/ 16 Jun. 2008 (Mon.) 「125日間を振り返る、という企画」
■うーん、書けば書いただけ長くなり、「アデュー熱」はなかなか冷めないのだった。当の(作・演出の)笠木(泉)さんがブログに、
今回の舞台に関して書きたいことがたくさんあって、でも時間がないから書かないかもしれない。そうしてどんどん忘れ去られていくのか、自分の中で。
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と書くなかで、いわばただの受け手であるところの私が──と同時に厄介なのは、一方でこの日記の受け手にとってはことによると〈関係者〉と映るかもしれない私が──こうして日々作品をめぐる言説を生んでいるというのは、ちょっと迷惑な話ではないかとも思うものの、まあそれも、
一回目に見に来た際に折り畳み傘を忘れて行ったのでそれを取りに二回見に来た
aplacetodie/ツイノスミカ » Blog Archive » アデュー「125日間彷徨」ご来場ありがとうございました
と事の次第がばれてしまっている以上、それを文章の量でもってごまかすためにはやむをえないことである。
■だいたい打ち上げの席において、関係者や、じっさいに観たという人の語る記憶以外にほとんど何も残されていないという状況から(そしてまた語られる記憶の内容からも)なかば「伝説」めいてさえいるところの舞台『遊園地再生』(1990年)がたまさか話題にのぼったおり、「あ、これ(『125日間彷徨』)もビデオ撮ってないよ」と笠木さんが言うのを承け、「じゃあもう、(伝説化するために)終わったら何も語らないことにしてはどうか。終わったとたんなぜかブログでも一切触れないばかりか、サイトも閉鎖して…」と提案したのは私であるにもかかわらず、けっきょく私がいちばん語っているのはどうしたものだろうか。
■それでまあ思いつくのだけれど、「時間がないから書かないかもしれない」という笠木さんを、その忙しさがひと段落したころにつかまえ、インタビューするのはどうか。「125日間を振り返る」である。そのインタビュー記事に舞台のスチール写真を添え、アデューの公式サイトのほうに載せる。何度か演劇関係のサイトを頼まれて作った身としては、とかく公演が終わってしまうと(私の怠惰もあるが)その後の動きがまったくないという状況をいかがなものかと思っていたところもあり、そこでアデューでは、終わってからももうひと山あるというようなことを、やってもいいのではないかと思うのだった。
■それはおもに、遠方に住むために観られなかった/どうしても都合がつかず来られなかった/「ま、いいかな」と思って来なかった、すべての〈観ていない方々〉へ向けたサービスであり、「ああ、行きたかった」「行けばよかった」「次は行こう」と思わせるための仕掛けであって、たとえば数年ののち、ついにアデューの公演を生で観る機会を得たその人が、「なんだよ、ぜんぜんちがうじゃないか」と感想を抱くとすればまったくしてやったりである。
■だから、インタビューで笠木さんは、舞台を伝説化させるべく、たとえば次のようにしてあることないことしゃべるのではないかと思う。
- インタビュアー:
- 第三幕ではトラが出てきましたが、あのトラは公演中どう飼育されていたんですか?
- 笠木:
- あれはトラってことにしてやってましたけど、じっさいにはワニを使ってます。
- インタビュアー:
- ワニですか、あれ。よくできてましたね、トラにしか見えませんでした。
- 笠木:
- さすがに本物のトラを使うと危険なので、ワニでやってます。
- インタビュアー:
- なるほど。
いったいどんな舞台であり、どんなワニだというのだ。
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