2
Feb.
2014
Yellow

最近のコメント

リンク

広告

/ 15 Feb. 2014 (Sat.) 「長ぐつのもたらす、この心の余裕ったらない」

こちらが買った長ぐつ。

そもそも、うちには長ぐつがないのだ。いや、妻のはあるのだが、わたしが履けるサイズのものがない。で、明日は出かける用事があるし、そのさいけっこうな荷物(しかも大事な)を持っていくしで、だから今日のうちに駅前へ強行し、長ぐつを調達しておくのが賢明ではないかと考えたのであり、少ない手駒のなかからごく弱い、水の浸透になすすべのないスニーカーで出かけた。
結果からいうと今日バスは走っていなかった(全面運休とバス停に貼り紙があった)のだが、むろん運行状況についてなにがしかの情報を得るにはまずバス停に寄ってみなければならない。バス停は通りをわたった向こう側にあるのだが、このようなとき、日頃ならば歩行者の側に寄り添ってくれる横断歩道こそが「なぜにそこまで」という牙を剥き、えてして最大の難所としてわれわれの前に姿をあらわすことは〈ノー長グツィスト(非長ぐつ者)〉たちによってよく知られている。ひとの手になる雪かきが細々ながらも堅実な道を用意してくれる路地や歩道とははなから様相のことなる、無慈悲なシャーベットの轍と、轍の深い谷に満ちた氷水とが、非長ぐつ者たちにある種の諦念をもたらすのは無理からぬところだ。そしてなにより、横断歩道には「時間制限」がある。その諦めと焦りとが、つぎの一歩を踏み出すにあたっての、あそこは固いか、やわらかいかという判断をあやまらせる。ほぼ全面がシャーベット状であり、やわらかそうな山しか見当たらないという事態に動転して、そのまま氷水の谷へと踏み出す者さえあとを絶たないのが横断歩道だ。
左足をぐっしょりとさせて「全面運休」の貼り紙を見るわたしは、なぜ、バスに乗ろうとしたのだろうかとぼんやりする。買った長ぐつに履き替えるにあたっての替えの靴下の用意もあり、駅に着くまでにスニーカーが無事でないことは覚悟の上だったものの、事はもう少しおだやかに運びたかった。出鼻をくじかれた。
で、駅ビルに入っているアウトドアファッションブランドの店へ。当世長ぐつは売れ売れで、あまり選択肢もなかったものの、まあ無難でいいのではないかというところを購入。その場で履き替えたわたしはいまや〈長グツィスト(長ぐつ者)〉として、さきほどまでとはまるでちがった心持ちで、差す光もまばゆい外の世界へと繰り出す。ああ、なんという心の余裕か。もう何も怖いものなどない。何が横断歩道だ、何がシャーベットの轍だ。
あっはっはっはっはっ。

Walked 7.3km • 10,254 steps • 1hr 57min • 346kcal.
本日の参照画像
(2014年2月19日 12:48)

関連記事

/ 14 Feb. 2014 (Fri.) 「ドキュメント・足止め」

床屋(床屋、床屋言ってますが、まあ、美容室ですね)でもらったこのチョコベビーを車内ではしょぼしょぼ食べていた。

いつから降り始めていたものか、起きて、二階の窓越しに見た屋根々々の光景には「あちゃー」となったものの、しかしいざ玄関を出てみるとアスファルトにはほとんど積もっておらず、雪質が先週とはちがうみたいねと妻も言う、その〈朝の感じ〉にだまされたなあという思いはつよい。午後にも仕事で外出したが、まだ積もる気配がなかった。
19時過ぎに会社を出て、銀座らへんにある行きつけの床屋へ。髪を切り終わって 21時。担当の美容師さんに『ヒネミの商人』のチラシも渡して意気揚々と傘をさし、妻に電話をする。「有楽町にいる。髪を切っていた」と報告する電話越しのわたしに、妻ははっきりと油断を感じ取っていた。「このひと油断してるなあ」と思っていたという。
で、有楽町駅前の三省堂書店に寄り、『群像』の 3月号 と、『小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム』(集英社) を買ってから電車に乗る。山手線をひと駅乗って東京駅に出、あとは中央線でまっすぐだ。まったくのところ床屋にさえ寄っていなければわたしは足止めを食うこともなく、すんなり立川に帰り着いていたはずである。

