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May.
2005
Yellow

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/ 10 May. 2005 (Tue.) 「『タカダワタル的』を観る」

ところでこれが宮沢さんに贈らせていただいた本。兵藤裕己『演じられた近代』(岩波書店) 。喜んでいただけたようでなにより。私はまだ半分ほど読んだところ。
ラストソングスのライブをおさめたグルーヴィーな一枚。この日はあと2枚妻が写真を撮っていて、それは追って「Pink」のほうにアップ予定。
吉祥寺バウスシアターでは13日まで。その他の上映館情報はこちら

←これ。去年ぐらいからちらほらと見かけるようになったリンク作法だが、今日からそれを取り入れてみた。というのはつまり、このサイト内のリンクは以前から標準文法に従い(つまり「そのリンクを現在のウィンドウ内で開くか、それとも新規ウィンドウで開くか、あるいは新規タブで開くか」は見る側に選択権があるべきものである、という思想にのっとり)、基本的にすべてターゲット指定をしていない(=そのままクリックすると現在のウィンドウで開くようになっている)が、加えて、その通常のリンクの隣にあるこのアイコン( )をクリックすると、同じリンク先が新規ウィンドウで(より正確には「target="_blank"」で)開くようにしたもの。ただし JavaScript が有効になっている環境でのみそのように動作します。

とあるクライアントのサイトの全面リニューアルがあり、それでかれこれ、ゴールデンウィークも含めて昼夜のない日々が続いていたのだったが、この月曜に一段落がつく。世間では「大型」と噂されたらしいゴールデンウィークは結局、これは行くと決めてあらかじめ取っていた3枚のチケット、すなわちラストソングス のライブ(3日夜/代官山)、シティボーイズミックス『メンタル三兄弟の恋』(4日夜/天王洲)、オールツーステップスクール 『メイキング・オブ・チェーンソー大虐殺』(5日昼/駒場)をこなすだけでせいいっぱいな状況であり、そうして終わった。とくに「オールツー」は徹夜明けで出向いたために観る側の体勢が万全ではなかったことが残念だ。稽古期間中、当方の結婚式・披露宴のために動いてくれた笠木さん 南波さん へのお礼も込めて差し入れを携えていったが、ぼんやりしていてそれが要冷蔵だということを告げずにただ置いてきてしまった。きちんと食べてもらえたろうか。
「新しい演劇の潮流」なるものに関して、(『トーキョー/不在/ハムレット』の演出助手など務めておいてなんですが)私はほとんど何も知らず、ただ今回のこの作・演出がどういった問題意識(あるいは、「演劇」なるものへの違和感)のもとに立っているのか、その質のようなものはなんとなく観ていて察しがつくものの、その成否といったものを正しく批評の言葉のなかに配置するだけの材料の持ち合わせはまったくなく、ただ、刺激的だったということが言えるだけだ──たとえばここ[fringe blog: オールツーステップスクールはなぜアフタートークをしなかったのか] にあるように、どうやらそれは「チェルフィッチュ」 の先行作品との関係のなかで語られるべきものらしいが、私は「チェルフィッチュ」を未見である──。あと、その回はおそらく相対的に、日々の出来不出来といったレベルで言って「けっして出来がよくはない」回だったのではないかと、なんとなく(ほんとうに「なんとなく」)そう感じ取れるようなところがあって──と、稽古も見ておらず、その回1回のみしか観ていない身で無責任このうえない発言なわけですが──つまり、「これはきっともっと面白いはずだ」と──まあ再三であれですが「なんとなく」──そう考えていた。と、これもこちらの体調の不十分さに起因するものである可能性は大きいわけですが。いずれにしても、自分のなかで刺激的で魅力的な舞台だったことはたしかで、時間が許せばもう一回観ておきたかったところだが、時間が許さなかったのは前述のとおり。
時間が許さなかったと言いつつ、ついでに報告しておけば8日の夜には以前に買ったボックス のなかから『暗闇でドッキリ』『ピンクの豹』『ピンクパンサー3』(鑑賞順)を立てつづけに見た。『3』まで見たあとで、ようやく「あれ?」と気付いたというのもずいぶんぼんやりした話だが、このボックス、『ピンクパンサー2』だけ入ってないんですね。アマゾンの商品ページにあるカスタマーレビュー のひとつによれば、

アメリカでは「2」のDVDはこのMGMのBOXセットよりも数年前に他社から単品で発売済みで、このセットの発売時点でも権利がそちらにあるので法的に無理。
日本では「2」の単品が出ていないのでファンの不満度も高くなるのは無理ないですね。
こうした発売の権利などは国別に異なることも多いので日本版では入る可能性もあるのかと思っていたのですが、結果的に入らなかったところを見ると同様な問題があったのだと思います。(単にアメリカ版をそのまま出しただけという可能性もありますが。)

 とのこと。そうなのか。中学・高校時分の記憶に信憑性があるとして、私のなかでシリーズ最高傑作の位置を占めるのが『2』である。まあ、『ピンクの豹』『暗闇でドッキリ』『ピンクパンサー2』がはたして「シリーズ」と呼べるのか?という問題も置いておくとして。シーン単位で言えば、最高なのは『ピンクの豹』でダーラ王女のところを辞するクルーゾー警部がドアを出た途端に方向を間違えたらしく視界から消え、じき引き返してきて今度はまっすぐ帰っていくところ、でしょうか。

それで今日(10日)、会社を引けてのち妻といっしょに吉祥寺へ行ったのは、レイトショーの『タカダワタル的』 を観るためだ。65分という短い作品。なによりもその歌をたっぷりと聞かせてくれる作りであったのが高田渡ビギナーにはありがたかった。ここだけの話だが、妻は泣いた。
劇中、まだ開店前の「いせや」(吉祥寺)の席に座り高田さんがしゃべるのは、「こういう飲み屋に来ることの第一義的な面白さは、なによりほかで会う機会のないようなすごい人たち、人生の先輩たちに会うことができるということであり、その話を聞けるということである」という主張だが、それとほとんど同じようなことを、このあいだ神谷バー で出会った素敵な酔っ払いも語っていた。おそらくここに、「酔っ払いの文法」があると私はにらんでいるところだ。
家に戻った妻がネットで調べ、「あの人、56歳(享年)なの!?」と驚いていたが、それではじめて私も年齢を知った次第で──知らなかったというか、気にしていなかった──、あるいは宮沢さんが志ん生などを引き合いに出して書いていたのにイメージを引っ張られもしたのか、たしかにもっと「おじいちゃん」であるかのような印象をもっていた。まあ、ちょっと考えて計算すればおじいちゃんであるはずがないわけだが、とはいえ画面のなかの高田さんがじっさいちょっと56には(少なくともいまどきの56には)見えない風貌だったこともたしかだ。
文章は脇道にそれつつ終わりをむかえるが、志ん生といえばこういったもの が出ているのだった。現在、第6巻まで刊行中。第1巻の帯によれば「映像13、初音源6、写真500、総演目71(SPレコード6、口上1、音曲4、対談1を含む)」だそうで、これまで知られていた「動く志ん生」としてはNHKが収録した「風呂敷」と「唐茄子屋政談」(だっけ?>兄)、それと映画『銀座カンカン娘』のなかで演じている「替り目」と「疝気の虫」があるわけだが──というかそれしかないわけだが──、それ以外の(まあ、そのほとんどが資料的なものとおぼしいが)「動く志ん生」の総ざらえ的な内容を含んだDVD BOOKによる全集。

本日の参照画像
(2005年5月12日 02:15)

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