/ 8 Mar. 2019 (Fri.) 「少年たちは新宿ピカデリーをめざす」
■いやー。朝、会社に向かう中央線車中では席も確保し、ゆったりとした気分で『宇宙の果てまで離れていても、つながっている』を読んでいたのだけれども、途中からすっかり読書どころではなくなってしまったというのも、斜め前に立っていた少年二人の会話が気になってしかたなかったからである。うーん、高校生なのかなあ。それとも中学生だろうか。
■そこそこの声量で、かつ特有の──何と言いましょうか、趣味にまっすぐな──口調だったからわたし以外の耳目も充分に集めていたはずだが、話を総合するとどうも二人はこれから新宿ピカデリーに向かうところのようで、お目当てはウルトラマンなんちゃらの新作映画と、その舞台挨拶であるらしい。
■あとになってピカデリーのサイトへ行くと、「ああ、これだな」というのがすぐに見つかる。『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』で、本日封切り。舞台挨拶についても案内がある。
上映終了後に舞台挨拶がございます。
登壇者:平田雄也(湊カツミ役)、小池亮介(湊イサミ役)、其原有沙(湊アサヒ役)、眞鍋かをり(湊ミオ役)、内田雄馬(ウルトラマントレギア役・声の出演)、武居正能監督、ウルトラマングルーブ、ウルトラマントレギア
■スマホで舞台挨拶にかんする情報を確認しているらしく、誰さんが来る、誰さんも来ると興奮しているが、「さん」付けの徹底をはじめとしてとにかく作品、出演者、スタッフへの敬意が半端ない二人だ。とりわけ、よく知らないが、「内田さん」への二人の敬意は大きい。「知ってると思うけどさ」と、先程来情報量においては優位に立っているほうの少年がいらぬ前置きをして言ったのは「内田さんのお姉さん、グリッドマンの歌をうたってらっしゃるんだよ」という情報だったが、初耳だったらしいもう一人の、その情報の受け止めは意外なものだった。「じゃ、きょうだい二人ってわけか」。
■笑ったなあ。「そこかい」と笑ったのだったけれど、これ、あとから気づくのは『ウルトラマンR/B(ルーブ)』の主人公が「湊兄妹」(湊家は長兄・次兄・妹の三人兄妹)だということで、その兄妹愛が作品テーマのひとつらしいことである。「じゃ、きょうだい二人ってわけか」と感心したように言い、その情報の切り取りにおいてファンとしてのすぐれた反射神経を見せた彼とその友人は、そうして意気揚々と新宿で降りていった。
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