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Dec.
2010
Yellow

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/ 8 Dec. 2010 (Wed.) 「昆布を食べ過ぎた女がそこにいた」

田中さんのブログ記事「私は眠い」より。
berghaus 専門店はこんな感じだ。
何枚も撮る必要はべつにないのだったが。
『薔薇色の服で』チラシ。
『アラザル』vol.2 の表紙。400ページにわたる分厚い批評雑誌である。

ご案内のとおり、遊園地再生事業団ラボ #002『私たちは眠らない』リーディング公演のチケット予約は4日の午前10時に受付開始されました。現在、こちらの専用チケットショップにてご予約いただけます。二回のみの公演で席数もあまり多くありません。ぜひ、お早めにご予約をお済ませください。

というわけでもう一週間ちかく前のことを書くのだが、4日の発売初日にさいし、今回チケット管理を担当する田中(夢)さんをサポートするために彼女の家にルアプル・メンバーの何人かが朝から集まる。前夜をなぜか眠れずに過ごしたという田中さんが、そのせいでついつい手を出した昆布のお菓子を食べ過ぎた話は彼女自身のブログに詳しいが、その田中さんに、わたしはまたその場で調べて理解したエクセル関数を伝授する。その名も「条件付き合計式」というやつだ。たいした関数ではない。
午後の3時すぎまで田中さんちにいて、それから吉祥寺へ。松倉(如子)さんに強く勧められていた山田せつ子さんのソロダンス公演『薔薇色の服で──無数の影と会う』を観ようというわけだけど、その前にすこし時間があるので大戸屋で「チキンかあさん煮定食」を食べ、1日にオープンしているはずの berghaus 専門店「BLUE MARK STORE」へ足を運ぶ。「WOLF HOUSE」という、同じ山岳系(のウェアやリュック)のメーカーである Jack Wolfskin を扱う専門店が吉祥寺には以前からあるが、その姉妹店とのこと。

「WOLF HOUSE」のほうはそれが街並みにくわわったときを知っているから場所はわかり、姉妹店もだいたいその近所だという情報を手にまずは「WOLF HOUSE」を目指した。くらくらさせられたのは、「WOLF HOUSE」の店の外に貼ってあったこの地図だ。というのも、「現在地」であるところの「WOLF HOUSE」のウィンドウにあい対してこの貼り紙を見た場合、地図に示されたのとは反対の右手方向が「駅方面」になるからだ。べつに地図は間違っておらず、たんにこれを180° 回転させればいいだけの──あるいはウィンドウの内側に貼られたこれを店の中から目にしていたならすんなり理解できたところの──たったそれだけのことなのだが、しばし、わたしはくらくらした。まったくのところ、こまかに描写して伝えるような話ではなかったし、いま書きながら、これ、みすみす「馬鹿だ」と思われるようなことを書いているんじゃないのか俺はとうすうす感づいてはいるが、しかし言わせてもらうなら、罠は「現在地」という表記である。いわばそこがトリックだ。
店員に確認し、例の「まぼろしの Remote 25 [LE] 」問題はいちおうの解決をみた。ウェブ上にかすかな痕跡が残るとおりでたしかにそれは存在したとおぼしいが、今年の秋冬モデルとして限定的に生産され、すでに売り切れてしまったためにいま現在の在庫データからは消えており、見つからない、というのが店員による説明である。すがるような思いで来年の春夏モデルを確認してももらったが、それを見るかぎりでは同モデルがこのあと継続的に生産される予定もなさそうだという。
夜7時半から『薔薇色の服で──無数の影と会う』。吉祥寺シアター。場内で松倉さんが手伝っていた。すばらしいダンス。すばらしい照明。ヴァージニア・ウルフの『波』(ドラマトゥルクである宇野邦一さんの声で録音が流れてくる)がまたすばらしい。

……人間とは何かという感覚が消えていく……自分が男なのか女なのかわからなくなる。……影も落とさずに私は歩いた。

私たちは刈りとられ、落ちていく。あの無感覚な宇宙の一部になった、私たちが一番覚めているときにはまどろみ、静かに眠っているときは赤々と燃えているあの宇宙の一部に。……波は浜辺で砕けて散った。……はるか遠くの、そして近くの音、傷を負った肉体、ほとばしる血、不意に捻挫した関節、これらすべての下に何かとても大事なものが、遠くにあっても、やはり孤独のうちに保つべきものが、形を現した。

あれは『ジャパニーズ・スリーピング/世界でいちばん眠い場所』の公演期間中、その舞台で演出助手をしていた近藤(久志)君の口から「とある雑誌に文章を書いたりしている」というぼんやりした話を聞いたことがあったが、それとおぼしい批評雑誌『アラザル』を、ふとしたことからネットサーフィン中に見つけたのはつい先日のことである。『アラザル』は現在「vol.4」まで出ていて、近藤君はそのうちの vol.1、vol.2、vol.4 に文章を寄せている。過日、会社帰りに寄った新宿のブックファーストで「vol.2」を見つけて買い、そのことをツイッターでつぶやいたところ、当の近藤君から慌てたようすのメールが届いたのだった。ほかの執筆者は立派な文章を書いてるのでぜひそこは読んでいただきたいが、自分のその号のそれは酷い代物だからけっして読んでくれるな、vol.4 には多少ましなものを書いているからそっちを今度差し上げます云々とあったが、ごめんよ、うっかり読んでしまった。というのは、そういえばメールに返信してなかったので、近藤君にむけた私信。読んだ感想はまたこんど、ゆっくり書きますよ。

本日の参照画像
(2010年12月 9日 21:58)

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