
薄暗い室内。
スタンドの明かりで黙々と資料に眼を通しているダイ。
机の上には他にも古びた書類が山と積まれてある。

そこへアクビをしながら入ってくるモリオ隊員。
モリオ
「ふあー、寝ないんですか? ダイ隊員」
ダイ
「ウン。ちょっと調べ事があってね」
モリオ
「(独り言っぽく)調べ事、ほお」

と、机の上の書類の山からひとつを手に取り、
モリオ
「うわこれボロボロだ。(書類に顔を近づけ)ゼットエーティー?」
ダイ
「ZAT(ザット)だよ」
モリオ
「ああザットね。ザットってあの、昔あった地球防衛組織の?」
ダイ
「そうさ、僕等の大先輩さ」
モリオ
「ふーん。(と、書類を読む)あ、この怪獣知ってるぞ、エンマーゴだ」
ダイ
「実はこれより前の記録を見たいんだけど、どこにあるか知らないかな?」
モリオ
「えーと、ZATの前っていうと…」
ダイ
「TAC」
モリオ
「TACか。そんな古いのは無いんじゃないかなぁ(途中からアクビになる)。ごめん、俺寝るわ、お先に」
ダイ
「おやすみ」

モリオ、部屋を出際に電気のスイッチを入れていく。
モリオ
「眼悪くするぞ」

明るくなる部屋。

疾走するシャーク(朝)
(シャークは科学警備隊のパトロールカー)

シャーク車内(朝)
運転しているのはフルヤ隊員。助手席にユンナ隊員。
フルヤ
「すがすがしい朝だなあ」
ユンナ
「そうね」
フルヤ
「(無線)こちらシャークのフルヤ、ユンナ隊員とK地区をパトロール中。異常ありません」

基地・作戦室(朝)
ミズサワ
「(無線)ご苦労さん」

シャーク車内(朝)
フルヤ
「(無線)もう一回りして基地に帰ります」
無線機からミズサワの声
「了解」

フルヤとユンナ、顔を見合わせ微笑みを交わす。

基地・作戦室(朝)
ドアが開き、ムラヤマ隊長が入ってくる。
ミズサワ
「シャークから連絡で、K地区異常ないそうです」
ムラヤマ
「そうか」

モリオ、背伸びをしながら入ってくる
モリオ
「くー、よく寝た」
ミズサワ
「あれ、ダイは?」
モリオ
「まだ寝てるんじゃないか? あいつ昨日遅かったから」
ムラヤマ
「いや、ホシヅキならさっき資料倉庫のカギをもらってたぞ」
モリオ
「うへっ、御精が出ることで。隊長、コーヒー入れましょうか?」
ムラヤマ
「ああ、たのむ」
ミズサワ
「資料倉庫なんかであいつ何やってるんです?」
ムラヤマ
「よく知らないが、調べものらしい。TAC時代の記録を探してるそうだ」
ミズサワ
「TAC?」

モリオ、コーヒーを入れて運んでくる。
モリオ
「あれ? じゃ、隊長が頼んだ仕事じゃなかったんですか?」
ミズサワ
「TACって何です?」
モリオ
「(すっかり得意に)あれ、TACも知らないんですか? いいですかTACというのはですね、Terrible-monster Attacking Crewの略で、つまり超獣特別攻撃隊、要はぼくらの大先輩ですよ。これぐらい科学警備隊の常識ですよ、ミズサワ隊員」
ミズサワ
「うるさいなあ。過去の歴史なんて俺たちの実戦には関係ないじゃないか」
ムラヤマ
「それはそうとも言えないぞ。怪獣と戦う上で、その怪獣についての知識を得ることは重要なことだ。地下の資料倉庫には、われわれの先輩がその戦いの中で蓄えてきた、怪獣や宇宙人についての厖大なデータが眠っているんだ」
モリオ
「そうですよ。(と、コーヒーを一口飲み)じゃ、ダイは何かな、超獣とでも戦う気かな?」

同・点灯する赤ランプ
警報ブザーが鳴る。

同・作戦室(朝)
ムラヤマ
「(無線)どうした」

シャーク車内(朝)
フルヤ
「(無線)こちらシャーク、K地区に怪獣出現、出動を願います!」

街の空(朝)
青空が割れて、大きな目がのぞく。

K地区路上(朝)
フルヤとユンナ、シャークから降り、おのおの銃を取り出す。
フルヤ
「いくぞ!」

ユンナうなずき、二人走り出す。

街(朝)
破壊されるビル群。怪獣の体は透き通っていて、実体感がない。

基地・作戦室(朝)
ヘルメットを取り上げるミズサワとモリオ。
ヘルメットを装着し終わるムラヤマ隊長。
ムラヤマ
「ミズサワは私とバルト1号で出動する」
ミズサワ
「はい!」
ムラヤマ
「モリオも至急ホシヅキを連れてバルト2号で飛んでくれ」
モリオ
「はい!」

