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Nov.
2013
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/ 19 Nov. 2013 (Tue.) 「志ん公を聞きに。落語を聞きに。」

『エゴ ~ 加藤和彦、加藤和彦を語る』(前田祥丈/インタビュー・構成、スペースシャワーブックス)。

日暮里プロモボックスのツイートから拝借。写真の中央、高座のまん前の後頭部がわたしだ。

アマゾンから『エゴ ~ 加藤和彦、加藤和彦を語る』(前田祥丈/インタビュー・構成、スペースシャワーブックス)が届く。ぱらぱらと読む。仕事中はほぼずっとヘッドホンで『うたかたのオペラ』。
夜、日暮里で落語を聞く。いつ以来だっけか。(古今亭)志ん公さんの勉強会、三席。

寿限無 / 志ん公
錦の袈裟 / 志ん公
〈仲入り〉
三方一両損 / 志ん公

 志ん公さんは来春に真打ち昇進、「五代目古今亭志ん好」を襲名予定。字が変わって読みは同じ。というか、そもそもが二ツ目昇進時に「志ん好」の名を希望したが、「それは真打ちの名前だからダメ」と、師匠・志ん五が字を当て代えた「志ん公」の名を考えてくれたという経緯らしい。てなわけで、志ん好。いい名前だと思う。先代の志ん好(明治生まれで、1994年歿)は二代目三遊亭金馬に入門、師匠の歿後、初代柳家三語楼門に移り(なので志ん生の兄弟弟子ということになる)、一度引退を経験したのち、志ん生に拾われるかたちで復帰、古今亭の内輪になって四代目を名乗ったという人物。艶笑噺などの落語も演ったが、三味線を持って高座に上がり音曲を披露することが多く、どちらかといって色物寄りの芸だった由。事実としては引退前にしっかり真打ち昇進をはたしているのだが、周囲の多くが「あれは生涯二ツ目だった」と認識ちがいをしているという、そういった噺家である。
で、今夜はというと「三方一両損」がまずまずの印象。この噺、聞く側として「どのセリフが決まってほしいか」という欲をいうと、わたしの場合、

()でてねえんだ」
(なま)で来やがったな」

のところなのだった。例の啖呵でもなくそんな冒頭のところかよって話だけれど、やっぱりここはひとつの山場であって、吉五郎が「生で来やがったな」と、あくまでもどこまでも真面(まとも)に金太郎に応答するとき、語られるふたりの江戸っ子はステレオタイプの地平から飛び立って、落語という祝祭そのもののなかへとすべりこむ。今夜の志ん公はそこをさらっと流してしまって残念だったけれど、きっといつかその祝祭を見せてくれるはずだと、わたしは五代目志ん好に夢を見る者だ。祝祭のなかで高らかに発せられるサゲのひと調子──「ナアニおおかァ(多くは)食わねえ、たった越前(一膳)──を、そりゃあどうしたって聞いてみたいじゃないか。

本日の参照画像
(2013年11月24日 21:37)

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