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May.
2012
Yellow

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/ 1 May. 2012 (Tue.) 「いま、そこにある横溝」

『本陣殺人事件』(角川文庫)の表紙。これは2番目のバージョンになるらしい。あ、いま書店に並んでるやつの表紙はこれじゃないですよ。

同じく『獄門島』。こちらは3番目のバージョン(映画公開時に切り替わったもの)とのこと。

『獄門島』の鬼頭月世(浅野ゆう子)。

妻からのSMSで、

恐い。なんか恐い。(18:31)

とあって、右の写真が添えられてきた。写っているのはわが家のピー(オス、9歳)だ。

私〕こえー。(18:45)

妻〕だろー。(同上)

私〕横溝入ってるね。(同上)

妻〕だね、だね。背景とのマッチングが。(同上)

 「だね、だね」とすぐさま返してくる妻をもてたことは望外のよろこびだけれども、問題は、てめえで言っておいてなんなのだが、いったいこの場合の「横溝入ってる」は、どの「横溝」が入っているのかということだ。考えてみるとよくわからない。返信したときに脳裏にあったのはまず「角川文庫の表紙」なんだけど、よくよく検討してみると「これ」という表紙があるわけではなく、われらが「横溝」は茫漠としている。
角川文庫の表紙で「猫」……と考えるならやはり『本陣殺人事件』ってことになるのだが、でもこう、ぴたっとはまる感じではない──とは書きつつ、眺めているうちにだんだん似ているような気にもなってくるのであって、虚ろなピーの表情はどちらかといって上の猫のほうではなく、女性のほう(作中の一柳鈴子がモチーフか)を模しているかのようだ。これでもし、ピーが『本陣殺人事件』を意識していたとすれば、「そっちかよ」という話である。
「背景とのマッチングが」と言う妻の念頭にあるのは、おそらく『獄門島』の表紙だろう(確認してみるとやはりそうだとのこと)。逆さに吊られて死んでいる鬼頭花子の着物の柄(を含む表紙全体の色彩)が、カーテンのそれに乗り移ってまがまがしさを与えている。カーテンにしてみればさぞ心外ではなかろうか。また、写真ではピーの顔の左側に赤いリボンのようなものが細く垂れているが(なんだろこれ)、これが映画版『獄門島』で鬼頭月世(浅野ゆう子)が頭に付けている妙な飾り物を連想させもする。
ベッドのヘッドボードにあごをのせて放心しているピーの表情にポイントを絞るならば「生首っぽい」ということがあるのだが、しかし、ひとくちに生首といってもさまざまだ、知らないけど。生首というとこれは映画のほうの記憶。『犬神家の一族』での犬神佐武(地井武男)のそれ、『病院坂の首縊りの家』における山内敏男(あおい輝彦)のそれ、はたまた松竹版『八つ墓村』に登場する落ち武者・尼子義孝(夏八木勲)のそれなどが主だったところだろうか。そのうち『八つ墓村』はDVDが手元にないので、借りてきた。何をしているのか、わたしは。

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本日の参照画像
(2012年6月 6日 01:47)

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