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2002/07/03 Issue

Title: Superman Red FOR FREE Vol.1

全体写真
ゴウギだねえ

コインロッカー写真

今、私が考えている道楽のひとつは、街の(というか駅の)コインロッカーを使ったものだ。まあ今、ふつうのサイズのやつでいうとおそらく300円くらいがコインロッカーの相場じゃないかと思うのだが、仮にその300円だったとして、朝早く、一番乗りに近いような時刻に駅に行って、空いているロッカー全部に200円ずつ入れてしまうというのが骨子である。あとにやってくる街の者らは100円入れるだけで利用できるのであって、これはたいへんに有り難がられるか、気づかれないかのどちらかだが、それを毎朝やり、1ヶ月ほどもつづければそのうち異変に気づくにちがいなく、ある者はこう口にするだろう。「100円になったんだ。」 いや、そう言う者には言わせておき、もっぱら有り難がってくれる者を相手にしたいが、「いったい誰がこんなことを?」という騒ぎが持ち上がり、ちょっとした「街のねずみ小僧」的ヒーローになったあかつきにはさらに「当たり」のロッカー等も用意し、その中にはネクタイから始まってどんどんエスカレートしていく各種豪華賞品が入っているのであって、やがて一大レジャーランドと化したそこは「コインロッカー前」と呼ばれてバスも停まるようになるが、そもそも「駅前」だからバスは停まる。

クローンの攻撃

ジャンゴ・フェット

例えば『仁義なき戦い』を見終わり、すっかり菅原文太になりきって映画館を出てくるとか、『007』シリーズの終映後にジェームズ・ボンド気分のまま劇場をあとにするとか、そういったことがあるわけで、私はといえば今、吉祥寺スカラ座の先々行オールナイト(0:05〜の回)で『スター・ウォーズ/エピソード2 クローンの攻撃』を見てきたわけだが、問題は、いったいこの映画を見終わった者は何になりきって映画館を出てくるべきなのかということであり、心情的には「アミダラ気分」というのも悪くない話であるものの実際のところどのように振る舞うことが「アミダラ気分で劇場を出る」ことなのか分からないばかりか、もしそれが「可愛くなって出てくる」といったことであれば無理なのではないかという話であって、あるいはやはり「アナキン気分」といったところが妥当かとも思われるものの、といって「クーハー」言いながら劇場を出てくるのであればおまえはエピソード2の何を見ていたんだということになり、「ヨーダ気分」がどういったものか知らないがひょっとしてそれは歩くのがものすごくおそいとかか。(写真はウォーズマン。ちがうかも)

反 VOW

駐車禁止の写真

「反VOW」と呼ばれるそれは、なにもおかしなところがないのであり、「駐車禁止」と書かれた看板を写した左のスナップはまったくふつうであるがゆえに「反VOW」的だ。それを見る者や、写す者の存在が消され、モノそれ自体に「面白さ」が宿っているかのようにみせるのが「VOW」であるとすれば、「反VOW」においては逆に、撮影者がものすごく面白い恰好をしてその写真をとる。左の写真をとった彼(彼女)もまたものすごく面白い恰好だったのであり、あるいはものすごい面白い髪型だったのかもしれないが、それがつねに「フレームの外」にしかないのは「内」にあったらそれは単に「ビックリハウス」的だからだ。


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本の写真
イタロ・カルヴィーノ『まっぷたつの子爵』(晶文社)。