21:56
武蔵境駅到着。
22:07
妻宛: 武蔵境で(前に列車が詰まって)いったん止まっております。
22:43
妻宛: まだ武蔵境です。

ちなみに武蔵境というのは三鷹のつぎ。(三鷹武蔵境東小金井武蔵小金井国分寺西国分寺国立立川日野豊田八王子西八王子高尾)というわけで、立川まではあと 6駅だ。東京(始発駅)から乗ったのではじめから座れており、ここらへんまではヘッドホンで『 A Paris』を聴きながら MacBook Airを膝に広げ、2月3日付の「誕生日がふたつと音楽がいくつか」を書いていた。なので車内アナウンスの案内もあまり聞いていない。だいたい書き終え、そのあと 1月31日付の「いつまで書いている」のアイデアも浮かんで少し書きすすめたが、そっちは家の資料(『 1・2のアッホ!!』)にあたる必要があるので途中まで。最近めっきり充電の持ちがわるくなった Airを閉じ、『群像』の古井由吉に切り替える。と、このへんでいよいよ状況が動かないのでツイッターにも手を出してみた。

23:51
中央線下り車中。かれこれ二時間ほど、武蔵境駅で止まっています。
0:23
ひと駅、東小金井まで進んだ。
0:30
もうひと駅いくそうだ。
0:51
妻宛: 元凶は高尾駅。そこのポイント点検(要は除雪?)のために先頭が高尾で止まっていて(上り電車として折り返せずにいて?)、そっから各駅に電車が止まっているという、だいたいそんなイメージ。さっきまでは日野でもポイント点検をしてたんだけどそれは終わって、少しだけ順繰りに進んでいま武蔵小金井。
2:09
で、あれから、こんどは武蔵小金井駅に一時間半ほどいる。
2:33
妻宛(降りれるの? の問いに): 降りれはするよ。

「ファミレスとかでごはん食べたりして、朝まで時間潰すとかは?」というもっともな妻の提案だが、いまいち腰が重いのは、気づけばこのあたりも外はけっこうな天候になっているっぽいからだ。風の音がすごい。あと、その手に打って出るには少し時機を逸した感もある。その手に打って出たか、はたまたべつの活路(タクシーとか?)を見いだそうとしたのだろうひとたちが徐々に徐々に降りていった結果、車内はいつしか、まばらに立っているひとがあるという程度にまで空いてきていた。だからファミレスなど長居のできる店は、あったとしてすでに満席なのではないかと想像される。
とはいうものの、ずっとただ座っているのでさすがにお尻がいたい。お腹も空いてきた。それで、床屋で「バレンタインです」とくれた明治チョコベビーをしょぼしょぼ食べる。うまい。あと床屋では、奥さまにでもどうぞと Avedaのボディークリームの試供品もくれたが、そっちは使い途がなかった。

5:30
妻宛: けっきょくずっと車内にいる。なんか外は外でけっこうな荒れ模様(風と雨?)っぽいんだよね。

で、気が変わり、ここで外へ。雪は雨に変わっていたが、風がすごい。一服してくらくら。すぐに目につくのはマクドナルド(さぞ混雑しているだろう)と、吉野家(長居できないかわりに混んでもいなさそう)だ。

6:13
妻宛: 外でてみた。吉野家が見える。
6:18
外にでてみたね。
6:26
妻宛: 牛鮭定食。
6:36
やっぱり牛鮭定食だね。
7:11
妻宛(タクシーは? の問いに): ポツポツ来る感じでタクシーの列はできてる。マックに入った。
7:15
マックのコーヒーのMは意外にでかかった。
7:24
妻宛(乗れそうだったらタクシーにしたら? と言われ): さっき外は風がすごかったんだよね〔なので列にならぶ気にならない、と言いたい〕。電車は早くて8時以降かな。高尾で除雪のほかに電源系統のトラブルがあるらしく、そっちのメドが7時50分とか言ってた。
7:38
妻宛: ちょっと駅の様子をば見てきます。
7:45
妻宛: 電車、もう少しすると国分寺まで進みそう。豊田まで開通して運転再開したらしい。で、ひと駅ずつひと列車ごと進めている模様。

そうして電車は動きだし、わたしはひと駅ごと、そのうれしさをつぶやいた。

7:53
中央線下りは豊田まで開通、運転再開。ひと駅ずつ、ひと列車ごと進めるためのんびりだが、動き出した。上りは依然見合わせ。
8:00
花の都、国分寺だ。
8:07
ヨーロッパの庭、西国分寺である。
8:11
上りも、豊田からの折り返しでポツポツ走りだしている模様。
8:23
銀髪鬼、国立。
8:44
立川っ。
8:45
妻宛: バスはいない。
8:49
歩道橋の階段の下り、無茶言うなあ。というか転んだ。
9:18
通りからわが家へとむかう路が、長ぐつをもたない者にとって絶望的な景色だ。
9:19
駆け抜けたいと思う。

