足熱図鑑

エッセイ

レンタルビデオ履歴

 私としてはこの春、吉祥寺から狛江へと引越をした。吉祥寺と比較しているせいもあるだろうが、狛江はかなり娯楽がない。そんな中、この度駅前にTSUTAYA(レンタルビデオ屋)がオープンした。何だかんだ言って、割と品揃えの豊富なレンタルビデオ屋が近くにあるというのは、ありがたいことである(全く名作ってやつはいつ見たくなるか分かったもんじゃない)。

 ところでよく聞く話だが、レンタルビデオ屋には、その人がこれまで何のビデオを借りたかという個人データが蓄積され、保存されていくという。それが具体的な何かに活用される可能性とか、それを丹念に読み込んでいる誰かとかは想像しにくいにしても、データ自体が残されていくというのは、たぶんその通りなのだろう。

 そのオープンしたて、会員になりたてのTSUTAYAで、私は今のところ、

  • 「装甲騎兵ボトムズ 第10巻」
  • 「ベルリン・天使の詩」
  • 「アニーホール」

 といった具合にレンタルを重ね、こないだその店では初めて、エロビデオを借りた。たしか、

  • 「月刊エロマガジン」

 とかいうストレートなタイトルのそれである。

 その店でこれから蓄積されていくだろう私のレンタル履歴データというものを想像してみたとき、そのストレートなタイトルを異様に光らせるためにも、「今後は名作しか借りない」というのもいいな、なんて思ったりもしている。

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