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Apr.
2008
Yellow

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/ 26 Apr. 2008 (Sat.) 「贅沢をする」

HARRY HOSONO & THE WORLD SHYNESS『FLYING SAUCER 1947』。

22日(火)のこと。めったに使うこともないのだけれど一応制度としてはある有給休暇というやつを使って会社を休み、夕方から出掛けて妻とむかったのははじめて足をむける六本木のあそこ、東京ミッドタウンで、そのなかに「Billboard Live TOKYO」という食事をしながらライブを楽しむというような店があるのだった。その夜の演[だ]し物は「細野晴臣&ワールドシャイネス」である。
だいたい純粋なチケット代(自由席料金にあたる)もなかなかいい値段なのだが、加えて贅沢をしようと思えばたとえば「メンバーズシート(いわゆる指定席)」とか「DUOシート(二人掛けの指定席)」、「DXシートDUO(さらにいい位置の二人掛け)」といった座種があってそれらには席の指定料がかかり、そもそもBillboardの会員でないとそれらシートの指定ができないから、じゃあしょうがねえ、入会料も払おうじゃねえかってことになるのだし、そして最終的にはそこに注文した分の料理代が加わるのだけれど、そこはそれ、ビール一杯だって900円(さらに言えばエビアンが800円)なメニューである。
こりゃあもう「勝ち組」と揶揄されてもしかたのないハイソぶりだが、けれど食事をしながら細野さんを聴くといえば、どうしたってそこは例の伝説的ないわゆる「中華街ライブ」(「細野晴臣 & Tin Pan Alley In China Town」、1976年5月8日横浜中華街レストラン同發新館)──おそらくこのミッドタウンのハイソぶりとはまったく異なる食事の場だったのだろうと想像されるものの(と書きつつ調べていたらあれはコンベンションライブだったそうな)──想起されるわけで、そりゃあ、そんな幸せな時間はなかなかあるものではなく、ま、どうせもう「勝って」しまったんだとすればなおのこと、「これぞ贅沢」と言うべきこの体験に金を使わない手はない。困るのは明日から困りゃあいいじゃないか。
「ワールドシャイネス」のメンバーは、徳武弘 (Guitar)、高田漣 (Pedal Steel)、コシミハル (Accordion)、伊賀航 (Bass)、浜口茂外也 (Drums)、それと清水宏 (ゲストMC、前座としてスタンダップコメディ風の前説を行った。これがまたとてもよかった) 。曲は『FLYING SAUCER 1947』のものを中心にほかいくつか。
途中、細野さんがメンバーそれぞれに雑談をもちかけるというかたちでいわゆるメンバー紹介がすまされたのだが、そのさい高田漣さんには「最近ユキヒロとやってる(原田知世らとのバンド「pupa」のこと)んでしょ? どんな感じ?」と訊き、さらにつづけて「テクノ?」と言ったのは可笑しかったが、高田さんはそれに答えて「ボブ・ディランな感じ」と説明し、で、細野さんは「え!? そうなの? じゃあライバルだなあ」と受けて、そしてその流れのなかでたしか「ま、ぼくもカントリーじゃないけどね」といった発言をしたように聞こえた。あ、やっぱりそうだったんだ、そういう意識でやってたんだとその言葉にはなんだか得心がいく。
くりかえすが贅沢だった。ゆったりとした二人掛けの席で妻とふたり、ビールを飲み(妻は白ワイン)、サラダをパクついたりしつつ抜群のアングルでステージを眺め、演奏を聴く。最後の曲で、それまで閉まっていたステージ後方のカーテンが開くと壁は全面ガラス張りで、向こうには六本木の夜景だ。まったくもう。「Pom Pom 蒸気」や「香港Blues」、「キャラバン」もよかったが、(個人的に)圧巻はやっぱり「スポーツマン」だ。涙が出そうになる。アンコールに「はらいそ」で幕。

本日の参照画像
(2008年4月27日 04:26)

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