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2002/07/24 Issue

とにかくクーラーはつけない。クーラーはつけないし、窓も開けない。2階の部屋に越し、洗濯をしない。汗だくのまま、どこへも行かず、そして何も食べない。すると死ぬ。死ぬべきではなかったし、あんな痛いとは思わなかったが、いったい何がしたかったのかといま高らかに叫ぶ。


いまこの段階で新しくオープンする吉野家においては、そのまだ不慣れなバイトよりも客のほうがよほど「吉野家なれ」しているということがあって、例えば「たまご」を注文するのに「ぎょく(玉)」と言ったり、あるいは「お茶」を「あがり」と言ってみたりして、えてしてバイトの女の子は「?」となるのだが、店の態勢が整うより先にそうして客のほうがフライングしているさまを見るにつけ、みんな、そんなに待ち構えていたのかとほほえましい気分になるのだった。
