短い文章かあ
- April 6, 2006 6:33 AM
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プロトさんの「じゃあいいよもうブログで」で取り上げられていた。
課題
さて、「文を短くする」を実践してみよう。お皿ひとつひとつに、それぞれ、ハムや卵や、パセリや、キャベツ、ほうれんそう、お台所に残って在るもの一切合切、いろとりどりに、美しく配合させて、手際よく並べて出すのであって、手数は要らず、経済だし、ちっとも、おいしくはないけれども、でも食卓は、ずいぶん賑やかに華麗になって、何だか、たいへん贅沢な御馳走のように見えるのだ。
長い文だ。160文字もある。
さて、次回までの課題。
センテンスを分けて、読みやすくしてみよう。ブログ文章術 米光一成|Excite エキサイト ブックス : 一文を短くって言うけどさ1
「ブログ文章術」というこの連載はわりと有名なはずだが、その最新記事は「一文を短くっていうけどさ1」と題したもの。ブログにかぎらず、一般にどの文章術でもよいとされる「一文を短く書く」ことについて扱っている。(「ブログ文章術」として最終的にその「一文を短く書く」ことを是とするのかどうかは次回以降を読まないとわからないが。)
プロトさんが取り上げているのが、コラムの最後に出てくる前掲の「課題」で、プロトさんにかぎらず、この「課題」を「大喜利のお題(=ネタ振り)」と捉えた多くのブロガーがこれに参加し、課題に回答するかたちでエントリーを書いている(詳しくはこちらなど)。おそらく私はかなり出遅れた組に入るだろう。
ちなみにこの課題中に引かれている露悪的なまでの悪文は、太宰治「女生徒」にある一節。女生徒による一人称の語りで全篇をこの調子のまま駆け抜ける一篇で、つまりまあ、うまいと言いますか何と言いますか。
ではここであらためて、課題の文章。これを短くしなければならない。
お皿ひとつひとつに、それぞれ、ハムや卵や、パセリや、キャベツ、ほうれんそう、お台所に残って在るもの一切合切、いろとりどりに、美しく配合させて、手際よく並べて出すのであって、手数は要らず、経済だし、ちっとも、おいしくはないけれども、でも食卓は、ずいぶん賑やかに華麗になって、何だか、たいへん贅沢な御馳走のように見えるのだ。
プロトさんは「平野レミバージョン」としてこれをリライトし、同じくこれをネタにした「Weekly Teinou 蜂 Woman」では、小気味よくセンテンスを区切ってきちんと課題に答えるかに見せて話を脱線させ、「長い話になる」という手法を見せた。いずれも「短くする」のではなくて「おもしろくする」ことに専念した回答だが、しかし以下の私の回答はいたってまじめなものであり、つまり、「一文を短くなんて、くそくらえ」ということである。
何を盛るのか。小皿を取り出そうとのばした手に、背後から細いような声がかかった。誰か来ているのだろうかと訝りながら振り返りもしない自分のほうにこそ怪しみが浮かんだ。何を盛るにせよ、いずれ食らうと知れているものを面倒なことだ、皿などいっそ割ってしまえば安心なものを、とこれはまた別の、黒いような声が背後に伸びかかるのをやりすごすうち、いや、割ったら最後だ、ごく慎重に、落としてはならない、落としてはならない、といつしか口ずさむようにしている己の声にあらためて驚き、なんのことはない、はじめからしゃべっていたのは自分だったかと呆れた。
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