で、駆け抜けて帰宅。マッサージの予約を 11時に入れていたのを 15時45分に延ばし、『 1・2のアッホ!!』の第 6巻を手にして布団に入った。

Walked 4.3km • 6,315 steps • 1hr 2min • 206kcal.
本日の参照画像
(2014年2月18日 17:27)

関連記事

/ 4 Feb. 2014 (Tue.) 「処理中の商品」

17時45分ごろに確認するとそのステータスが「お支払い確認中」から「処理中の商品」に変わっていた。出荷予定は「 3月」だから、さらに「出荷準備中」になるにはまだまだかかるだろう。先は長い。
と書けば、もうじゅうぶん察しのつくかたもあるかと思うが、そう、いよいよあれを注文してしまった。Mac Pro (Late 2013) だ。6コアの、フラッシュストレージだけ 512GBに上げた。うわあ。
もう一回、うわあ。
いま持っている Mac Proは 2006年発売のいわゆる「初代」で、Mac Proシリーズ中で唯一、Mountain Lion (Mac OS X 10.8) に切り捨てられたそれだ。

060826_macpro.jpg

発表からほどなくアップルストア(ネット)で〔 2006年〕8月10日に注文、16日に届いた。いわゆる「初期ロット」というやつに手を出すのははじめてじゃないか。物欲をなだめつつしばらくは様子を見、OS X 10.5(Leopard)が出た時点のものを買う、というのが冷静な大人の判断かもしれないものの、「おもちゃ」を買う者はみな子どもである。
web-conte.com | blue | Mac Proユーザーだ。どーんとこいだ。

と興奮気味に書いたあの日から 7年半。FireWire400のポートさえ備えたその筐体には「ごくろうさま」と言うよりほかないが、Geekbench Browserに寄せられているベンチマーク結果から単純計算すれば 3倍くらい速くなるっぽい
いつ届くのか、ということを考えるために状況をおさらいしておくと、Mac Pro (Late 2013) は 12月19日の夕刻に販売開始、その時点では「出荷予定日: 1月」だったが、早くも翌 20日の早朝には以降の注文分が「出荷予定日: 2月」に切り替わり、そののち、1月20日時点で「 3月」に、2月11日時点で「 4月」にそれぞれ切り替わっている。つまり 1月20日〜 2月10日までの 22日間分の注文が 3月出荷なのだとして、わたしが注文した 2月4日はその 16日目にあたるから、意味があるのかどうかわからない単純計算をすればわたしの Mac Proは 3月22.545454……日に出荷されることになる。
けっこう先だなあ。
先のハナシについての気分的なものさしとしては 2月28日に古井由吉の最新短篇集『鐘の渡り』(新潮社) が、3月13日には同じく古井由吉の自伝的エッセイ『半自叙伝』(河出書房新社) が発売される予定だが、どうにかこう、後者にあわせるぐらいで出荷されないものかなあ。

Walked 2.7km • 3,286 steps • 34min • 128kcal.
(2014年2月17日 15:31)

関連記事

/ 3 Feb. 2014 (Mon.) 「誕生日がふたつと音楽がいくつか」

Riff Cohen

Riff Cohen『 A Paris』( 2013)

ザ・ナンバーワン・バンド『もも』( 1982)

フィービー・ケイツ。ケヴィン・クラインの奥さんなんですね。

@obami23のツイッターアカウントでも知られるとおり、2月3日は大場(みなみ)さんの誕生日だ1]

1:アカウントでも知られるとおり〜誕生日だ

ところでわたしのアカウントは @soma1104で、そこからわたしの誕生日を 11月4日だと思われているかたもなかにはあるかもしれないが、この「 1104」は日付ではなく「ヒトシ」の語呂合わせである。ご期待に添えずあいすまない。なお、誕生日は 11月18日。

