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なぜみんな角丸が好きなのか?

  • Posted by: SOMA Hitoshi
  • December 10, 2005 1:58 AM
  • web

タイトルに惹かれ、「Why Do We Love Rounded Corners?」というこの記事を訳してみた。何が書いてあるのかと思って。われながら、あまりいい訳とも思えないけれど。

インターフェースの設計者やグラフィックデザイナーと同様、われわれも「丸みを帯びたコーナー」に取り憑かれている。Webの開発者はCSS(や、ときにJavaScript)を創造的に用い、可能なかぎり手間をかけずに角丸を表現することを目指して、そのことにどんな苦労もいとわなかったものだ。現在提案されている CSS3 の定義書には、角丸を指定するためのプロパティすら含まれている(Firefox はすでにこのプロパティをサポート済みだ)。

なぜそんなに角丸には魅力があるのか。思い切ってこれから述べようと思うのは、われわれが角丸に魅了されるこの現象が審美的なレベルを超えたものではないかということ。それともう二、三のことだ。

051209_rounded_1.gif ある面で、われわれは自然のなかに有機的に見出されるものを好む傾向があるように思う。ちょっと iPod を手にとってみてもらいたい。類似製品たちの工業デザインが、そのデバイスがどこでどうやって生まれてきたのかをはっきりと暗示してしまっている一方で、アップルが多くの努力を払ってきたのは、そのデバイスに、工場で組み立てられたというのではなく、あたかも木に成ったものであるかのような感触をもたせるいうことだった。デバイスを結合するときなどによく用いられる、いかにも機械っぽい特徴(ネジやその他)をどうやって隠すかということに、アップルはひどく苦心した。結果生み出されたものは、エッジや硬い角のまったくない、なめらかな感触そのものである。この「なめらかさ」というのは、使い勝手の面でものをいうのと同時に、それだけでなく、デバイスとの感情的なつながりを促しもする。最初期の記憶を辿れば、完璧からはほど遠い、直角に充ち満ちたモノたちがすぐに思い出されてくる。「向こうへ行け(Go away.)」と角は言ってくる。Hoakyに思われることを覚悟で書くんだけど、なめらかで丸みを帯びた表面が言うのは「手のなかに抱いて(Hold me.)」なのだ。

物理的なモノにとどまらず、情報を提示する場合にもこれは効果的で、ただの囲みや直角だけのものよりも、より有機的な文脈のなかに情報を置くことができる。複雑な情報群、ことにあまり馴染みのない情報群に出くわした場合に、まずわれわれがはじめにすることと言えば、情報全体を見渡して、どこかしらに何らかの文脈を当てはめることである。「この情報のかたまりは、あのタイトルと結びついている。向こうにあるボタンのグループはあきらかにあっちのあの情報に関連したものだ」などなど。

051209_rounded_2.gif 情報設計に携わる者やインタラクション・デザイナーと同様、われわれの仕事というのはユーザーが情報を理解する手助けをする必要があるもので、ユーザーの先頭に立ってコントロールしなければならないものだ。言葉を換えれば、ユーザーがあるインターフェイスに文脈を適用するその過程のなかで、先回りをし、案内役となる視覚的なヒントを与えるわけである。そしてこの役割に、角丸はもってこいなのである。直角だけからなるふつうの囲みとは違い、角丸は、どれがこの情報の一部に含まれるもので、どれがそうではないのかについて明確にヒントを与えることができる。デザイナーがカクカクした角を用いる場合、そうした点は別のレベルの文脈(文字の太さや、ボリュームといった手段)によって補われることになる。

上に展開したふたつの説明はある共通の特徴をもっていて、われわれが物理世界でモノと作用し合い、それを使う術についてのとても基本的な理解を助けてくれるもののように思える。世界は、それ自身完結して、他のモノからはっきりと分けられた個々のモノたちから構成されている(たとえばビーチボールは、明確にそれ自身であって、他の何かとつながっているわけではない)。モノのなかには、それ自身を操作するための装置を持ったものがある。トースターに付いているつまみは、それがトースターに取り付けられているまさにそのおかげでトースターを操作できるモノであって、それは冷蔵庫を操作するためのモノではない。

自身を取り巻くこの世界と影響を受け合うなかでわれわれみんなが知っているこの基本的な「専門的知識」を、角丸は証明している。その魅力が審美的なレベルを超えたものであることを、私はかなり確信する者である。思慮深くそれを使うことができれば、われわれはデバイスを通じて、もっと直感的な体験を生み出すことができるだろう。

というわけで久しぶりに辞書片手にがんばってみたけれども、しかしまあ、なんで英文ってやつはこうなのかなあ。どうしてこう概念的な言葉だけでハナシを進めることができるのか。英文を逐語的に読んでいる分には言いたいこともわかるし、たしかに「何かを言っている」という手応えもあって問題ないのだけれど、これを日本語に置き換えたとたん抽象度の高さが鼻につくようになって、「これ、何も言っていないのではないか」という気にさせられるから厄介だ。まあ、この文章がとりわけそうだということもあるだろうし、なによりそれ「訳がまずい」ということなのかもしれないが。

で、このコラムが言わんとするのは単純なことで、「角丸が好まれるのは審美的な理由によるのではなく、より根源的な、認識論的レベルに根ざした現象である」ということである。デザイン上で角丸を使うと、使ったとたん「なんだかまとまる」ということはたしかにあるのだった。そして指摘としてより興味深かったのは「審美的な理由によるものではない」ということのほうで、それつまり、角丸が使われるのは「かっこいいからではない」ということだけれど、いや、腑に落ちるなあそれ。

051209_apollo02.jpgたんに「かっこよさ」ということで言えば、好みや時代にもよるだろうけれど、「自然のなかに有機的に見出される」ようなものが必ずしも優先されるわけではないことは言うまでもなく、反対に人工的で機械的な──まあつまり未来派的な、あるいはそれこそ「ネジ」的な──かっこよさも、一方ではまちがいなくある。かの「au design project」で提示されたコンセプトモデルたちのなかで、私がいちばん欲しいと思うのはこの「apollo 02」と題されたもっとも「電話」的なモデルであって、まちがっても「PENCK」ではないのだ。いやどんどん話逸れるけれども最近 au 全然だめじゃないか? 見ているとなんだかいまは DoCoMo のほうがマシじゃないのか?

一見、角丸を無条件に礼賛するかのような上のコラムだけれど、「なめらか」であることの真のチカラは世界認識におけるその根源的な有利さにあるのだとするその指摘がやがて導くのはおそらく、「丸ければなんでもいいってもんじゃない」という冷静な判断なのだろう。

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