1
Jan.
2012
Yellow

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/ 11 Jan. 2012 (Wed.) 「フライブルクってみた」

終演後にアンコールの曲目が貼り出され、それを携帯のカメラで撮るひとがいるというのは落語会の風景と同じ(落語の場合にはそれぞれの演者と演目)。とある知人の Twitpic から拝借。「字が幼くて面白い」と知人。

夜、初台の東京オペラシティ コンサートホール。「フライブルク・バロック・オーケストラ」。いつだったかしばらく前にツイッターで、とある知人がチケットを取ったとつぶやいていたのだ。それで行ってみた。ことによると、「フライブルク・バロック・オーケストラ」というその名前の響き自体にもどこか──どこだ?──惹かれるところがあったのかもしれない。というのは、ツイートと、ツイートに添えられたリンクから飛んだ質素な公演案内ページ、そこに貼られてあったチラシの画像だけでもって即決したからで、何しろ知らないのだし、名前ぐらいしか判断材料がなかったようなものだからだ。って、あんまり名詞を連呼しているとまた、中身もないのに Google に掴まってはずかしいことになるからやめておくけれども、ともあれ、「フライブルクならな、いいんじゃないかな。バロックだし。大勢いるみたいだしね」と、その方面に何の知識ももたないわたしはそう考えたと思っていただきたい。
しかしあれだね、知らないというのは楽しい。まずもって曲を知らないから、どこで拍手したらいいのか、いったい終わったのかどうかがわからない。「管弦楽組曲第3番 ニ長調」というのが途切れ無しに 23分間つづく曲だと考えるのがどだい間違いなのであって、さらにいくつかの曲にわかれており(書いていて気づいたが、「組曲」って言ってんだからそりゃそうだろうさ)、それらの曲はわりと突然、すっと終わる。が、「管弦楽組曲第3番 ニ長調」というまとまりはまだ終わっていないから、そこではまだ拍手しないのがここいらの大人の振る舞いなのだった。
と、そんなことを書いている者が当日の曲目を書き写すことに意味などあろうはずもないが、まあ、

  • J.S.バッハ:
    ・管弦楽組曲第3番 ニ長調 BWV1068
    ・管弦楽組曲第2番 ロ短調 BWV1067
    ・管弦楽組曲第1番 ハ長調 BWV1066
    ・管弦楽組曲第4番 ニ長調 BWV1069

ということだったらしい。わたしのほうから付け加えることはとくにないけれど、強いて言うなら、ついつい「名曲アルバム」を思い浮かべたくなるのがニ長調ってやつであり、ロ短調はドラクエに想像をのばしやすいということだろうか。
あとまあ、門外漢としては、周囲から聞こえてくる「知っている」ひとたちの会話もまた楽しい。となりの席は壮年といった感じのご夫婦だったが、ご主人は「あそこ」と言って舞台上のどこかを指し、「ほら、いつもはあそこにあるんだろ、床ってことはないよ」と言っていた。応えて「床じゃないの?」とは奥さんの言葉だ。いや、たまさか耳に入った言葉をいまうろ覚えで書いているからほんとうはそんなことを言っているのではなかったかもしれないが、とかく門外漢を魅了するのは、そうした会話のなかにもどことなく響く〈かれらの了解事項〉的なるものである。
えー、いまさらあれかもしれないですが、よかったです。「音に包まれる」というようなのを想像していたのだけど、そうではなかった。そこで鳴っている、というあたりまえの感じ。そのごくあたりまえの感じが、いっぽうで僥倖にめぐりあったような奇跡を思わせもする。愉しげで、すっとしていて、やはり愉しげ。フライブルク・バロック・オーケストラ。よかったらみなさんもぜひ(今回が初来日で、残る公演は14日の三鷹[完売]と、15日の札幌だけらしいですが)
本日(11日)の電力自給率:29.3%(発電量:10.2kWh/消費量:34.7kWh)

本日の参照画像
(2012年1月13日 23:09)

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