同・発射施設(昼)
バルト1号を載せた発射台がせり上がっていく。

基地近くの海・海面(昼)
バルト1号、海の中から飛び立っていく。

同・資料倉庫(昼)
中は暗く、コンクリートの壁が冷たく光る。
大きな書棚が部屋を仕切って細長い通路を何本も作っているうちの一本を、モリオがダイを探して歩いている。
ダイの名を呼んで回るモリオ。
モリオ
「おーい、ダイたいいーん。どこですかー」
何者かの声
「ここだ」
モリオ
「え? ここ?」

モリオ、後ろで声がしたと思い振り返るが誰もいない。
モリオ
「おかしいな」

と首をかしげるモリオの背後に、ヤプール人が姿を現す。気配を感じて振り返ったモリオ、びっくりして腰を抜かす。
モリオ
「あわわわわ」

それでもなんとか銃を構えようとするが、取り出した銃はモリオの手を離れ、フワフワとヤプール人の手元に吸い寄せられてしまう。
奪った銃をモリオに向けるヤプール人。
ヤプール人
「エースはどこだ」

アゴがガクガクしてしまい何も答えられないモリオ。
ヤプール人
「エースはどこだ」

と、ヤプール人の後ろ遠くにダイが姿を見せる。
それを見たモリオが顔を輝かす。
ダイ
「ここだ!」

とっさに後ろを向いたヤプール人にダイのレーザー銃が命中する。
うめいて姿を消すヤプール人。

街(昼)
破壊されたビルの残骸が見えるが、静寂としている。

飛来するバルト1号(昼)

バルト1号機内(昼)
ミズサワ
「怪獣なんてどこにも見えないじゃないか」
ムラヤマ
「しかしこの有様は自然現象とは思えん」
ミズサワ
「チクショー、一足遅かったってわけか」
ムラヤマ
「(無線)フルヤ、敵の現在位置は把握できないか」

K地区路上(昼)
フルヤ
「(無線)それが隊長、御覧の通りやっこさんすっかりどっかへ行ってしまいました。パトロールを続けましょうか?」

バルト1号機内(昼)
ムラヤマ
「(無線)いや、態勢を立て直したい。いったん基地へ戻ってくれ」
無線機からフルヤの声
「了解」
ムラヤマ
「われわれも帰還する」

基地・通路(昼)
作戦室へ向かうモリオとダイ。
モリオ
「ぼかぁホントにダイがエースに見えたよ」
ダイ
「ハハハ、ほんとのエースを見たことがあるのかい?」
モリオ
「いやあないけどさ。でもヤプール人が探しに来たってことは、エースは今地球にいるのかな?」
ダイ
「多分ちがうね。復讐心に燃えるヤプール人が、勝手にそう思ってるだけさ」

基地・作戦室(昼)
ドアが開き、モリオとダイが入ってくる。
ムラヤマ
「あ、ご苦労。ヤプール人が出たという話は聞いた」
モリオ
「でもダイ隊員がやっつけてくれましたから」
ダイ
「いや、おそらくヤプール人はまだ死んでいないと思われます」
モリオ
「え!?」
ムラヤマ
「うん。そう考えておいた方がいいだろう」
ミズサワ
「K地区に出た怪獣もヤプールに関係あるんですかね?」
ダイ
「フルヤ隊員が空の割れるのを目撃したそうですが」
フルヤ
「はい、確かに見ました」
ユンナ
「私も見ました」
ダイ
「隊長」

ダイ、持っていた書類を見せる。書類に添付された写真には、大きく割れ異次元空間を覗かせている青空が写されている。
ムラヤマ
「これは!」
ダイ
「資料倉庫にありました。TACによる超獣の保存記録です」

写真をのぞき込む隊員たち。
ムラヤマ
「しかし、相手が簡単に基地に潜り込める能力を持っているとなると厄介だな」

科学班のシマ班長が、特殊な銃を携えて入ってくる。
シマ
「ムラヤマ隊長、今度の攻撃にはこれを持っていって下さい。ホシヅキ隊員の発案で作った、対超獣用の特殊レーザー銃です」
ムラヤマ
「ありがとう」

と突然、作戦室を地震が襲う。
ミズサワ
「こいつは近いぞ!」
ムラヤマ
「震源地はどこだ」
ユンナ
「(計器を読み取り)通信基地の方角です」
ムラヤマ
「なに!」

通信基地・外(昼)
通信基地の建物が崩れ、中から巨大なヤプール人が現れる。

基地・作戦室(昼)
フルヤ、対超獣用特殊レーザーをつかみ、飛び出していく。
ムラヤマ
「待て! 勝手な行動はゆるさんぞ!」
ダイ
「僕が追います!」

通信基地・外(昼)
暴れている巨大ヤプール人。
と、そこに飛来するウルトラマンエース。
エース
「ヘヤッ」
巨大ヤプール
「(不気味に)エース」

エース、ウルトラスライス光線で巨大ヤプールの体を縦に切り裂き、スペースQでとどめを刺す。

と、エースの背後に超獣が出現。

ダイ、レッセブンに変身する。

レッセブンの変身シーン

通信基地・外(昼)
対峙する超獣とレッセブン。
レッセブンの必殺光線と、エースのメタリウム光線が超獣の体を粉砕する。

飛び去る二人のウルトラマン
エースのテーマが颯爽と流れる。

(フェードアウト)