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Apr.
2009
Yellow

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/ 11 Apr. 2009 (Sat.) 「『シャーリーの好色人生と転落人生』を観る」

ある朝。

猫は陽を浴びて。

クイックルワイパーと猫。

昼間は、いわゆる「オール電化」(エコキュート + IH + 太陽光発電)についての営業マンが家に来て、玄関でその(ある種啓蒙的な)説明をじつに二時間も聞いていたのだったが、その話はまた後日書こう。
夜、池袋のシネマ・ロサへ。佐藤央・冨永昌敬両監督の『シャーリーの好色人生と転落人生』初日である。宮沢(章夫)さん、笠木(泉)さんも来ていて、横に並んでいっしょに観る。
なにしろ初日を迎えたばかりだし、あまり詳細に感想を書くのもはばかられるが、まあ、興をそがない程度になにか書いておきたいと思うのは、つまりよかったからだ。言っておくがわたしはいま、ひょっとして俺三回観てしまうのではないかという静かな興奮とともにある者である。(チケットはもう一枚買ってあって、それはむろん冨永 × 笠木 × 宮沢のアフタートークのある回に使うつもりだが、ひょっとしてさらにもう一回観てしまうだろうかと考えている。)
例の「二本立て」という趣向だが、名画座のいわゆる二本立てとは異なり、あらかじめ二本立てとしてセット上映されることを前提に設計された二本であるから、じっしつ一本の映画に近いものでもある。『好色人生』の終了後、いったんその分のエンドクレジットが流れてひと区切りあるものの、休憩はなくすぐに『転落人生』がはじまる。とはいえ両者はやはり、両監督(と、両撮影監督)の質のちがいによって決定的に異なる作品でもあって、ただ、構成的に『転落人生』のほうが全体の〈枠〉として機能するよう仕組まれているために、両者の断絶が深ければ深いほど、あの無意味に感動的なラストシーンが獲得する視座もすぐれて射程の長いものになるという、まあだからその、つまるところくやしいほどに冨永君の「作戦勝ち」なのだった。二本立てのうちの一本である『転落人生』は、その内部にまた二層の物語時間を抱えていて、ただしく並び直せば、その二層の時間が『好色人生』の時間を挟んでいるというかっこうになる。だから、二本立てであることも要素のひとつとして、そもそも作品はそれ以上に「多層的」であり、その多層性は、三年におよぶ長い制作期間における何度かの企画変更と、それにともなう半ば場当たり的な撮り足しという、それら自主制作映画のある種の「贅沢さ」と有機的にむすびつくことによって、じつに幸福な奥行きを作品に与えているように思える。
ま、複雑っちゃ複雑。でも、「もっと放り出される」のかと思って途中まで観ていた身としては、思いのほかきちんと説明してるじゃないかという印象でもある。「説明」だの「作戦勝ち」だの、そう書くとなにやら〈理知にまさった〉映画であるかのようだが、けっしてそんなこともないというのは、それら「説明」が、もっぱら画面によってなされるからだ。笠木さん演ずる波子のあの厖大な説明ぜりふ(けっしてナレーションではない)はおそらく、波子を捉えるキャメラの力によっても支えられているだろう。月永(雄太)君ばんざいである。あと、「説明」がなされ、謎が明かされたところでけっきょく「意味」が立ち上がるわけでもなく、それによって浮かびあがる謎の答え(物語の全体像)が、まったくもって「だからどうした」というような空虚なものであるということもまた、すぐれた手捌きである。
ま、このぐらい褒めとけばいいか。擬似方言の試みなどについてはまたの機会に。会場は満員でこそなかったがなかなかの盛況。これから尻上がりに動員を増やしていくにきまっているから、ぜひ、早めに観に行っておこう。

090411_shirley-thumb.jpg

初日の打ち上げに笠木さんと少しだけ参加。公式ブログ用に、当日集まったキャスト陣と監督で一枚撮ろうとプロデューサーの直井(卓俊)君が提案したはいいものの、直井君のデジカメがなぜかうまく動かず、わたしのカメラで撮影。そのときの一枚はすでに公式ブログに載っているが、こちらはべつの一枚。手前で「照明」を調節しようとしているのがさすがの撮影監督、月永君である。

本日の参照画像
(2009年4月13日 13:38)

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