で、iTunes Storeのギフト機能でもって、CSSのファーストアルバム を贈った。われながらじつにその、「まいっかこれで」感の否めないチョイスであり、ほんとはもっとこう耳新しい(?)ところにいどもうと、かつて Selah Sueをそこで知ったところのアチラの CD買いまくりブログ、「 Jasouyouqui の 全方位極楽!」へ行き、チェックしていなかったあいだの一年分ぐらいの記事をざざーっと読みもした。それで知ったのが Riff Cohenだ。テルアビブ出身、パリ在住。こないだその PVを(とくに脈絡もなく)ここへ貼った「 A Paris」もいい──なぜなら Riff Cohenがかわいいからだ──が、いよいよすげえなと思わせられるのは、やはりこの「 Jean qui rit jean qui pleure」だ──なぜといってまず、Riff Cohenがかわいいときている。

去年に出たファーストアルバムである『 A Paris』 を買い、いまは何かと言っちゃあそれを聴く毎日だが、しかしこの日の時点ではまだ繰り返し聴いていないこともあって──いや、だったらそもそも今日探すんじゃないよという話だけれども──、プレゼントの品としては「気に入るかどうか」の心配を脇へ押しやって目もつむり、いきおいにまかせて跳ぶまでの確信に至らなかったのだった。いまであれば、いま誰か誕生日の者があれば、気に入るも入らないもなく『 A Paris』を贈りつけるかもしれない。
で、贈った CSSだけれども、セルフタイトルのファーストにするか、はたまたサードアルバムの『 La Liberación』 にするかで悩んだのは、CSSでいま一曲選べと言われたら迷わずそれを挙げたい「 City Grrrl」(リンクは PV)がサードにはあるからだ。ただ、そうはいってもモノは順序、ファーストのあの初遭遇時の魅力も当然捨てがたく、あ、いっそ曲単位で選んで、ベスト盤のようにしたプレイリストを贈るのはどうか、とも思ったものの、たしか以前はできたはずのその「自作のプレイリストを贈る」という機能がどうも iTunes 11になって無くなっているっぽい。うーん……となったすえ、けっきょくファーストにおちつけた。
さて、そういえば聞いたことがあるような気もするものの、あらためて Facebookの誕生日通知機能に教えられるのは、茂木(成美)さんもまた 2月3日が誕生日だということである。と、よくわからないけれど、茂木さんにも何かアルバムを贈らないことにはどこか画竜点睛を欠く2]ような気分になるのだった。

2:画竜点睛を欠く

言葉の使い方としては、かろうじて間違っていると思う。

 といって、茂木さんの音楽の好みなどいよいよもってわかるわけがないじゃないか。
 どうしたらいいんだ(贈らなければいいのである)
 もうそんなに時間もないぞ──と自分の iTunesに入れてあるアルバムたちを眺めることしばし、ザ・ナンバーワン・バンドの『もも』 がいいのではないかという驚くべき結論に辿り着く。だいじょうぶかその判断は。いや、でもネットを検索するに、ザ・ナンバーワン・バンドの『もも』についてはたとえばこのような思い出が語られていたりもするし、だいじょうぶなんじゃないのか(何が? どう?)ということにおちつけた。

これ、82年当時、中学校で友達に貸してもらった思い出があります。ミュージック・テープでした。この友達というのが女子で、ちょっとフィービー・ケイツに似た感じのなかなか可愛い子だったので、「これ聴いてみぃひん?」と授業中にこっそり手渡されたときはドキドキしたのだけど、聴いてみて、私は彼女がこれを貸してくれたことをどう受け止めればよいのか、数日に渡って悩んだ記憶がある。たしか、「だれにも言ったらアカンよ」という念押されたと思うのだが、そんなこと、思春期の男の子に滅多に言うもんじゃない。

(略。この間に、どんなアルバムかについて知るにはわりともってこいな紹介が挟まっているが、長いので割愛。引用元ページにてお読みください)

あ、フィービーちゃんには「テープ、よかったよ」と言って返しました。ニヤッと意味ありげで『パラダイス』〔フィービー・ケイツ主演の思春期映画〕な笑みを浮かべ、「そうやと思ったわ」とだけ言って、それ以上なにもありませんでした。なんだったんだ、あの子。
小林克也とナンバーワン・バンド/ もも (1982) @勝手にシドバレット〔引用にあたり原文の改行を省略〕

 フィービー・ケイツについてははじめ名前と顔が一致しなかったのだけど、検索してみて「ああ」となった。あのひとね。
というわけで最後は、茂木さんにあげた『もも』から、その冒頭曲の「うわさのカム・トゥ・ハワイ」をどうぞ。

Walked 3.7km • 4,451 steps • 48min • 177kcal.
Cycled 1.9km • 10min • 43kcal.
本日の参照画像
(2014年2月16日 23:11)

関連記事