/ 12 Sep. 2005 (Mon.) 「選挙がすんで日が暮れて」
■やはり選挙結果には憂鬱になるよ。
■夜、DVDで『2001年宇宙の旅』 のオープニング(サル部分だけ)を観ようと思ったのは、土曜日(10日)に立川の映画館でティム・バートン監督の最新作『チャーリーとチョコレート工場』
を観たからで、その劇中にはオマージュとして『2001年宇宙の旅』のワンシーンとあの音楽(R・シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」〜序奏)が非常にくだらないかたちで使われていた。ちなみに、ロアルド・ダールの原作『チョコレート工場の秘密』
は柳瀬尚紀の新訳で新装版が出ている。
■面白いですよ、『チャーリーとチョコレート工場』は。
■これは以前に川島雄三監督の作品をほめるさいに使った言葉で、要は「どこがどうすばらしい」というのを言語化できずにいるところを誤魔化して言うわけだが、やはりティム・バートンはべらぼうに「映画がうまい」と評したくなるひとりだ。あと、ヘレナ・ボナム=カーターの魅力。
(2000年10月15日の私の日記より)
■阿佐ヶ谷で、川島雄三の『愛のお荷物』と『暖簾』。森繁が! 山田五十鈴が! 円谷が! 中村メイ子が! いや、中村メイ子はちがうのだが、そんなこんなであっという間だったというのを、あるいはいつまでもつづいていてほしかったというのを、なんと言ったらいいのか、やはりべらぼうに映画が上手いのだなこの人は。
■日曜日(11日)は夕方から投票に出掛け、帰ってきて居間で昼寝をするうちに、気づくとテレビの「選挙特番」がはじまっていた。いきなり「自民圧勝」を予測するテロップがおどっている。まあ、なんやかやで深夜まで「選挙特番」に付き合ってしまった。基本的にはNHKとTBSとを行き来して見る。TBSには久米宏が出ていて、筑紫哲也とのダブル司会である。「ニュース23」の枠に久米宏が特別出演というかたちか、あるいは「ザ・ベストテン」の枠に久米以外がごそっとやってきたのかそこはわからないけれども、自民圧勝という重苦しい状況のなか、このふたりのコンビによる司会がいちばん腹立たしくならずに見ていられた。あと、TBSには後半、姜尚中がコメンテーターとして登場し、結局あまり発言する機会はなかったものの、何を言うだろうかとその存在に惹かれて見ていたのだった。
■まったく関係ないものの、いま「姜尚中」の漢字が思い出せず、調べるために「かんさんじゅん」と打って Google 検索したところ見つけたのが、この「かんさんじゅんカコイイ」 というはてなダイアリーの日記だ。まあそうだよね、かっこいいよ姜さんは。あと、こわい。
■いま、会社への行き帰りの電車の中などでちびりちびり読み進めているのは『はじめからの数学』 というシリーズの翻訳書で、その第1巻の「幾何学」だ。「現代思想」誌の「靖国問題」特集号(2005年8月号)
に刊行案内が挟まれていて知ったもので、こうした本には単純にあこがれを抱いてしまうのが私であり、その程度には私は「文系」だ。「中学生でも読める文章」「数式はいっさい出てこない〈読み物〉」と謳われて、出版社が青土社ならさらに手は出しやすい。いやー、やっとわかりましたよ「非ユークリッド幾何学」ってやつが(「わかった」というよりか「知った」ということだが)。
■いま制作中の3Dアニメーション『不思議の国とアリス』 のなかで兄(そうまあきら)は、「またしても平行線だ」とひとりごちるドジソン(=ルイス・キャロル)に対し、アリスに「平行線は交わるじゃん、知らないの!?」と言わせているのだが、このときのアリスの台詞の論拠になっているのが非ユークリッド幾何学で、つまり「非ユークリッド幾何学上においては平行線は交わる」ということなのだが、このよくわからない言葉に対してよくわからないままに、どこか神秘的でさえあるような響きの心地よさを感じ取っては納得してしまうのが「文系」ってやつである。バカを告白するついでに言えば、「グノーシス派」という言葉にも似たような響きがありますね。
■いやー、そういうことだったんですね、非ユークリッド幾何学というのは。と、いたく膝を打っているこのごろである。
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