バルトリの「びよーんびよーん」
- June 14, 2018 7:19 PM
- tennis
マリオン・バルトリが復帰を断念、という残念なニュース。
言っておくが、われわれ──というのはわたしと妻だが──は、バルトリが好きだ。サーブを打つときのその独特のフォームが好きだったし、さらに言えばサーブを打つ前の、ボールを「びよーんびよーん」とつく動作こそが好きだった。中継で見かけるたび「あ、びよーんびよーんの人だ」と思っているうち、あれよあれよとウィンブルドンを勝ち進んで優勝を果たし、そうしてあっさりと引退してしまった。
その後は母国開催である全仏で、試合直後の勝利者インタビューのインタビュアーとして姿を見かけることが恒例となり、毎年ことごとく名前を忘れては「あー誰だっけこの人、びよーんびよーんの」と失礼極まりないことをテレビのこっちで言っていたのもわれわれだけれども、そのバルトリが現役復帰を目指しているという昨年末のニュースには、もちろん大いに期待していたところだった。
今年も全仏の中継でその姿を見かけ、「あれ? そういえば復帰するっていう話は?」と思っていた矢先。
「びよーんびよーん」(以下、「びよんびよん」)については手ごろな映像があまりないが、たとえばこんな感じ。
あるいはこれとか。
つまりまあ、ボールをつくときに身体ごと上下させるから「びよんびよん」なのだが、てっきりこの〈導入部〉がルーティンとして重要なのかと思っていると、やらないときもあるのだと、いま、映像を漁っていてあらためて知る。むしろ、ここぞというとき──というのはつまり、「それどころではない」とき──にはやってないんじゃないかという疑いさえあって、ウィンブルドンの決勝、対リシツキ戦で優勝を決めた最後のポイントのサーブ(サービスエースだった)も、「びよんびよん」をやらず、いきなり打つ構えに入っているのが映像から見てとれる。そこには、やはりわれわれ同様「びよんびよん」を期待してしまっている対戦相手にたいして、「え? いきなり?」という動揺を与える狙いがあったものかどうか[※1]。
- ※1:動揺を与える狙いがあったものかどうか
高堂國典が物見櫓の上から村中に知らせるような声で、「冗談だぞー、冗談を書いているぞー」と言っておきたいと思います。
また、われわれファンの側でも、「びよんびよん」を重要な要素と受け取っていないケースはわりとあるようで、たとえばこの人は「サーブを打つバルトリの真似」をやって YouTubeに上げているのだが、「びよんびよん」の部分は再現していない。
いや、そんな話はどうでもいいのであって、以下の拙訳は BBCの記事。
マリオン・バルトリ:元ウィンブルドン・チャンピオンが復帰計画に幕
元ウィンブルドン・チャンピオンのマリオン・バルトリがこのたび、プロテニスに復帰しようというその試みを断念した。
現在 33歳のバルトリは 2013年のウィンブルドンで優勝したその 6週間後に引退、さらに 3年後には、未知のウィルスに感染して急激な体重減少に見舞われ、「生命の危機」にまで至る。
それでもこの 12月、彼女は WTAツアーへの復帰を目指していることを表明していた。
「不運にもカムバックの試みをやめざるを得なくなり、とてもがっかりしています」と、フランス人女性はツイッターに書く。
「自分をベストの状態までもっていくため必要に迫られてトレーニング量を増やしたところ、右肩の痛みを再発させる結果となり、これをハイレベルな状態まで回復させることはできそうにありません」。
「この人間的で素晴らしい冒険においてわたしに付き添ってくれたすべての人に感謝したいと思います。これからわたしにできることは何か、さまざまな専門的プロジェクトについて熟考する時間を持ちたいと思っています」。
「でもやはり、とてもハイレベルな経験のなかでわたし自身が教わったこと、そのすべてを伝えたい、という深い欲求がわたしにはあり、ゆえに、選手の素質を最大限に引き出す手伝いをすべく、彼女らのトレーニングに自分をつぎ込めたらと思っています」。
全仏期間中はコメンテーターとして仕事をしていたバルトリだが、当初は 3月のマイアミ・オープンに復帰の照準を合わせていて、その後、その努力の矛先を今夏のアメリカのハードコートシーズンに切り替えていた。
彼女は WTAタイトルを 8つ獲得し、2012年には世界ランキングで自己最高位の 7位につけた。また、2007年にはウィンブルドンで準優勝している。
バルトリは 47度目の挑戦ではじめてのグランドスラムを獲得──これは女子テニスで最長である──、そのときは決勝でドイツのザビーネ・リシツキを 6-1、6-4で下した。
Marion Bartoli: Former Wimbledon champion ends plan to return to tennis - BBC Sport
記事の元になっているバルトリ自身のツイート四連投はほぼ全文が記事のなかで英訳されて紹介されているが、そのツイート(四連投の全部)に、荘重なモノクロの薔薇の写真が添えられているのが、彼女の思いの丈の深さ、ツイートの渾身ぶりを超え出てなんだか「バルトリっぽいなあ」と思わせられるのだった。
A mon grand désarroi je dois malheureusement arrêter ma tentative de comeback. En effet l'augmentation nécessaire des doses d'entraînements pour tenter de retrouver mon meilleur niveau, entraînent des douleurs à nouveau à mon épaule droite https://twitter.com/bartoli_marion/status/1006854472671354880/photo/1
2018年6月13日 20:03
... Qui deviennent incompatibles avec une reprise au plus haut niveau. Je tiens à remercier toutes les personnes qui m ont accompagné lors de cette magnifique aventure humaine. https://twitter.com/bartoli_marion/status/1006854731107618817/photo/1
2018年6月13日 20:04
Je vais maintenant prendre le temps de la réflexion pour étudier les différents projets professionnels qui s'offrent à moi.
Néanmoins j ai un profond désir de transmettre ce que le haut niveau m a appris, et je désire donc m investir dans l entraînement d un ou d une joueuse https://twitter.com/bartoli_marion/status/1006855399411212290/photo/1
2018年6月13日 20:06
.... Pour l aider à exploiter au maximum son potentiel
Love MB xx https://twitter.com/bartoli_marion/status/1006855538519478273/photo/1
2018年6月13日 20:07
関連記事
トラックバック(0)
トラックバックURL: https://web-conte.com/blue/mt-tb.cgi/1296