/ 14 Feb. 2008 (Thu.) 「K君のこと」
■「blue」(「HOME」タブ側のブログ)のほうには「笠木さん、とれたよ。」を追加。
■長いこといっしょに働いてきたK君が、明日で会社を辞める。K君にはずいぶん世話になった。甘えさせてもらった。またべつの会社に移るのだというが、K君ならだいじょうぶだろう。K君は「雑」であることで知られるが、その雑さこそが替えがたい魅力だった。
■もういったいいつ貸したんだったかわからないことになっているが、ずいぶん前に、『七人の侍』と『天国と地獄』のDVDをK君に貸し、『天国と地獄』はほどなく「面白い」という感想とともに返ってきたものの、おそらく単純にその長さ(207分)が彼を躊躇させたのだろう『七人の侍』がずっと、貸したままになっていた。先週の金曜だったか、いよいよ辞める日が近づいているので催促すると、「あ、来週もってきますよ」と言い、それで月曜(祝日だった)の夜、もう10時を過ぎたころだったか携帯宛てに届いたメールにはこうあり、思わず笑ってしまった。
七人の侍って解説書みたいなのありましたよね?
「なくしたな、こいつ」と思いながら、行ったこともないK君の部屋など想像し、「ケースに挟んであるやつね、あったね」とメールを返せば、予期に反して解説書はなくなっていなかった。
ありました 今から観ます
「今からかよ」とはついついリズムで口にしがちだが、見ようとしてくれるだけありがたいとも言え、そうメールしつつじっさいには見ずに返すという可能性だって残されるわけだけれど、まあどうやら見てくれたらしいというのは翌日、返却するさいにK君が「これ、志村喬(のため)の映画ですよね?」と言ったからだ。ポスターなどを見てのイメージか、どうやら「ミフネの映画」と思って見始めたらしい。「志村喬の映画」だとは、じつにK君らしいすぱっとした感想である。
■K君には古今亭志ん朝のCDも貸した。べつに無理から貸したわけではなく、きっかけのようなものはあって、あれはポッドキャスティングというものが出始めたばかりのころ、iTunes Music Storeに登録されている無料コンテンツのなかに(私は聞いたことがないんだけど)若手落語家が配信する落語のポッドキャスティングがあって、無料だからとそれを聞いたらしいK君がある日「落語面白いですよね」というような発言をするから、じゃあと、志ん朝のCDを貸した。何枚か貸して、またK君が自身でも手に入れ、ほかの落語家の音源も含めてその後いろいろ聞いていたらしいが、しばらく経ったあるとき、K君はまたすぱっと言ったのだった。「この人(志ん朝)、別格ですよね?」。
■先日「blue」のほうに「うわ、出るんだ、『落語研究会 古今亭志ん朝 全集 上』」という記事を載せたが、それを見たK君はつい予約してしまったらしい。
■付け加えておくなら、「志ん生はどう?」と私が訊いたときのK君の答えも、じつにすぱっとしたものだった。「志ん生はねー、聞き取れない」。
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