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Mar.
2017
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/ 15 Mar. 2017 (Wed.) 「志ん好・志ん八兄弟会」

ロビン。2008年11月。

夜、湯島天神の参集殿というところで「志ん好・志ん八兄弟会」。

道灌 林家たま平
鈴ヶ森 古今亭志ん好
うおーず、出目金 古今亭志ん八
〈仲入り〉
トイレの死神 古今亭志ん八
野ざらし 古今亭志ん好

たま平は初。終演後にツイートするさい、名前を間違えてないか確認しようとして検索し、それではじめて「あ、このひとが」と知ったのだけど、当代(林家)正蔵の長男。「道灌」の出来はまだまだ全然だけれど、まっすぐに演ってくれたので「道灌」という噺そのものの〈強さ〉みたいなものはあらためて(たま平の高座そのものとはまったく関係なく、こっち側で勝手に)感じたりしていた。いい噺だよ、道灌。
今秋に真打昇進、2代目「志ん五」を襲名予定の志ん八は五回目くらい。わりあい覚えているのは「ん廻し」を演った何年も前の高座で、達者だなあと思わされた記憶がある。今日は短い新作を都合三本。あるいは単純に「そっち(軽い新作)のほうがウケがいい」ということもあるのかもしれないが、くわえて今日は、あくまで兄弟子の助演に徹するといったおもむきに見えた。わがまま勝手を言って申し訳ないが、古典が聞きたい。もうずいぶん前だが、志ん五のお内儀さんがやっていた Ustreamの配信番組で、「あの子にはフラがある」と言っていたのが妙に印象に残っている。というのも、「だとすると、これまでのわたしのフラにたいする理解はちょっと違っていた(より狭く捉えていた?)のかもな」と思わされたからだが、まあ、お内儀さんの言わんとするニュアンスもわからないではない。ただ、フラ1]云々よりもまず、彼にかんしては〈型に依らずにしゃべれる技量の高さ〉みたいな印象のほうが強くあり、だからこそ、その技量を注ぎこんだ古典が聞いてみたいと思う(いや、べつに演ってないわけじゃないので、だったらもっと足繁く通えよって話だとは思うものの)

1:フラ

そもそもが「どうにも説明のつかない可笑しみ」のことを指しているわけで、定義のあってないような用語なのだが、まあ、いちばん文句の出なさそうなところで、ここでは古今亭志ん朝による説明を引いておこう。

私達はなし家の符牒で「フラ」というのがあるんです。これは、声音とか、口調とか、顔から受ける印象とかで、同じことをいっても何かおかしい、そういう雰囲気を持ってる人がいるんです。それを私達の方では「あの人にはフラがあるね」という。フラがある方が得だし、うらやましいんです。うちの親父なんてフラのかたまりでね。まともなことをいったって、人が笑っちゃう。
「『ああ、これは志ん生だな』って思った/古今亭志ん朝」、『セロニアス・モンク ラウンド・アバウト・ミッドナイト』、講談社、1991年1月

お目当て、志ん好。ま、どう見積もっても彼にフラはなく、こちらはいわば〈型のひと〉だが、その型にクセがない──とわたしには感じられた──のが惚れた理由か。「鈴ヶ森」はいまいち。志ん五の衣鉢を継いで、これを自身の捨て噺(と言ったら失礼だけどさ)のひとつにするのであれば、もっと精度を上げねばならないし、上げられるはずだ。これは前に聞いた「蜘蛛駕籠」もいっしょ。もっとこう、噺の〈首根っこ〉のところを掴まえないと、という印象。「野ざらし」はまあまあ。その調子に少しく気持ちよくもなれたが、贔屓として、まだまだ欲はかきたいところである。
ところで、後日更新されていたとあるブログ記事に当日の会場の様子などを撮った写真がアップされていたのだが、そのいちばん下、高座の手前に最前列の客がふたり写っている写真の、向かって左がわたしの後頭部だ。この一枚だけややボケた写りになっているのはおそらく、客が写っていることでプライバシー保護の観点から軽いぼかし処理をしているのだと思うが、その処理のおかげでもって、あまりハゲが目立たなくなっている。というか、こんなド真ん前にあんまりハッキリ笑わない客がいて、ちょっと申し訳ない気もいまさらながらしているところなのである。
つぎの落語の予定は 4月14日、「第二回廓噺研究会/志ん好・馬治二人会」。志ん好が「居残り佐平次」と、(金原亭)馬治が「文違い」だ。

Walking: 7.2km • 10,259 steps • 1hr 47mins 17secs • 339 calories
Cycling: 2.5km • 13mins 17secs • 55 calories
Transport: 121.9km • 2hrs 29mins 9secs
本日の参照画像
(2017年4月 3日 22:50)

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